人間の腸の中には多数の細菌があり、太りやすい体質をつくる「デブ菌」があるというのはご存知でしたか。
医学会においても腸内に「デブ菌」と「ヤセ菌」が存在することは証明されており、「デブ菌」を減らし「ヤセ菌」を増やせば理想のダイエットが可能です。
この記事では本当にデブ菌が肥満の原因となっているのかを検証し、デブ菌やヤセ菌を調整することで肥満を抑制する方法をご紹介いたします。
あなたの腸内にも存在する太りやすくなる「デブ菌」
最近では「腸内環境」や「腸内フローラ」などという言葉が頻繁に使われるようになり、腸内には「善玉菌」や「悪玉菌」があって「善玉菌」を増やすことで腸内環境が整うなどということも広く知られています。
では腸内環境とはどの部分をいうのでしょうか。
人間の腸は「小腸」と「大腸」があり、2つはつながっています。
小腸では食事で得たものを胃で消化したあとに栄養分を取り込む働きをしています。
それに続く大腸では栄養素が抜き取られた残骸から水分を取り除き便にして排出するという役目をおいます。
2つの腸はつながっていますが、役割はまったくことなるものです。
そして、この2つの腸内には100兆個といわれるスゴイ数の細菌が存在しています。
種類も豊富で1,000種類を超えるといわれ、この多数の細菌が腸内でつくる細菌郡(細菌がつくる生態系)のことを「腸内フローラ」と呼んでいます。
顕微鏡などで拡大して見ると、あたかもキレイな花畑のようであることから「フローラ(品種ごとにキレイに咲く花畑)」の名前が付けられました。
つまり腸内に咲いている花は種類の異なる細菌で、それぞれが群れをなして咲き乱れているのが見れます。
「善玉菌」や「悪玉菌」もそれらの細菌グループの総称です。
そして町内には善玉菌と悪玉菌の他に「日和見菌(ひよりみきん)」という種類の細菌があります。
「日和見菌」は善玉菌や悪玉菌よりも多く存在しており、全体の7割程度を占める細菌です。
この「日和見菌」の中には、人を太らせる「デブ菌」と反対に太らせない役割の「ヤセ菌」があるとアメリカの学者が発見しました。
学者が実際に「デブ菌」や「ヤセ菌」と名付けたわけではありませんが、腸内環境が肥満に深く関わっていることを実験で証明してくれました。
その後に日和見菌の中にある細菌郡には排泄物までも栄養として取り込むものを「デブ菌」と呼び、栄養の吸収を抑えたり脂肪の燃焼を助けて痩せるために活動する細菌郡を「ヤセ菌」と呼ぶのが一般的になりました。
2匹のネズミでの実験では太ったネズミに「デブ菌」が多く、痩せたネズミには「ヤセ菌」が多かったため、「デブ菌」を減らして「ヤセ菌」を増やすことで簡単にダイエットができるという考えが生まれます。
このように「デブ菌」も「ヤセ菌」も人間の誰もが持っている腸内細菌です。
以下で本当にこの理屈が正しいのかを検証してまいります。
「デブ菌」を減らして「ヤセ菌」を増やしても痩せるとは限らない
「デブ菌」や「ヤセ菌」という似た作用を持つ細菌の群れがあることは事実です。
ただし「デブ菌」も「ヤセ菌」も多種の細菌が集まった集合郡であり、「デブ菌」の中にも「ヤセ菌」の役割りもになる細菌があることが分かりました。
そこで単純にデブ菌を増やせば太り、ヤセ菌を増やせば痩せるという理屈は通らなくなりました。
その後にもネズミで実験して、痩せたネズミに太ったネズミの排泄物(デブ菌の入ったフン)を食べさせましたが極端に太ることもありません。
反対のこともしましたが同様に太ったネズミがヤセ菌を採っても痩せないことが分かりました。
大切なのは「デブ菌」も含めた多種多様の腸内菌のバランス
2匹のネズミの実験により、「デブ菌」を減らすだけでは痩せないことがわかりましたが、もう1つ大きな事実が判明できました。
お互いに異なる細菌を摂取しましたが身体の大きさには変化が大きくあらわれませんでした。
しかし2匹のネズミはともに健康体になったのです。
つまり、確かに「デブ菌」には栄養を過剰に取り込んでしまう要素を含み、「ヤセ菌」は脂肪の燃焼などを助ける役割を持つが単純に細菌郡を増減するだけで肥満を調整することはできないが、多種類の腸内細菌をかかえることで健康体を得られることが分かりました。
