朝起きたら喉に違和感や痛みがある…という経験はありませんか?
また、季節の変わり目や飲酒後などに喉に違和感を覚える人は少なくないと思います。
喉の痛みをそのままにしている人は多いと思いますが、長引いたり悪化したりする場合は病気が潜んでいる可能性があります。
「ただの風邪だから大丈夫」と思いこまず、適切なケア・治療をしましょう。
喉の痛みは病気のサイン?考えられる主な病気
ここでは風邪以外に考えられる病気についてお話していこうと思うので、自分の症状と照らし合わせてみてください。
少しでも気になる点があれば、早めに病院で診てもらうことをおすすめします。
考えられる病気① インフルエンザ
インフルエンザの流行は例年11月頃から始まり4月~5月頃には収束するといわれていますが、決して冬だけの病気ではありません。
インフルエンザウイルスは低温と低湿度を好むため「夏はインフルエンザになることはない」と思っている人は多いと思いますが、2019年は9月から学級閉鎖が続出した地域があり、暑い時期には流行しないとは言い切れないのが現状です。
ですから「喉の痛みがあるけれど、この時期ならインフルエンザではない」とは思わず、自分の症状と向き合ってみましょう。
インフルエンザの症状と同じような症状がある場合は、早めに病院で検査してもらうことをおすすめします。
●主な症状
- 喉の痛み
- 高熱(38℃以上)
- 関節痛、筋肉痛
- 強い倦怠感
- 頭痛
- 食欲不振
上記が主な症状ですが、人によっては吐き気や嘔吐を伴う場合もあります。
風邪と違う点として、
- 高熱
- 強い全身症状
があります。
インフルエンザは肺炎や脳炎などを合併して重症化する恐れもあるので、早めに病院へ行きましょう。
考えられる病気② 溶連菌感染症
溶連菌感染症は「溶血性連鎖球菌」という細菌が原因で起こる病気です。
一年中かかる可能性のある感染症ですが、12月~3月、7月~9月に多く、学童期の子供に多い傾向があります。
●主な症状
- 38℃以上の高熱
- 喉の痛み
- 嘔吐
- 倦怠感
- イチゴ舌(舌にブツブツができてイチゴのように見える)
- 吐き気
などがあります。
腎炎やリウマチ熱を合併したり、喉以外の場所に感染すると中耳炎やとびひなどを発症したりすることもありますので、適切な治療が必要です。
考えられる病気③ 扁桃炎
扁桃は喉の奥の左右両側にあるリンパ組織で、この扁桃が細菌やウイルスの感染により炎症を起こしたものが扁桃炎です。
扁桃炎は片側性のこともあれば両側性のこともあり、唾を飲み込むだけで痛みを感じることもあります。
●主な症状
- 喉の痛み
- 急な高熱
- 倦怠感
- 耳や首の痛み
- 喉に白いブツブツがついている(膿栓)
などがあります。
熱は2~3日で下がることもあれば1週間以上続くこともあります。
食べたり飲んだりすることができないと脱水症状になる可能性があるので、こまめな水分補給が必要です。
考えられる病気④ 逆流性食道炎
胃酸が食道に逆流し食道が炎症を起こして、胸やけや胸の痛みなど様々な症状が生じる病気です。
●主な症状
- 胸やけ
- 呑酸(口まで酸っぱい液がこみ上げる)
- 喉の痛み、違和感
- 口内炎
- 咳
などがあります。
逆流性食道炎は、加齢や食事の内容、肥満、ストレス、ピロリ菌などが原因となって起こります。
タバコは逆流性食道炎を悪化させるので、禁煙に努めましょう。
また、アルコールやカフェインも極力控えたほうが良いです。
この他にも
- 喉頭がん(声がかれる)
- 肺がん(血痰が出る)
- 心筋炎(胸痛)
- 食物アレルギー(喉がかゆい)
など多くの病気が考えられます。
命にかかわる病気や早急に治療が必要な病気もあるので、喉の痛みは放置せず、長引く場合や悪化する場合には病院で適切な治療を受けることを勧めます。
病気以外で考えられる喉の痛みの原因は?
