【腹痛の薬】症状に合った腹痛の薬を飲むべきなんです!注意しよう!
テイコク製薬社調剤店舗「薬剤師」
35年の薬剤師キャリアを活かし、「健康を知り尽くした調剤マスター」としてテイコク製薬社の調剤業務に従事。
腹痛で辛い時は医療機関でみてもらうのが一番ですが、仕事や学業が忙しくて受診できない時は、市販の薬で対応しなければなりません。
一言で腹痛と言っても、その原因や、痛み方や痛む場所などの症状も様々です。
腹痛の薬を選ぶ時は、どの部分がどのように痛むのかを把握しておくことが大切です。
そこで、今回は部位ごとに腹痛の原因や、腹痛の原因に適した薬についてご紹介します。
この記事の目次
【腹痛の薬】腹痛の痛みは2種類あります!
ひとことで腹痛といっても、「お腹全体が痛む腹痛」と「一部が刺すように痛む腹痛」の2種類あります。
この痛み方の違いは、痛くなっている場所の違いによります。
お腹全体が痛む腹痛を内臓痛、一部が刺すように痛む腹痛を体性痛といいます。
内臓と体性痛の痛みについて紹介します。
【腹痛の薬】内蔵痛について知ろう!
お腹には消化管という食べ物や、飲み物を消化吸収するための内臓があります。
内臓痛は消化管が異常をきたして、過度に縮んだり伸びたり、けいれんを起こしたりして生じる痛みのことです。
内臓神経ともよばれる自律神経を通して感じる痛みなので、このようによばれています。
下痢を起こした時に腹痛を感じた経験はありませんか?
これが内臓痛の痛みの一例で、下痢によって消化管の内部圧力が高まったり、消化管が過度に動かされたりしたのが原因です。
下痢の時の腹痛は、下腹部全体に広がる痛みですが、このように腹痛を起こした場所が特定できず、お腹全体に痛みを感じるのが内臓痛の痛み方です。
内臓痛を起こす腹痛の場合、痛みに加え冷、発汗、吐き気など痛み以外の症状があります。
【腹痛の薬】体性痛について知ろう!
体性痛は、消化管という内臓そのものではなく、腸と腸の間にある腸間膜や、消化管を取り巻いている腹膜、横隔膜などに分布している感覚の神経の知覚神経が、刺激されて感じる痛みのことです。
内臓痛と異なり、体性痛の痛みは痛みの場所がはっきりとしており、痛みも刺すような鋭い痛みです。
有名な体性痛を引き起こす病気は、虫垂炎、いわゆる盲腸です。
盲腸の痛みは刺すような激痛ですが、これは虫垂炎が腹膜に広がることで生じた体性痛です。
【腹痛の薬】部位別に痛み方と原因を知ろう!
腹痛の薬は、いろいろな種類があります。
それは、腹痛の原因によって適切な薬が異なるからです。
腹痛の原因は、痛み方から推測できます。
そこで、部位別の痛み方をまず理解しましょう。
代表的な腹痛の部位と症状について紹介しました。
【腹痛の薬】みぞおちが痛い場合の症状
- 胸やけ…食道炎
- 鈍い痛みや不快感…胃炎
- 食後20〜30分ほどでキリキリと刺すような痛み…胃潰瘍
- 嘔吐、血便、胸やけ、ゲップ…胃潰瘍
- 不眠症…胃潰瘍
- 空腹時は痛いが、食事をすると軽くなる…十二指腸潰瘍
- 急な腹痛…急性膵炎
- 仰向けになると腹痛が強まる…急性膵炎
- 左の上半身に痛みが広がる…急性膵炎
- 締め付けられるような激しい痛み…狭心症
- ニトログリセリンですぐに痛みが収まる…狭心症
- 万力で掴まれたような強い痛み…心筋梗塞
- 腹痛と合わせて冷や発汗…心筋梗塞
- ニトログリセリンは効かない…心筋梗塞
【腹痛の薬】中腹が痛い場合の症状
- 鈍い痛み…膀胱炎
- 血尿…膀胱炎
- 鈍い痛み…卵管炎または、卵巣炎
- おりものが増える…卵管炎または、卵巣炎
- 鈍い痛み…骨盤腹膜炎
- 発熱…骨盤腹膜炎
【腹痛の薬】右下腹部が痛い場合の症状
- 徐々に腹痛が強まる…虫垂炎
- 初めはみぞおちの辺りから痛み始める…虫垂炎
- かなりの激痛…卵巣円または、卵管炎
- 発熱や嘔吐…卵巣円または、卵管炎
【腹痛の薬】左下腹部が痛い場合の症状
- 激しい痛み…潰瘍性大腸炎
- 血便、下痢、発熱…潰瘍性大腸炎
- さしこむような鋭い痛み…尿路結石または、腎結石
- 血尿…尿路結石または、腎結石
【腹痛の薬】腹痛の部位別に適した薬を飲もう!
