目の痛みや充血は眼精疲労のサイン?眼精疲労の悪化を防ぐ予防方法
テイコク製薬社調剤店舗「薬剤師」
35年の薬剤師キャリアを活かし、「健康を知り尽くした調剤マスター」としてテイコク製薬社の調剤業務に従事。
現代ではパソコンやスマートフォンが普及し、液晶画面を見る時間は一昔前に比べると格段に増えました。
画面の見過ぎによって目がしょぼしょぼする、目の周りが痛い、充血がみられるなどの症状、また目だけでなく肩こりや頭痛などの症状はよく経験すると思いますが、その症状こそ「眼精疲労」に他なりません。
眼精疲労は生活環境や仕事内容など、目が疲弊する原因を排除しなければ症状は改善しません。
今回は、眼精疲労の原因や、眼精疲労にならないための予防方法や、オススメの目薬について紹介します。
この記事の目次
【眼精疲労の特徴】目の違和感は目の疲労が原因かも?
眼精疲労とは、目を酷使しすぎた事による目のかすみ、充血、目がしょぼしょぼしたり、涙が止まらなかったり、痛みを感じたり重く感じたりと様々な症状が現れます。
よく耳にする症状だとなので、多くの人が経験されたことがあるかもしれません。
また、目の周囲のみならず、肩こり、頭痛、めまいや吐き気など全身に影響が出る場合もあります。
眼精疲労という言葉からも想像がつきやすい目への影響の他に、全身の症状が起こることが特徴です。
【眼精疲労の特徴】眼精疲労の初期症状を放置するのは禁物!
眼精疲労の症状が出ているものの「目の疲れは少し休憩したり、一晩寝れば治る」と考えている人が多く、明らかな異常がない限り他の症状に比べ緊急性が低いため、早期の受診しない人が多いです。
実際に眼精疲労の症状を放置すると、どうなるのでしょうか?
目の充血、痛みやかすみ、目がしょぼしょぼするなどの症状を放っておくと、頭痛、吐き気、肩こりなど身体にも症状が出始めます。
その身体への影響が続くと、精神面にも影響がでます。
頭痛薬を使っても頭痛がよくならなかったり、肩の痛み、腰痛がよくならないと精神的にもストレスを感じることが増えます。
イライラしたり、場合によってはうつ傾向に陥ることもあります。
ストレスを感じることで自律神経のバランスが乱れ、交感神経が優位に働きます。
人間の目の働き(涙の分泌で目の渇きを防ぐ等)は副交感神経によって支配されているため、分泌がうまくされずドライアイになることもあります。
また、交感神経や副交感神経のバランスを保てずに睡眠がとれなくなり、精神的にも肉体的にも不安定な状態になる場合もあります。
こういった状態が続いていると、ピント調節に使う毛様体と呼ばれる部分の筋肉が硬くなり、近視、緑内障が進行するリスクがあります。
その他ストレスからくる目の疾患や、加齢に伴って症状の進行が見られる白内障や、加齢黄斑変性症(モノを見るときに必要となる黄斑という組織に障害が生じ、視力が低下していく病気)などの症状も進行していく可能性があります。
【眼精疲労の原因】眼精疲労を引き起こす3つの原因
眼精疲労が起きる原因は、大きく分けて3つに分類できます。
【眼精疲労の原因】目自体に起きている症状が原因
目に何らかの疾患や、症状によって、眼精疲労が引き起こされるのが原因です。
一番多いのが近視や、乱視、老眼など、ピントを合わせる時のレンズの厚さ調節に基づく毛様体筋の緊張によるものです。
他にも、視力の低下によって目を細めたり目をこらしたりすることも眼精疲労の原因の1つです。
眼鏡やコンタクトなど矯正視力で生活されている人も、眼精疲労が発症する可能性は高いです。
メガネやコンタクトレンズは、視力の低下に合わせて、自分の視力にあった度数を使用することが重要です。
また、ドライアイの症状が進行すると眼精疲労を伴うことがあります。
特に、長時間パソコンを使ったデスクワークをする人や、コンタクトレンズを使用している人は目が乾きやすくなります。
その他にも緑内障や、白内障など視野が狭まったり視力が落ちてくると眼精疲労や頭痛を伴うことがあります。
