【股関節が痛い原因】股関節痛が痛い時の治療方法について知りたい!
テイコク製薬社調剤店舗「薬剤師」
35年の薬剤師キャリアを活かし、「健康を知り尽くした調剤マスター」としてテイコク製薬社の調剤業務に従事。
身体のなかで、上半身と下半身をつないでいるのが「股関節」です。
股関節は非常に大事な部位です。
股関節上からは体重が、下からは歩いたり、蹴ったり、飛んだりする衝撃がかかるので、股関節の周囲は筋肉で補強されています。
私たちの身体が上下左右にぐらつくことなく、バランスよく立ったり、座ったり、飛んだり、跳ねたり、走ったり、自分の思い通りに自由自在に動けるのも、股関節が大きく関係しています。
股関節に何らかの炎症が起きて、うまく気のしなくなったらとたんに動きが不自由になり、日常生活に支障をきたします。
それほど、身体にとって股関節は重要なものです。
そこで今回は、股関節が痛い原因や、股関節が痛い時の対処方法について紹介します。
この記事の目次
【股関節が痛い】股関節がどこにあるか知ってる?
いきなりですが、股関節が身体のどこにあるか知っていますか?
人によってはお尻をさすりながら「股関節が痛いんです…」「腰をさすりながら…」「身体の真横をさすりながら…」股関節が痛いと訴える方が少なくありません。
股関節の場所というのは、身体の前面にあります。
ズボンをはいて椅子に座ったときに、腿とお腹の境目に線ができます。
ちょうど、ビートたけしがギャグでやっているコマネチラインです。
そして、腿の幅の真ん中のコマネチラインの奥に股関節があります。
股関節の構造はどうなっているかといえば、大腿骨の上端には「骨頭」と呼ばれる球状のものがあり、その骨頭の丸みがすっぽりと収まる寛骨臼があり、そこにはまり込んで股関節を形成しています。
股関節を形成する骨頭と寛骨臼の表面は、弾力があってなめらかな軟骨に覆われています。
そして、股関節の周囲を22本の筋肉が取り囲んでいます。
軟骨は股関節を自由自在に動かせます。
また、周囲の筋肉は股関節に衝撃が加わらないよう、足にかかる衝撃を吸収する役割があります。
飛んだりはねたりしても、股関節の周囲の筋肉が脚や腿にかかる衝撃を吸収して、軟骨や股関節を守っています。
軟骨は、軟骨細胞とそれを取り囲む基質からなる組織で、軟骨のなかには血管、神経、リンパ管などを存在しません。
それだけに耐久性にすぐれています。
しかし、いくら耐久性がいいからといってもよる年波には逆らえず、年を経るごとに軟骨はどうしても減ってきます。
【股関節が痛い】股関節が痛い原因はなに?
軟骨がすり減ってしまうと、軟骨で覆っていた骨頭や寛骨臼が、脚を動かす(股関節を動かす)ごとに、骨同士が擦れ合って痛みを発症します。
そうなると、歩くたびに痛みを感じるようになって、ひどくなると歩行困難になるケースがあります。
股関節が痛くなるのは、軟骨がすりへってしまうのも大きな原因の1つです。
股関節を取り巻いている筋肉が、血流が悪くなって、血液や酸素などが十分に筋肉にいき渡らなくなってしまうと、歩いたり、飛んだり、跳ねたりする衝撃を筋肉が吸収しきれなくなって、その衝撃が軟骨に伝わり痛みを感じます。
股関節が痛い原因はいろいろあります。
まず、考えられるのは股関節の脱臼です。
股関節の脱臼は、大腿骨の骨頭が寛骨臼のくぼみから外れたことによって生じます。
自動車事故にあってダッシュボードに膝をひどく打ち付けたり、はしごなど高所に昇っていたところから落下したり、ラグビーやアメリカンフットボールで激しくぶつかり合ったりしたときに股関節を脱臼します。
高齢者になると、ちょっとした力が股関節に加わっただけで、脱臼することもあります。