風邪やその他の病気ではなくても、喉の痛みが生じることもあります。
喉の痛み以外に症状がない場合は、もしかしたら生活習慣などに原因があるかもしれません。
このような場合は適切なケアをすることで痛みを早期に緩和できるので、症状に合わせてセルフケアを行いましょう。
考えられる原因① 喉の乾燥
冬は湿度が低いため空気が乾燥し、喉がイガイガしたり痛みを感じたりする人が多いと思います。
空気が乾燥すると喉の粘膜も乾燥し、外敵の侵入を防ぐ働き(防御機能)が低下します。
防御機能が低下すると外界からの刺激を受けやすくなり、喉に炎症が起きて痛みを感じるようになります。
喉が乾燥する要因として、
- 空気の乾燥
- 花粉症
- 鼻づまり
- いびき
などが考えられます。
鼻づまりやいびきは口呼吸の原因になり、喉の乾燥を引き起こします。
花粉症の人は鼻がつまっていると無意識のうちに口呼吸になっていることがあるので、花粉による刺激だけでなく乾燥による刺激も加わり、喉の痛みを感じやすくなります。
考えられる原因② 喉の酷使
大きな声を出したり長時間話続けたりした後に、声がかすれて話しづらくなった、という経験がある人は多いと思います。
これは喉(声帯)に炎症が起きて声が出にくくなっているからで、喉の痛みを伴う可能性が高くなります。
例えば、
- カラオケ
- スポーツ観戦
- プレゼン
- 女子会
などが挙げられます。
カラオケで高い声や大きな声を出して歌ったり、スポーツ観戦に行って大声で応援したり、プレゼンや女子会で長時間話続けたりすることで、喉に炎症が起きて痛みを生じます。
子供でも、大声を出して遊んだり大声で泣いたりした後に「喉が痛い」と言うことがあると思いますが、他にこれといった症状がなければ喉の酷使が原因となって痛みが生じている可能性もあります。
考えられる原因③ 喉への刺激
喉の乾燥も喉の酷使も、結果的には「喉への刺激」につながるのですが、ここでお話するのは「刺激物」についてです。
喉の乾燥や酷使に注意を払っていても、直接喉にダメージを与えるような食生活・生活習慣をしていると、やはり喉が炎症を起こし痛みを引き起こします。
刺激物としては、
- アルコール
- タバコ
- 香辛料
- 熱いもの
などが挙げられます。
ウォッカやウイスキーなどの高濃度のアルコールをストレートで飲んだり、濃度の低いものでも大量に飲んだりすると、喉の粘膜が炎症を起こします。
また、タバコの煙には有害物質が含まれていて直接喉の粘膜に刺激を与えますし、大量の唐辛子が入った激辛料理なども喉の痛みを起こす原因になります。
忘年会などで飲酒が続いたり、激辛料理が好きだったり、1日に何箱もタバコを吸ったりする人は、疲れが溜まっている時や免疫が低下しているときなどに喉の痛みが現れる可能性が高くなります。
考えられる原因④ ストレス
ストレスを感じて自律神経のバランスが崩れると、喉の筋肉が過剰に収縮して、喉に違和感を覚えたり痛みを感じたりすることがあります。
ストレス発散が苦手な人や嫌な思いをしても我慢するタイプの人は、ストレスを受けやすいので注意が必要です。
辛い喉の痛みを緩和する方法を紹介します!
喉の痛みが軽度の場合は「そのうち治るだろう」と放置する人も多いと思います。
しかし、そのままにしていると悪化したり痛みで食事が摂れなくなったりすることもあるので、早めにケアすることが大切です。
ここでは喉の痛みを緩和するポイントについてお話していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
ポイント① 炎症を鎮める
喉の痛みは喉の「炎症」が原因になっているので、「痛み」を取り除くことだけではなく「炎症」を鎮めることが肝心です。
解熱鎮痛成分が主成分の市販薬(ロキソニン、イブなど)も喉の痛みに効果がありますが、これから市販薬を購入する人は「抗炎症成分」の配合されている市販薬を選択しましょう。
解熱鎮痛成分は痛みのもとである「プロスタグランジン」の生成を抑える働きがありますが、抗炎症成分には炎症のもとになっている「プラスミン」を抑える働きがあるので、炎症を鎮める効果が期待できます。
市販薬では、
・トラネキサム酸
・グリチルリチン酸
などが配合されている口腔咽頭薬(ぺラックT錠、コルゲンコーワトローチなど)があります。
また、荒れた粘膜を保護・修復する働きのある成分(アズレンスルホン酸ナトリウムなど)が入っているうがい薬やスプレーも効果が期待できます。
ポイント② 乾燥から喉を守る
喉が乾燥して炎症を起こすと痛みを生じますが、喉が荒れているとウイルスや細菌が感染しやすくなるので、喉が乾燥しないように心がけましょう。