疾患の有無や治療中か否かではなく、視力に変化が見られたり痛みなど何らかの異常が見られた時は早期の受診が必要です。
【眼精疲労の原因】目を酷使しすぎる環境が原因
眼精疲労は文字通り、目を使えば使うほど症状が進行します。
テレビゲームやパソコン、スマートフォン等の普及により現代は、以前に比べ画面を見る時間が圧倒的に増えました。
パソコンやスマートフォンの画面を眺めている間は瞬きが減り、その結果、目の中に溜まってあるはずの水分が蒸発して、目の乾燥が起こります。
それが VDT症候群(Visual Display Terminal Syndrome)と呼ばれる症状です。
デスクワークを主とする人のほとんどは、眼精疲労の何らかの悩みを持っているといいます。
現代人の多くの悩みである眼精疲労の原因は、情報化社会が進んだ結果でもあると言えます。
【眼精疲労の原因】体に起きている症状が原因
目のみならず風邪などによる体の不調や、耳や鼻などの症状、精神面での影響も眼精疲労につながることがあります。
上記の眼精疲労の原因からも分かるように、眼精疲労になりやすい人は以下が挙げられます。
- 長時間パソコンやスマートフォン、ゲームをする人
- 視力に合っていないコンタクトレンズや眼鏡の着用をしている人
- ストレスをため込んでいる人
【眼精疲労の予防方法】眼精疲労にならないための予防方法
眼精疲労にならないために予防方法について紹介します。
基本的に生活習慣や、行動習慣を少し改めるだけで症状の改善は見られます。
【眼精疲労の予防方法】目の負担を減らして予防する!
眼への負担を軽減するには以下のような点を意識するといいでしょう。
- 液晶画面を見る時間を減らす(休息時間を作る)
- 画面を見る際の姿勢にも気をつける
- ブルーライトカットメガネを使用する
ブルーライトとは、自然にも存在する波長が380〜500nmの文字通り青く見える光のことです。
パソコンやスマートフォンの液晶から発せられる光には、ブルーライトが多く含まれており、人体に与える影響が大きいことが問題になっています。
ブルーライトのように波長が短い光は散乱しやすい性質を持っているため、画面上でよく表示が歪むことがあります。
その結果ピントを合わせようとして調節を繰り返し、眼精疲労を招くと考えられていますが、ブルーライトが人体に与える影響としては以下の3つが挙げられます。
- まぶしさを感じることがある
エネルギーの強さにより従来よりも画面がまぶしく見えることもあり、目を細めたりピントを調節することで目の疲労につながる場合があります。
- 目の組織への影響
ブルーライトはエネルギーが強いため、目の内部奥に存在する網膜に浸透すると加齢黄斑変性症などの疾患を招く可能性があると言われています。
- 睡眠への影響
ブルーライトは睡眠時に眠気を誘う脳内ホルモンである「メラトニン」という物質の生成を抑制してしまうことが研究により明らかになっています。
寝る前にスマートフォン等の操作がよくないと言われているのはこのためです。
逆に朝は日光を浴びると目覚めがいいと言われているのは、日光に含まれるブルーライトによってメラトニンの生成が抑制されるからです。
- ブルーライトカットメガネをかけてみる
上記のような影響を提唱され始めると共に、ブルーライトをカットできるメガネが販売されるようになりました。
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小さい頃からスマートフォンやパソコンに触れる機会が増えたため、子供にもかけさせるべきだという意見も多数あるようです。
利用すると大部分のブルーライトをカットでき目への影響を軽減できますが、日中常時使用する場合は日光からのブルーライトもカットしてしまい、日中活動的にならなければいけない時間帯も「メラトニン」の生成を抑制できないので使用するタイミングには注意が必要です。
【眼精疲労の予防方法】眼精疲労に目薬を使って予防する!