バランスの良い腸内フローラは健康体をつくり、かたよった腸内環境は健康な身体をむしばみ且つ肥満や痩せすぎの状態をつくりあげてしまうのです。
大事なことは「デブ菌」も含めた腸内細菌のバランスであり、多くの細菌を腸内に蓄えることが健康な身体をつくるという重要な事実が発見できました。
ここで「デブ菌」と「ヤセ菌」について、もう1度詳しくご説明いたします。
「デブ菌」とは「ファーミキューティス門」という細菌のグループの集まりです
それに対して「ヤセ菌」は「バクテロイデス門」という分類の細菌集合郡です。
この頭文字をとって「F/B比」という比率が肥満の目安になるといわれたこともあり、「F/B比」が高い(ヤセ菌に対してデブ菌の率が高い)と太りやすいといわれ指標にもなりましたが、「F/B比」が高くても痩せている人も多く、反対のことも多く矛盾が多いと感じるようになり、新しい研究が始まりました。
そして研究を続けるうちに「デブ菌」は「長寿菌」であることが判明したのです。
長寿の人の腸内細菌には「デブ菌」に属する細菌が多く存在しており、栄養を残らず取り込むことが長寿につながっているのではないかと考えられています。
このように善玉菌や悪玉菌、デブ菌やヤセ菌と名前を付けたものの、本当の善悪を示すものではないという結果になりました。
ただし肥満に腸内環境が深く関わっているのは事実で、1,000種類以上の細菌を詳しく解明するには、もっと長い時間が必要になるでしょう。
善玉菌と悪玉菌は「デブ菌」と「ヤセ菌」に影響を与える
もう1つ分かったのはデブ菌やヤセ菌を含む「日和見菌」は、善玉菌や悪玉菌から大きな影響を受けるということです。
善玉菌はヤセ菌を増やす役割を持ち、悪玉菌はデブ菌を増やす手助けをするのです。
また日和見菌は善玉菌と悪玉菌の攻防を見て、優勢な方に加担するということも分っています。
その名の通りに日和見主義的(自分の都合の良い方に加担する)な細菌だということです。
では善玉菌や悪玉菌も均等に存在した方が良いのでしょうか。
これはデブ菌やヤセ菌郡とは違う考え方になります。
腸内フローラは小腸から大腸にかけての部分に存在します。
小腸は栄養分の吸収の他に免疫に関わる大きな役目を持つ臓器です。
身体全体の6割以上の免疫細胞が小腸に集まっています。
免疫機能を高める為には腸内環境を整える必要があり、現在の多くの人々に善玉菌が不足しているため善玉菌を増やすことは健康を維持する必要条件です。
また悪玉菌は排泄物を発酵させてしまい腸内環境を悪くしてしまいます。
そこで善玉菌を多く採り、悪玉菌を減らすことで腸内環境が整っていくのです。
善玉菌はヤセ菌を応援し、悪玉菌はデブ菌の味方になりますから、自然にデブ菌が不利になりヤセ菌が有利になることが理想になります。
そうは言っても悪玉菌が0になることも好ましいことではなく、理想の最近のバランスは「善玉菌2:悪玉菌1:日和見菌7」といわれます。
デブ菌やヤセ菌が肥満に関わることも事実ですが、それ以上に腸内環境を整えることが大事で、それにはアテにできない日和見菌よりも善玉菌を増やすことが大切だということが結論です。
母親が子供に「デブ菌」を運んでくる
次に母親が太っていると子供も太るということに根拠があるのか検証した結果があります。
デブ菌は母親が子供に受け継ぐということです。
実際に母子で太っているケースが多いことから調査しましたが、母に「デブ菌」が多いと子供にも「デブ菌」が多いという結果が出ました。
ではデブ菌は遺伝するのでしょうか。
細菌が遺伝するということは考えにくいため調査を続けたところ、デブ菌は生まれるときに母親から受け継がれることが分かりました。
どういう事かというと、子供が産道を通って生まれる際に最近も付着して出てくるためだということです。
ですから実際に帝王切開で生まれてきた子供は肥満体質が受け継がれないことが多いとの結果も出ています。
ただし、もう1つの結論として母親の食生活を子供は受け継いでしまうということも指摘されています。
肥満体型の母親は往々にしてデブ菌の増えやすい食事を採っており、子供も同様の食事を続けるために同じようにデブ菌の増えやすい環境に育ってしまうというのです。