また、関節リウマチを患っていたり、医薬品でもステロイド系の薬を大量に投与されたりすると、大腿骨の骨頭に悪影響がでます。
骨頭への血流が悪くなって骨に必要な栄養素や血液が行き渡らなくなり、大腿骨の骨頭が壊死し、股関節に痛みを発症することがあります。
また、これも高齢になってくると出てくる病気が変形性股関節症です。
変形股関節症は、股関節症の中でももっとも多い症状で、男性よりも女性に多いとされています。
また、欧米人に比べると東洋人に変形股関節症が多いといわれています。
変形性股関節症の原因として考えられているのは、臼蓋形成不全によるものです。
臼蓋形成不全とは、骨盤の寛骨臼が大腿骨の骨頭をはめられないほど、丸みと深みが足りない状態で形成されていることであり、骨頭がすっぽり寛骨臼にはまっていないため、体重や脚にかかる衝撃を支えきれず、骨が少しずつ削れてしまって、変形固化関節症を発症してしまうわけです。
臼蓋形成不全は生まれつきのものですが、そうでない人でも加齢が進むことで、関節が徐々に変形して、変形性股関節症を発症するケースが少なくありません。
股関節が痛いと感じるのは、上記に述べたような要因で、関節が炎症を起こしてしまうからです。
股関節が痛いと感じる原因は、股関節脱臼や変形性関節症などによるものですが、その他にも股関節を襲ういろいろな症状によって、痛みを伴うことがあります。
変形性股関節症については後で詳述します。まず、「大腿骨頭壊死症」です。
これは股関節の要でもある大腿骨上部の骨頭が壊死する病気です。
なぜ、壊死するかといえば、何らかの理由で骨頭にまで血流が行き渡らず、骨に必要な血液や酸素が極端に不足し、骨頭が壊死してしまうわけです。
大腿骨頭壊死症は、ステロイドの投薬とも大きく関係しており、普段からアルコールを大量に摂取する人は、この病気にかかりやすいといえます。
骨頭が壊死すると、どうなるでしょうか?
それは骨頭が変形したり、それによって股関節も変形してきますので、そこから痛みが発症することになります。
大腿骨頭壊死症の初期段階では痛みはまだ軽いです。しかし、この症状が進行すると徐々に痛みは大きくなり、我慢できなくなります。
次に、「大腿骨頚部骨折」があります。
大腿骨の頸部とは、大腿骨と骨頭をつなぐ位置にある骨の部分で、この部分が何らかの原因で骨折することを、大腿骨頸部骨折といいます。
大腿骨頸部が骨折するということは、骨が相当もろくなっている状態といえます。
骨粗鬆症と診断されている方が転倒したりすると、大腿骨頸部骨折を招きやすくなります。
男性と女性を比較すると、圧倒的に女性の大腿骨頸部骨折が多くみられます。
骨が折れるわけですから、股関節の周囲が晴れたり、総統な痛みを伴います。
人によっては歩くことが難しくなったりします。
ところで、最近、股関節の痛みについてあらたな概念が登場しています。
それは、「股関節のインピンジメント」(FAI:femoroacetabular impingement)です。
これは、MRIが普及したおかげでわかってきた股関節の痛みの原因ですが、骨の内部組織や周囲の何個沓内部の異常が原因で起こる痛みだといわれています。
身体の運動とも関係しますが、股関節を深く曲げたりした場合、そうした運動行為が続くと、大腿骨と骨盤がぶつかり合って、骨の内部組織に異常をきたし、痛みを感じるという説です。
通常、レントゲンでみても、骨折以外には骨の内部組織の異常はなかなか把握できないものです。
そのため、股関節に異常があって見過ごされがちでした。
【股関節が痛い】股関節が痛いと日常生活への影響は?