目に疲れが出てきた時は、点眼薬やマッサージなどで目をケアすることが重要です。
点眼薬には目の筋肉をほぐしてくれる効果のある目薬、ビタミンの栄養剤、またピント調節機能を改善してくれる目薬などがあります。
眼精疲労の主な症状としては以下のようなものが挙げられます。
- 充血ピントが合いにくい(目がかすむ)
- 乾燥している(しょぼしょぼする)
- 痛みがある
まずは自分がどの症状に該当するのか判断しなければなりません。
その上でそれぞれの症状に効果のある有効成分が、含まれている目薬を選ぶとより効果的にケアできます。
充血には「テトラヒドロゾリン」「ナファゾリン」「フェニレフリン」といった血管収縮薬が用いられます。
充血で目が赤くなるのは血管が、広がって血流量が多くなっているからです。ゴミなど何らかの物質が目に入り、血流量が増えた結果目が赤くなります。
即効性があり、点眼するとすぐに効果が出ますが、連用してしまうと使用をやめた時に反動で余計に症状が強く出るリバウンド現象が起こる場合がありますので、血管収縮薬の使いすぎには注意が必要です。
目のかすみに対しては「ネオスチグミン」というピントを合わせる毛様体筋を弛緩させる働きのある成分が有効です。
毛様体筋が緊張するとピントを合わせる機能が鈍くなってしまい目がかすむことがあるためです。
目が乾燥している場合には「塩化ナトリウム」や「塩化カリウム」、「コンドロイチン」が含まれている目薬を選ぶと効果的です。
いずれも目の水分保持をしてくれるので潤いを保つことで眼精疲労の緩和につながります。乾燥が進んでくると目がしょぼしょぼするような症状も出てきます。
痛みがある場合は多くの場合、炎症が起きている場合がほとんどです。
抗炎症成分の「イプシロン~アミノカプロン酸」「グリチルリチン」「アラントイン」が含まれている目薬を選びましょう。炎症を抑え角膜の修復を促してくれます。
その他に、目に栄養分を与えてくれる「タウリン」や、ビタミンB12の「シアノコバラミン」や、B6の「ピリドキシン」も疲労回復を促してくれますので参考にしてみてください。
一般的に市販の目薬は、1つの中に多くの成分が配合されている場合がほとんどです。
値段もメーカーによって開きがありますが、高ければ必ずしも効果が高いというわけではありませんので、自分の症状に有効な成分が含まれている目薬を選びましょう。
【眼精疲労】眼精疲労にオススメの目薬5選
【眼精疲労】サンテメディカル12(参天製薬)
上記で挙げた各症状に効く成分がバランスよく網羅されており、ビタミンB12とネオスチグミンが最大濃度配合されているため、1本で様々な症状の緩和が期待できます。
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【眼精疲労】Vロートアクティブプレミアム(ロート製薬)
こちらもネオスチグミンが最大濃度配合されており、また涙の成分の分泌を促すビタミンAが配合されているので乾燥に対してのケアも行えます。
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【眼精疲労】ロートデジアイ(ロート製薬)
この商品の特徴はビタミンB2が含まれていることによって角膜炎や眼瞼炎を改善し眼精疲労の改善が期待できます。
また他の目薬よりも値段が安価なのでお求めやすくなっています。
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【眼精疲労】フォスターDX(ハピコム)
各症状に対する成分がしっかりと配合されており、値段も安価でコストパフォーマンスの良い商品と言えます。
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【眼精疲労】サンテPC(参天製薬)
この商品の特徴はビタミンB12、コンドロイチンに加え、目の組織の代謝を活発化させるビタミンB6も最大濃度配合されている点です。
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【眼精疲労の予防方法】眼精疲労の予防はリラックスが大事
日常的にできる眼精疲労の予防方法について紹介します。
【眼精疲労の予防方法】目の周囲の血流をよくする!
最近は目の周囲を温めるケア用品も充実しており、リーズナブルな値段で手に入るので試ししやすいです。
「蒸気でアイマスク」のような市販品も利用するのもいいと思いますが、自宅にあるもので十分代用できます。
用意するもの
- 必須
- タオル1枚
タオルを温める
水でよく濡らした後、硬めにしっかり絞りポリ袋やジップロック等に入れて500〜600Wで40〜60秒ほど温めましょう。
目にタオルを当てる
お好みの温度にして目元に当ててみてください。じんわりと温まる感覚が心地いいです。
【眼精疲労の予防方法】目の筋肉をマッサージする!
