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マインドフルネスとは?「今」を見つめ直すマインドフルネスの方法や効果について

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マインドフルネスとは?「今」を見つめ直すマインドフルネスの方法や効果について
薬剤師「伊東」
記事の監修 伊東 和子(いとう かずこ)

テイコク製薬社調剤店舗「薬剤師」

35年の薬剤師キャリアを活かし、「健康を知り尽くした調剤マスター」としてテイコク製薬社の調剤業務に従事。

最近、マインドフルネスや瞑想がビジネスマンや主婦層を中心に広がりつつあります。何が人々をひきつけているのでしょうか。マインドフルネスや瞑想の魅力を探ってみました。

今、マインドフルネスや瞑想が注目される理由

マインドフルネス・瞑想

私たちの住んでいる社会は猛烈な勢いで変化をしています。とくに、アナログからデジタル全盛のデジタル社会到来を迎えて、過去の価値観や生活様式、ものの考え方など、日常生活を取り巻く環境は大きく様変わりをしつつあります。

そんな時代の変化の波にさらされて、私たちの精神や肉体には個人差はあるにしても、いろいろな弊害が出ています。たとえば、精神的なストレスの増加などは大きな問題でしょう。また、経済的格差も無視できません。非正規労働者の増加によるいろいろな問題も深刻さを増しています。さらに、少子高齢化の進展によっても、日本の社会はこれまでと違った様相を呈してくる可能性が高まったいます。

昔と比べて、現代人は疲れているという声を耳にする機会もふえてきました。

そうした忙しい時代のなかで本当の自分を見失うことなく生活していくためには、どんな有効的な方法があるのでしょうか。精神や肉体を人間が本来持っている自然で正常な状態に保つ秘訣があるのでしょうか。

そこで今、注目を浴びつつあるのが、「マインドフルネス」です。

マインドフルネスとは、ふだんの生活のなかであまり聞きなれない言葉です。医療の面で取り入れられたことによって、あっという間に世界中に広まったといわれています。このマインドフルネスを医療分野に最初に取り入れた人が、マサチューセッツ大学医学校名誉教授のジョン・カバットジン(Jon Kabat-Zinn)博士です。

患者が慢性の痛みと向き合うための方法として、「マインドフルネス瞑想法」を、「マインドフルネスストレス逓減法」という医療プログラムのなかに取り入れたのが直接的なきっかけです。

今では、このマインドフルネス瞑想法は、社員研修の一環として、IT企業を中心に導入されています。たとえば、グーグルやフェイスブック、アップルなど今を時めく企業では、社員研修に活用しています。

では、なぜこのようにマインドフルネス瞑想法が注目を浴びているのでしょうか。それは、精神的、肉体的な改善効果が認められるようになってきたことがもっとも大きな要因ですが、だれでも手軽に取り組むことができるからというのも流行っている大きな要因の一つではないでしょうか。

マインドフルネスとは、その言葉の意味することを素直に解釈していくと、マインド(精神、心)がフルネス(満たされている、いっぱい)の状態になるということです。つまり、自分の精神や心が満たされているということに他なりません。別の言葉で言えば、精神や心が安定している状態ということになります。

それはどういうことを意味するのでしょうか。
たとえば、心が満たされていれば、心配事がありません。心配事がありませんからくよくよ悩んだり、落ち込んだりする必要はありません。人間、心配事や悩みから解放されたらどんなに精神的に楽になるでしょうか。

心にゆとりができて、ものごとを見るのも素直な視点で眺めることができます。そこには邪心がありませんから、よこしまな考えが浮かぶこともありません。神経は研ぎ澄まされて、ものごとの本質を見抜く力が高まってきます。

日常生活や仕事に対して前向きに取り組むことができるようになり、人間関係もスムーズになります。周りの人たちから一目置かれるようになり、自然と人が集まってくるようになります。気がついてみたらリーダー的な立場に立っている可能性もあるでしょう。

こう考えてくると、マインドフルネスが希求されるのも無理のない話です。

現代で使われるマインドフルネスの言葉の意味

マインドフルネスという言葉は、仏教の経典から生まれた言葉です。仏教の経典に使われている古いインドの言葉である「サティ(sati)」を現代の英語訳にしたものが、マインドフルネスです。

また、マインドフルネスという言葉には、多くの類義語があるといわれています。一例をあげると、「自覚」「気づき」「集中」「覚醒」などです。

マインドフルネスの根本にある2つの考え方

マインドフルネスとは

マインドフルネスとは、行為を指すこともあれば、精神状態を指すこともあります。
マインドフルネスとは?ということに対していろいろな解釈があるなかで、ふたつだけ共通する点があります。

それは、「判断しない」ということと、「今この瞬間に意識を向ける」ということです。

ウィキペディアの英語版には、マインドフルネスについて次のような説明があります。
「マインドフルネスは、判断なしに現在の瞬間に発生する経験に意図的に注意を向ける心理的プロセスです。マインドフルネスは、仏教の伝統の重要な要素であるサティに由来し、禅、ヴィパッサナー、およびチベットの瞑想技術に基づいています。マインドフルネスの定義と技術は多岐にわたります。(略)うつ病の症状やストレスの軽減、および薬物治療において用いられています(略)」

  • 「判断しない」とはどういう意味か?上記でいう「判断しないこと」とはどういうふうに解釈したらいいでしょうか。
    それは、いま目の前で起きている現象や事象、事態を偏見や先入観をもたずに、ありのままに観察することであり、そのままの状態を素直に受け止めることを意味しています。人は得てしてものごとを判断するときは、善悪あるいは好き嫌いで判断しがちです。人間は感情の動物だからそうやって判断するのは無理のないことかもしれません。しかし、それでは本当は何が起きているのか、その本質を見逃してしまうおそれがあります。今起きている現象をありのまま受け入れることができれば、適切な対応ができるようになり、深刻な問題に発展することもなくなるでしょう。