股関節が痛い代表的な奨励である変形性股関節症に例をとって、股関節症の症状と日常生活への影響について紹介します。
変形性股関節症は何もしないで放っておくと、徐々に症状が進行して、痛みがひどくなってきます。
軟骨は一度、傷ついたり、すり減ってしまうと、完全に元に戻すのは困難です。
変形性股関節症の症状を遅らせたりはできます。
変形性股関節症の症状は、大きく分けると3段階に分かれます。
初期段階、症状が進行中の段階、末期的段階です。
初期の段階は、痛みも軽く、腰のあたりやお尻、膝に何となく違和感を感じるといった状態です。
痛みも少し伴います。
軟骨が徐々にすり減ってきて、大腿骨の骨董と寛骨臼の間が少しですが、通常よりも狭くなっています。
自分が変形性股関節症にかかっていると、気づかない場合が多いです。
初期の治療としては、重すぎる体重を減らすダイエットに励んだり、痛みを和らげる痛み止めを飲んだりして、様子を見ます。
そして、変形性股関節症が徐々に進行し始めると、これまで違和感だと感じていたものが痛みに変わり、痛みの間隔も常時というふうに、痛みがずっと続いた状態になり、股関節の動きが極端に鈍くなります。
脚の動く範囲が狭くなり、脚力も落ちてきますので、歩行がさらに困難になります。
進行した変形性股関節症の股関節をレントゲンでみると、明らかに骨董と寛骨臼との間が狭くなっているのがわかります。
軟骨の摩耗が激しくなっているからです。
それ以外には、軟骨損傷部から関節液などが骨に侵入したために、骨が溶解し始めて穴ができてしまう骨嚢胞や、軟骨が肥大増殖して次第に硬くなって骨化し「とげ」のようになる骨棘が出現します。
変形性股関節症の進行中の治療法は、痛み止め薬の服用、筋力強化、温熱療法などです。
そして、変形性股関節症の末期を迎えます。
痛みはますますひどくなり、間接が非常にかたくなって、進行中に比べると、さらに歩行が困難となります。
そのためじっとしていても痛みがあり、脚の筋肉は低下して、脚が細くなったり、左右の脚の長さが違ったりしてきます。
骨董と寛骨臼の隙間はほとんどなくなり、股関節は著しく変形してきます。こうなってくると治療法は、人工股関節置換術で対応するしかありません。
人工関節弛緩術を施すことによって、痛みが軽減し、歩きやすくなってきます。
【股関節が痛い】股関節症かセルフチェックしよう!
自分が股関節症にかかっているかどうかチェックができます。
以下の項目に自分の身体の状態が当てはまるかどうか、チェックをしてみましょう。
1つで当てはまれば、専門医(整形外科、スポーツ診療科など)を受診しましょう。
- 寝返りを打つと、腿の付け根の関節が痛い
- 膝が常に重く感じる
- 家族や親戚に股関節の病気を抱えている人がいる
- 動き始めたり、歩き始めると、腿の付け根が痛くなる
- 歩くとき、身体が左右にゆれたりする
- 家の階段や駅の通路の階段など、段差のあるところでは上るのがつらい
- 靴下を吐くのに時間がかかる
- 運動をした後に、腿の付け根やお尻の横が痛くてたまらなくなる
- あぐらをかけない
- 左右の脚の長さが違ってきたので、ズボンをはいたときに、左右がちぐはぐになる
- 足の爪切りがやりにくい
- 和式トイレの使用や正座が困難である
- 長時間立っていたり、歩いたりすることがつらくなる
- 車やバスの乗り降りも手すりが必要である
【股関節が痛い】変形性股関節症の治療法を知ろう!
