卵はコレステロールが高い!?卵とコレステロールの知られざる関係性
テイコク製薬社調剤店舗「薬剤師」
35年の薬剤師キャリアを活かし、「健康を知り尽くした調剤マスター」としてテイコク製薬社の調剤業務に従事。
卵を食べるとコレステロール値が上がり、健康に悪いと思っていませんか?
卵の摂取が原因で健康被害が出るという認識は間違いで、むしろ積極的に摂取したほうが健康にいいという研究があります。
卵とコレステロールの因果関係について、正しい知識を身につけましょう。
今回は、コレステロール値が上がる原因や、コレステロールと卵の関係性についてご紹介します。
この記事の目次
【コレステロールと卵】コレステロールとは?
コレステロールとは、ステロイドに分類され、その中でもステロールと呼ばれるグループに属する有機化合物の一種のことで、人間の体内に存在している脂肪分の一つです。
脂肪は有害な物質であるかのようにいわれることがしばしばありますが、本来は人間の身体にとって欠かすことのできない大切な物質です。
コレステロールは人間の全身を作っている細胞の膜を形作っているほか、性ホルモン、副腎皮質ホルモン、胆汁酸などを作る材料にもなります。
それだけでなく、ビタミン類などを代謝する役割もあり、人間の身体にとってはとても重要です。
わたしたちは、コレステロールを食品から日常的に摂取しています。
体内のコレステロールの量は人間の身体が一定の状態を保とうとする機能によって常に安定していますが、何らかの原因によって血液中のコレステロール量が増加すると動脈硬化が起こり、様々な病気の原因となります。
よく「善玉コレステロール」「悪玉コレステロール」という言葉を耳にしますが、その違いはなんなのでしょうか?
【コレステロールと卵】悪玉コレステロールについて知ろう!
悪玉コレステロールは、LDLコレステロール(低比重リポたんぱく質)とも言われます。
コレステロールは血液中に流れ込むと、たんぱく質と結合してリポたんぱく質という物質になりますが、この肝臓で生成されたリボたんぱく質を全身に運ぶ役目を担っています。
【コレステロールと卵】善玉コレステロールについて知ろう!
玉コレステロールは、HDLコレステロール(高比重リポたんぱく質)とも言われます。
体内で余ったコレステロールを回収する役割を担っています。
悪玉コレステロールは増えすぎると動脈硬化の原因となり、逆に少なすぎると脳出血の原因にもなります。
こうした働きがあるため「悪玉」と呼ばれ、反対に悪玉を回収する働きのあるHDLは「善玉」と呼ばれています。
【コレステロールと卵】コレステロール値が上がる原因
コレステロールは生きていく上で必要不可欠な成分ですが、量が増えすぎると、様々な健康被害をもたらすことがよく知られています。
健康診断で「血中コレステロール値が高いですね」と言われたりしたことはありませんか?
血中コレステロール値が上がる原因は様々ですが、主に以下の要因が影響しているのではないかといわれています。
【コレステロールと卵】遺伝的な原因です!
高コレステロールになりやすい体質を、生まれながらにして持っている
【コレステロールと卵】食生活の欧米化が原因です!
脂肪の多い食生活、とくに肉食や揚げ物が多くなりがち
【コレステロールと卵】運動不足が原因です!
摂取したエネルギーを消費できず、脂肪として体内に蓄積される
【コレステロールと卵】ホルモンバランスの変化が原因です!
とくに女性の場合、更年期を迎えると女性ホルモンの分泌が減る
【コレステロールと卵】喫煙が原因です!
喫煙により、悪玉コレステロールが増えて、善玉コレステロールが減るといいます。
コレステロール値が上がる原因として、日頃の生活習慣が大きく関係していることはよく言われていますが、やはり「脂っこい食事の食べ過ぎ」「運動不足」「喫煙」が悪影響を及ぼしていることは間違いないようです。
【コレステロールと卵】コレステロール値が上がるとどうなる?
血中コレステロール値が異常になると、どのような健康被害が出るのでしょうか?