腹痛の部位によって原因が異なるので、薬を選ぶ時は痛みを感じた場所によって薬を選びましょう。
【腹痛の薬】みぞおちが痛い時の薬
みぞおちが痛むなら、胃、十二指腸、膵臓などに原因がある可能性が高いです。
中でも多い原因が、胃潰瘍などの胃痛です。
もし、食後にキリキリとお腹が痛むなら、胃潰瘍が疑われます。
そのため、食後にキリキリとした痛みは、制酸剤が配合された胃腸薬や、H2ブロッカーという薬がオススメです。
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胃潰瘍の場合は、痛み止めの薬を飲むとかえって逆効果なので注意しましょう。
また、食後に痛みが増して、仰向けになると痛みが強くなるようなら、膵炎による腹痛の可能性が高いです。
膵炎の場合は、市販薬に頼りすぎずに、医療機関を早めに受診した方がいいでしょう。
【腹痛の薬】中が痛い時の薬腹
中腹(おへその周辺部)の痛みは、急性小腸炎、大腸炎などの腸の病気が原因である場合が多いです。
明け方に激しい痛みを感じるようなら尿管結石、おへその周辺から背中にかけてに鈍痛なら腎結石の可能性もあります。
中腹の痛みは、腸の痙攣によるものが多いので、痙攣を抑える薬が痛みの緩和に適しています。
中腹の痛みには、まずは鎮痙剤を使ってみてください。
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【腹痛の薬】右下腹部が痛い時の薬
右下腹部の痛みの原因は、虫垂炎が多いです。
虫垂炎になると、最初はみぞおちに痛みを感じ、それが少しずつ右下の強い腹痛に変わっていき、体を動かせないほどの強い痛みになります。
もし、ジャンプして着地した時に、右下腹部に痛みが生じたら虫垂炎の可能性が高いです。
虫垂炎の痛みは、抗菌薬による炎症の緩和が必要ですので、医療機関を受診することをオススメします。
【腹痛の薬】左下腹部が痛い時の薬
左下腹部が痛い時は、急性大腸炎、潰瘍性大腸炎、過敏性腸症候群など大腸の病気の可能性が疑われます。
左下腹部の腹痛は、下痢、嘔吐、吐き気などを伴うこともあります。
下痢を伴う腹痛の場合は、細菌、ウイルスによって下痢が起こっている場合があります。
そのような時は、下痢止めの薬を使うと症状が悪化してしまうことがあるので注意しましょう。
その他、尿管結石や膀胱結石でも腹痛は生じます。
特に尿管結石の痛みはかなり強く、血尿や吐き気を伴うことも珍しくありません。
膀胱結石は、頻尿、残尿感もみられます。
女性は生理痛、子宮内膜症、子宮がんの可能性もあり、激しい腹痛のこともあります。
このように左下腹部の腹痛原因は多彩で、いろいろな病気が隠れている可能性があり、市販の薬に頼るのではなく、医療機関を早いうちに受診した方がいいでしょう。
【腹痛の薬】急な腹痛の原因として考えられる病気
急に腹痛になった時に、疑われる病気についてご紹介します。
【腹痛の薬】お腹全体が痛む時に考えられる病気
お腹全体に急な激しい痛み、呼吸困難、発熱が認められたら、腹膜炎の可能性があります。
腹膜炎は、命に関わる病気なので、早急に医療機関を受診しましょう。
便が出ず、おならも出ない、そして吐き気を伴う腹痛は、大腸がん、腸閉塞を起こしているかもしれません。
【腹痛の薬】みぞおちが痛む時に考えられる病気
急なみぞおちの痛みに加えて、吐き気、下痢などを認めるなら急性胃腸炎を起こしているかもしれません。
生ものや、古くなった食べ物を食べてから痛くなったのなら、急性胃腸炎である可能性が高いです。
また、キリキリと刺すような痛みのときは胃潰瘍が、脂っこいものを食べて痛みが悪化し、かつ痛みが右肩や、背中にも広がってくるなら胆石ができている可能性が考えられます。
【腹痛の薬】右下腹部が痛む時に考えられる病気
吐き気や嘔吐を認め、腹痛が上から右下腹部に移ってきたら、虫垂炎の可能性が高いです。
その他、尿管結石ができていたり、女性の場合は卵巣嚢腫などの女性特有の病気の可能性も考えられます。
【腹痛の薬】下腹部全体が痛む時に考えられる病気
下腹部全体が、急にそして激しく痛む時は、細菌性、中毒性の急性腸炎、急性虫垂炎、膀胱炎、尿管結石などの可能性があります。
早急な手術が必要な病気もあるので、早めに医療機関を受診しましょう。
【腹痛の薬】急な腹痛が起きた時に役立つ常備薬
【特徴】
胃酸の分泌を抑えて、胃の痛みを緩和します。
水なしで飲める口中速溶タイプなので、外出先でも使いやすいです。
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【特徴】
胃と腸の両方に効果があります。
植物性乳酸菌を配合しているので、腸内細菌の悪玉菌も抑えられます。
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急な腹痛は症状に合わせた適切な薬で治そう!
今回は部位ごとに腹痛の原因や、腹痛の原因に適した薬についてご紹介しました。
腹痛の薬を選ぶ時は、みぞおち、中腹、右下腹部、左下腹部など、どの部位に痛みが生じているのかを確認することが大切です。
焦らずに症状を観察して、適切な薬を選んでください。
激しい痛みの場合は、市販の薬に頼るのではなく、早めの医療機関の受診が必要です。
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35年の薬剤師キャリアを活かし、「健康を知り尽くした調剤マスター」としてテイコク製薬社の調剤業務に従事。