変形性股関節症の患者は、女性が圧倒的に多いです。
女性の変形股関節症の原意の80%は、発育性股関節形成不全の後遺症、股関節の形成不全など、幼少の頃の病気や発育障害の後遺症によるものといわれています。
しかし、近年は少子高齢化が進み、そうした子どもの頃の病の後遺症ではなく、年齢を経るに従って変形性股関節症を発症するケースも多くなっています。
問診や診察のあとに、レントゲン撮影して、変形股関節症がどの程度進行している状態かをチェックします。
さらに精密検査が必要と判断した場合は、CTやMRI撮影をしてから、変形性股関節症の症状を判断します。
まず、本当に変形性股関節症からくる痛みなのかどうかを判断します。
股関節症の痛みなのか、座骨神経痛からくる痛みなのかどうかによって、治療方法なども異なります。
一つの判断材料として、腰や脚からくる座骨神経痛の痛みであれば、長時間歩いた跡に痛みが生じつくるのが一般的です。
しかし、変形性股関節症の場合は、歩き始めるときや動き始めるときにもう痛みを感じてしまうのが特徴です。
まれではありますが、骨盤に腫瘍ができていたり、骨盤のなか走る血管からの出血、腹部に何らかの原因で膿がたまったために、それが股関節を圧迫して痛みにつながったりすることもあります。
股関節は運動機能を順調にするための大切な器官です。
変形性股関節症と診断されたら、できるだけ股関節をこれ以上痛み付けないような日常生活を送る必要があります。
これを保存療法といいます。
変形性股関節症は、痛み止めの薬を服用するのも治療法の1つですが、初期の段階では軽い運動などの時は薬を服用せず、どうしても股関節に不安をしいらなければならない時に痛み止めを服用するようにしましょう。
仮に、太りすぎの場合は、ダイエットをしましょう。
一般に股関節にかかる重量は体重の4倍と言われています。さらに、外出時には股関節を守る意味でも杖などを使うことで、股関節にかかる負担を軽減しましょう。
変形性股関節症が進行するにつれて、歩きづらくなってくると脚の筋肉を使わなくなってきます。
徐々に脚の筋力が低下してきます。
そんな時は近くのプールなどで水中歩行したり、クロールで泳いだりすることで筋力の衰えをカバーしましょう。
水中歩行以外の運動療法が考えられますが、変形性股関節症の方が運動すると、どうしても痛みを伴ってしまいます。
運動療法を取り入れる場合には、専門医に相談することをオススメします。
以上のような保存療法で症状が改善されない場合は、手術を考えます。
変形股関節症の手術には、大きく分けると3種類あります。
「関節鏡手術」と「骨切り術」「人工関節置換術」です。
【股関節が痛い】変形性股関節症の治療方法「人工関節置換術」
日本国内では、年間6万件の人工股関節置換術が行われており、変形性股関節症の呪術としては一般的になりつつあります。
人工関節置換術を受けた患者さんの多くは、歩くのが困難だったものが改善されたり、股関節の痛みがなくなったり、外出が楽になったので旅行に出かけたりと、術後の回復も順調な人が多いと言います。
人工股関節置換術は、すり減ってしまった軟骨を含む関節を取り除き、金属製やプラスチック製の人工関節に置き換える手術です。
骨盤に人工臼蓋を、大腿骨に人工骨頭を設置します。
人工間接置換術は、骨と人工関節の接合方法によって、2つの方法にわかれます。
従来は、骨セメントという固定材料を用いて骨と人工関節を結びつけていましたが、2000年以降は、骨セメントはいっさい使用しないで、骨と人工関節の直接結びあわせるセメントレス人工股関節術が主流となっています。
人工関節置換術によって、運動機能や痛みは大幅に改善され、日常生活に支障がなくなってきてきます。
人工関節の耐用年数は約20年と言われています。
股関節が痛い時は早めに病院に受診しよう!
今回は、股関節が痛い原因や、股関節が痛い時の対処方法について紹介しました。
痛みを感じてはいるけど、病院に行くほどではないなぁ…。と、しばらく放置してしまっている方は、ぜひ一度病院で診察をうけてみて下さい。
また、骨には異常がないのに、座っている姿勢から立つ姿勢になると痛みが走るなどの場合は、整体院などで体の歪みを整えることで解決する場合もあります。
いずれにしても、股関節の痛みを放置していいことはありません。
健康で毎日をイキイキと過ごすためにも、早めに対処しましょう。
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