肥満の大きな原因の1つが食事であり、母子で食事することが多いことからも十分にうなずける話です。
こうしたことから、デブ菌は母親が運んでくるという結論に至っています。
「デブ菌」を減らす食事
デブ菌は悪玉菌の影響を大きく受けるので、悪玉菌を減らすという方法を考えがちです。
しかし増やす方法はいろいろとありますが、減らす方法は抑制したりと面倒なことも多く考え方を変えた方が無難です。
善玉菌を増やせば悪玉菌は劣勢になり、日和見菌であるデブ菌も善玉菌の影響を受けることになります。
そこで善玉菌を増やせは「デブ菌」を全体数から見ると減らせるということになります。
善玉菌を増やす方法は、雑誌やメディアなどでも多く紹介されているので簡単に見つけられるでしょう。
いくつかを取り上げてご紹介いたします。
- 発酵食品を採る
- 善玉菌のエサとなる食事を多くする
- ヤセ菌のエサとなる食事を多くする
- サプリメントで善玉菌を補給する
簡単にいえば上記のようなことを実践すれば善玉菌やヤセ菌を増やせて、結果的にデブ菌の構成率(全体に対するデブ菌が占める割合い)が減ることになります。
1つずつ説明しますが、ヨーグルトや納豆などの発酵食品は善玉菌を増やしてくれます。
またオリゴ糖などは善玉菌のエサとなり、オリゴ糖と摂取することで善玉菌を増やせます。
発酵食品のヨーグルトとオリゴ糖は非常に相性が良く、合わせて食べれば美味しくて善玉菌を増やす格好の食品です。
またヤセ菌のエサとなるものを摂取するのも良く、難しい言葉では「プレバイオティクス」と呼ばれるものがエサになります。
この中には善玉菌のエサであるオリゴ糖も含まれており、双方に効果があります。
また「お酢」はヤセ菌の好物らしく、「お酢キャベツ」を食べるだけで痩せられると提唱している人もいます。
他に食物繊維の多いものなどもヤセ菌のエサになるので積極的に食べるようにしましょう。
食事で摂取することが難しい人は、サプリメントという強力な味方がいます。
少量でも凝縮された目的のものが摂取でき、持ち運べることも便利です。
あとは雑多な細菌が存在することで腸内環境が整うのとおんじように、かたよった食事ではなく多彩な食事を楽しむことも良い方法です。
いろんな栄養素を採ることは自然であり健康にも良いことは説明するまでもありません。
バラエティーに富んだ食事を楽しみながら、腸内環境を整えて健康な身体を手に入れてください。
まとめ【デブ菌は健康を維持する長寿菌!細菌の種類を増やして腸内を整える!】
ここまでデブ菌の存在と肥満との関係を中心にご紹介いたしました。
この記事を読んでいただき以下のようなことを解説しご理解が得られたはずです。
- 人間の腸内には1,000種類以上の細菌があり、肥満に影響を与える細菌もある
- 腸内細菌には「善玉菌」「悪玉菌」の他に「日和見菌」があり、日和見菌は全体の7割以上を占める
- 「デブ菌」と「ヤセ菌」は「日和見菌」の一種であり、全ての人が持っている
- 「デブ菌」が多く「ヤセ菌」が少ないと太るというのは間違い
- 「デブ菌」のカテゴリーの中にも「ヤセ菌」があり、また長寿につながる健康菌もデブ菌の一種である
- 太りやすいか痩せやすいかは、腸内細菌が大きく関係するが、重要なのは多種多様の細菌が存在することが望ましくバランス良く混在することである
- 「デブ菌」に対して「悪玉菌」が、「ヤセ菌」に対して「善玉菌」が影響を大きく与える
- 「デブ菌」は遺伝しないが、母親から生まれるときに子供に運ばれる
- 太った母親は「デブ菌」を増やす食事を採るため、子供も同じ食事を継続していると「デブ菌」が増える
実際に「デブ菌」と総称される細菌のグループは存在しますが、デブ菌が増えることで太るのではなくヤセ菌を増やしてデブ菌を減らしても簡単にダイエットは成功しないという結論に達しました。
ただし思わぬ収穫がありました。
デブ菌は長寿菌であり、腸内をバランスのとれた環境にすることが望ましく健康で肥満や痩せすぎを防げることがわかっています。
これらを実生活に生かし健康な生活を送り続けてください!!