まず、血管の壁の中に悪玉コレステロールが溜まり、コブのような塊ができます。
コブができると、その部分の血管が硬くなり、いわゆる「動脈硬化」の状態になります。
また、血液がドロドロになり、最終的には塊ができ「血栓」として血管内の血流を阻害します。
血栓ができてしまうと、心臓に血液が循環しなくなり「心筋梗塞」を起こしてしまったり、脳内で血流が止まり、脳内の酸素が不足してしまうと「脳梗塞」になってしまったり、脳内で血管が破裂し「脳内出血」を引き起こしてしまう恐れがあります。
頭蓋骨とその内側のくも膜の下で出血する「くも膜下出血」も、割とよく耳にする脳出血の一種です。
また、血行が悪くなると、手足が冷えやすくなったり肩こりがひどくなったり、むくみが出たり便秘しやすくなったり、様々な悪影響が出ます。
いずれにしても高脂血症と血中コレステロールは密接な関係にあり、とくに中高年の皆さんは気を付けた方がいいでしょう。
「痛風」と血中コレステロール値の高さは関係していると思われやすいですが、厳密にいうと痛風は血液中の尿酸値が高い状態により引き起こされる症状であり、高脂血症や血中コレステロール値とは直接関係ありません。
しかし、痛風患者と血中コレステロール値が高い人に共通して言えることは、肥満気味で脂っこい食事やお酒が大好き、運動不足という共通点があります。
【卵とコレステロール】コレストロール値の因果関係
コレステロール値を下げる為ため、日ごろの運動、禁煙、節酒に食事制限、いろいろな対策を取っている方が多いと思います。
その中でも、食事制限で「卵を食べない」という選択肢を選ばれている方が大変多いです。
事実、筆者の家内もLDLの値が異常に高いので、卵を控えましょうとお医者さんから言われ、最近まで卵を食べない生活を続けていました。
筆者も気になり、卵を食べると本当に血中コレステロール値が悪くなるのか?といろいろと調べてみました。
結論からいうと、(常識の範囲で)卵を食べたから血中コレステロール値が悪くなるというのは間違いです。
まず、コレステロールと言う成分は肝臓で生成される量が圧倒的に多く、体重50kgの人で1日当たり600~650mgくらいと言われています。
卵は全卵で1個当たり210㎎程度のコレステロールが含まれていると言われていて、これだけを聞くと「なんだ高コレステロールじゃん!」と思われるかもしれません。
しかし、食事でとったコレステロールのうち吸収されるのは、体内でつくられるコレステロールの3分の1~7分の1程度にすぎません。
また、コレステロールは食事でとる量が少なければ体内で多く合成され、食事でとる量が多ければ、少なく合成されます。
常に一定量が保たれるようになっているため、食事からの影響は少ないのです。
毎日3食オムライスや天津飯、TKGを大量に食べ続けない限りは、身体に悪影響を及ぼすとは言えないでしょう。
卵は「完全栄養食品」と言われ、良質なたんぱく質をはじめ、各種ビタミン類、亜鉛、カルシウム、リン、鉄などのミネラル類を豊富に含んでいます。
生活習慣病の予防や改善に効果があるといわれるレシチンやコリン、カロテノイドなどの機能性成分も多く含まれています。
【卵とコレステロール】健康にいい卵料理
卵は前述の通り、栄養価の高い完全栄養食品です。
どうせだったら、その高い栄養価を効率よく吸収したいものですね。
実は、この調理法により、大きく栄養価が変わるのです。
卵のたんぱく質は、非加熱の場合は約51%しか吸収できないのに対し、加熱した場合は約90%も体内に取り込めます。
つまり、TKG(卵かけご飯)よりも加熱した方が、栄養価は高いということですね。
ですが、加熱しすぎると、コレステロールが酸化してしまいオキシステロールと言う、かえって健康に悪い成分が生成されてしまう恐れがありますので、加熱のしすぎには注意が必要です。
筆者お薦めの健康にいい卵料理を紹介します。
【卵とコレステロール】ゆで卵
卵料理の王道中の王道ですね。
半熟卵もとてもおいしいですが、筆者は、約10分程度茹でた状態、これにマヨネーズをかけたものが一番好きです。
【卵とコレステロール】ポーチドエッグ
70~80℃程度のお湯の中に卵を割り入れ、3分程度加熱します。
出汁醤油をさっとかけてツルンと、温泉卵のような食感がたまりませんね。
【卵とコレステロール】目玉焼き
目玉焼き王道中の王道ですね。
半熟でも固めでもOK、卵をフライパンに落とす前に、ハムやベーコン、あるいはポークランチョンミートを焼いておくと楽しみ倍増ですね。
【卵とコレステロール】卵焼き
昔は「巨人・大鵬・卵焼き」と言われるくらい日本国民誰もが大好きなメニューですよね。
だし汁をたっぷり含ませただし巻き卵、昔お袋さんが作ってくれた甘~い卵焼き、因みに沖縄で親しまれている「ポーク玉子」に使う卵焼きは、砂糖を入れないのがポイントだそうです。
【卵とコレステロール】オムレツ
具入りでも具なしのプレーンオムレツでも、卵のおいしさが存分に味わえますね。
皆さんもお好みのレシピで美味しく卵を調理して、おいしく食べましょう。
卵とコレステロールでわからないことは相談しよう!
今回は、コレステロール値が上がる原因や、コレステロールと卵の関係性について紹介しました。
卵を食べるとコレステロール値が上がり健康によくないので、食べるのを控えようという考えはむしろ間違いで、適量を積極的に摂取すべきなのです。
血中コレステロール値が上がる原因は他にあり、そちらを改善することの方がはるかに重要です。
栄養価を高めるレシピで卵を調理し、楽しくおいしくエッグライフを楽しみましょう。
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