ここではすぐに実践できる方法を紹介しますので、喉の痛みや乾燥で悩んでいる人はぜひ試してみてください。
・加湿する
湿度表示のある加湿器がおすすめですが、ない場合は部屋に濡らしたタオルをかけておいたり、洗濯物を干しておいたりすることで代用できます。
湿度は50~60%程度を保つことで喉の乾燥を防ぐことができます。
・のど飴をなめる
のど飴にはさまざまな物があり、お菓子コーナーで売っているものもあれば、医薬品や医薬部外品のものもあります。
乾燥対策として取り入れるのであれば、お菓子コーナーで購入できるタイプののど飴で十分です。
のど飴をなめることで、喉がすっきりするのと同時に唾液の分泌が活性化して喉が潤います。
・こまめな水分補給
水分が足りていないことで喉が乾燥する場合もあるので、こまめな水分補給はとても大切です。
乾燥対策を意識するのならば、冷たい飲み物よりも常温や温かい飲み物がおすすめです。
・マスクをつける
起床時に喉の痛みや乾燥が気になる人、いびきをかく人は、マスクをつけて寝ることで乾燥を防ぐことができます。
マスクと口の間に湿らせたガーゼなどを挟んでおくと効果的です。
ポイント③ 喉に良い食べ物を選ぶ
喉の痛みがある時に刺激物を摂取することはタブーですが、痛みがなくても普段から喉に優しい食事を心がけましょう。
取り入れたい食べ物としては、抗菌・殺菌作用のある食品、炎症を抑える効果のある食品、保湿効果のある食品があります。
- ねぎ(抗菌作用、抗炎症作用)
- しょうが(抗菌作用)
- 大根(抗菌作用、抗炎症作用)
- ゆず(粘膜の保護・保湿作用)
- かりん(殺菌作用・抗炎症作用)
- はちみつ(殺菌作用)
- 緑茶(殺菌作用)
冬の乾燥しやすい時期や受験や試験などで体調を崩したくない時もあると思います。
そんな時は上記で挙げ食べ物を食事に取り入れて、喉を乾燥から守り病気を未然に防ぎましょう。
喉の痛みがある時に受診すべき症状について
喉の痛みは、多くの場合2~3日安静にしていれば改善しますが、治療が必要な病気が潜んでいる可能性もあります。
病院で診てもらわなくても、いつもすぐに治っていたので大丈夫!と思わず、気になる症状があるときや辛いときは病院で診てもらうことを勧めます。
ここでは「喉の痛みがある時に受診すべき症状」についてお話していきますので、受診の目安として覚えておきましょう。
中には人に移る感染症もありますので、そのような場合は自己判断ではなく医師の診断・治療が必要不可欠です。
受診すべき症状① 喉や舌にブツブツができている
舌や口内にブツブツができている場合は溶連菌やヘルパンギーナなどの感染症、喉に白いブツブツができている場合は扁桃炎の疑いがあります。
溶連菌感染症の場合、治療しないでいると急性腎炎やリウマチ熱、中耳炎、気管支炎などの合併症を引き起こすことがあるので、できるだけ早めに病院で診てもらいましょう。
受診すべき症状② 痛みで飲食が困難
痛みがあり食事や水分補給が困難になると、脱水症状を引き起こす可能性があり危険です。
体調が悪い時に病院へ行くのは辛いかもしれませんが、飲食ができない時は我慢せずに病院で診てもらいましょう。
受診すべき症状③ 痛みが数週間続いている
喉の痛みが数週間続いているけど他に症状はない…という場合でも、心筋梗塞やくも膜下出血などの大きな病気が潜んでいることもあります。
また、痛みとともに咳も続いているようなら、肺炎の疑いもあります。
「そのうち治る」と高をくくらず、早めに病院へ行き適切な治療を受けましょう。
受診すべき症状④ 高熱が出ている
38℃以上の高熱があり倦怠感を伴う場合は、インフルエンザや溶連菌などの感染症の疑いがあります。
インフルエンザも溶連菌感染症も、命にかかわる重大な合併症を併発することもありますので、高熱が出ている場合はできるだけ早めに病院へ行き検査をしてもらいましょう。
上記でお話しした症状以外でも、気になる症状があれば病院で診てもらいましょう。
どこの病院に行けばいいのかわからない人もいると思いますが、かかりつけの内科でもいいですし、耳鼻咽喉科でも診てもらうことができます。
喉の痛みよりも咳の方が強い場合は、耳鼻咽喉科ではなく内科で診てもらいましょう。
【まとめ】喉の痛みは予防・セルフケアを!受診も視野に
- 市販薬やのど飴、マスクなどでセルフケアをしよう
- 喉の乾燥、酷使、刺激、ストレスを防ぎ、喉に負担をかけないようにしよう
- 喉の痛みは重大な病気の可能性もあるので症状をしっかり見極めよう
- 長引く場合や気になる症状があるときは内科や耳鼻咽喉科を受診しよう
喉の痛みを感じたら、ひどくならないようにまずセルフケアをすることが大切です。
セルフケアでは対処しきれないときは、我慢したり放置したりせずに病院で診てもらいましょう。