仕事中でもできる簡単マッサージとストレッチの方法について紹介します。
ウインクをする
目を左右に開け閉じを繰り返しウインクする(10~20回)
目にタオルを当てる
左右交互に眼球をぐるぐる回す(10~20回)
目をマッサージをする
眉間・眉毛と瞼の間・こめかみ・下まぶたの下あたりの目周囲のポイントを指で10回ほどマッサージする(場所については下記のツボの項目で詳しく説明します)
目周囲の筋肉をほぐすことは、顔全体のむくみ改善にもつながります。
手軽にできるので、目が疲れたと感じたらぜひ取り入れてみてください。
【眼精疲労の予防方法】睡眠を十分にとる!
言うまでもなく、目の疲れをとるために必要なことです。
眼球の動きをおさえることで頭痛などを抑えるられます。
眼精疲労に効果的なツボはどこ?気持ちいいツボの押し方
眼精疲労の原因は、目周囲の筋肉を動かさないことによる血行障害です。
筋肉をほぐすことで血行も改善して、目の疲れも解消できます。
自分で簡単にできる簡単なマッサージ方法やツボについて紹介します。
【眼精疲労のツボ】太陽(たいよう)
眉尻と目尻の中間でこめかみに少し寄った部分にあるツボです。むくみ解消や疲労回復、目のかすみ、視力回復に効果があります。
【眼精疲労のツボ】承泣(しょうきゅう)・四白(しはく)
黒目の真下の頬骨部分にあるツボです。目のかすみに非常に効果が出やすいツボです。
疲労が蓄積すると瞼のあたりに痙攣が起きますが、痙攣が起きたら疲労のサインとして、このツボをじっくりと押してみるといいでしょう。
【眼精疲労のツボ】晴明(せいめい)
眉間の少し目頭よりの部分にあるツボです。眼精疲労の改善や、目元のシワを取る効果があります。刺激する場合は根元を指で挟み、鼻の方向へ押すと効果的です。
【眼精疲労のツボ】攢竹(さんちく)
眉毛の端の部分にあるツボです。ドライアイの解消や、頭痛を和らげる効果もあります。親指をあてると大きく凹んでいるところなので親指で痛くない程度の力でマッサージしましょう。
【眼精疲労のツボ】魚腰(ぎょよう)
眉毛と瞼の真ん中あたりに位置します。親指の腹を当ててゆっくりと押しながら小さな円を描くように10回ほどぐるぐるとマッサージすると効果的です。
【眼精疲労のツボ】絲竹空(しちくくう)
眉尻部分にある少し窪んだ部分のツボです。眼精疲労の他頭痛にも効果があります。
他のツボ同様指を立てず、親指の腹でじっくり押すように力を加えぐるぐる回すようにマッサージすると効果的です。
上記のツボをあまり力を入れすぎず、じんわりと血行をよくするイメージで揉んでいきます。
上記のツボをあまり力を入れすぎずにマッサージする
最初に太陽という部分をマッサージしてする。順番にマッサージして筋肉をほぐす。血流をよくすることで疲労回復に必要な栄養分を全身に巡らせるので一層回復が早まります。
眼精疲労は予防も改善もできます!
今回は、眼精疲労の原因や、眼精疲労にならないための予防方法や、オススメの目薬について紹介しました。
情報化社会が進み現代人に多く発症している眼精疲労ですが、症状や原因を把握することで対策や予防できます。
ブルーライトをカットできるメガネや、簡単にできるマッサージなどは今すぐ取り入れられる予防方法です。
目薬も市販ではかなり多くの種類が販売されています。
薬局やお店で薬剤師に聞いてみてもいいでしょう。
誰にでも起こりうる症状ですが正しくすれば、改善しやすい症状です。
少しでも目の疲れ、違和感を感じ始めたら早めに予防するように心がけましょう。
テイコク製薬社調剤店舗「薬剤師」
35年の薬剤師キャリアを活かし、「健康を知り尽くした調剤マスター」としてテイコク製薬社の調剤業務に従事。