 

  • 「この瞬間に意図的に意識を向ける」とはどういう意味か?この瞬間に意識を向けるとは、この瞬間だけに集中をする、ということです。何もかも忘れて無の心で立ち向かうことです。過去がどうであれ、未来がどうなろうが関係はありません。それらに気をとられることなく、この瞬間だけ意識を集中することによって、この瞬間にいったい何が起きているのか、深く観察することができるようになるのです。そうすることで、自分の集中力や観察力も高まるはずです。五感も鋭くなるでしょう。気づく力もついてきます。いままで見過ごしていたものがはっきり見えるようになってきます。そうすると、自分がいまどんな精神状態であるのか、肉体的にどうなのかを冷静に判断できるようになります。

    そんな心の状態を保つことができます。それが、マインドフルネスの状態だといっていいかもしれません。

 

マインドフルネス瞑想がもたらす心と体への効果

マインドフルネス瞑想の効果

マインドフルネス瞑想をすることで、身体的・精神的な効果を生み出すことが数々の研究からわかっています。
たとえば、身体的な効果は以下の通りだといわれています。

身体的な効果

  • 緊張から解き放ち、表情や身体をリラックスな状態にもっていきます。
  • 痛みや喘息を沈め過食症や抑うつ症などの精神的疾患を改善します。

また、精神的な効果としては次のようなことが言われています。

精神的な効果

  • 集中力が増してきます。
  • ストレスがかなり軽減できます。
  • もともと備わっていた注意力がよりきめ細かくなり、より深い洞察力を養うことができます。
  • 自分の置かれている状況をありのままに受け入れる心の余裕ができます。
  • 問題を解決することに絶対的な自信をもってのぞむことができます。
  • 精神的な痛み(ショック、つらいことなど)や肉体的な痛みを和らげることができます。
  • ネガティブな感情をコントロールする自信がわいてきます。
  • 怒りや疲れ・妬み・嫉み・不安感・イライラ感・落ちこむことが少なくなります。

そのほか、次のような効果が報告されています。

その他の効果

  • 記憶力が増すことで学習にますます身が入るようになり、成績が向上します。
  • 食事の咀嚼回数が増えるので、食生活が健全なものになり、適度な減量を行うことができます。
  • 意思決定の力が向上します。
  • 免疫力が高まります。
  • 穏やかな心を保てるので、いつもリラックスした状態になり心身ともに健康的な生活をおくることができます。
  • 他人を思いやる心の余裕が生まれ、共感性が増します。

マインドフルネス瞑想のメリット・デメリット

マインドフルネス瞑想は、誰でも手軽に実践できますし、費用もほとんどかかりません。また、薬のような副作用もありません。身体には悪影響を及ぼす要因がないと考えられています。

ただし、疾病がある方はマインドフルネス瞑想を行う際には、あらかじめ医師に相談し、アドバイスを受けるようにしたほうがいいでしょう。

代表的なマインドフルネス瞑想の実践方法

マインドフルネス瞑想の実践方法

マインドフルネスな状態をつくりだすのがマインドフルネス瞑想ですが、ある時期だけに行うという一時的なものではなく、毎日継続して行うことで効果が見えてきます。

マインドフルネス瞑想の代表的な方法を紹介しましょう。

マインドフルネスの方法① 静座瞑想法

①椅子や床に身体が一直線になるように座ります。
②頭から首、背筋にかけてまっすぐな姿勢を保ちます。
③その状態で呼吸に神経を集中します。
④呼吸を整えながら深呼吸を1回から2回行います。
⑤それから目を閉じたまま鼻呼吸をゆっくり行います。
⑥呼吸に意識を向けたままお腹が膨らんだり引っ込んだりするのを観察します。
⑦何か雑念めいたものがわき起こってきたら、それはそのまま受け入れ、また呼吸に意識を集中していきます。

最初は1日1回、10分間程度行います。なれてきたら徐々に時間をのばしていき、30分以上集中できるようになるのが目標です。
30分以上、呼吸に意識を集中できるようになった時点で、次に意識を向けるのは身体全体や、呼吸に集中しているときに浮かんでくる思いなどです。

これを続けていくと、最終的には何も考えることがなくなり、自分の意識は完全に解放されて自由になり、単に座っているだけの状態を招きます。

マインドフルネス② ボディー・スキャン

①まず床に静かに横たわります。
②そして、目を閉じて、呼吸に意識を向けながら、左右の足のつま先から徐々に意識する身体の部位を変えながら頭のほうへと、意識を集中させます。
③頭の頂上まで意識を集中させます。

ここで大事なことは、意識を向けている部位が感じている感覚を感じ取り、そこから生じてくる思いに身をゆだねることです。

マインドフルネス③ 歩行瞑想法

歩いている状態での瞑想法です。

この歩行瞑想法は、私たちの日常生活のなかでもっと注意深くなるための訓練といえます。

①姿勢を伸ばして、前をまっすぐ見て歩きながら、歩く速度はいつもより少し遅めにします。
②歩きながら、呼吸や地面を踏みしめる足の感覚、歩いているときの身体全体の動き、歩いているときにわき上がってくる感覚に意識を集中させます。

マインドフルネス④ イーティングメディテーション

ものを食べながら行う瞑想法です。

①食べる前に食材をじっくり観察します。食材の一つ一つ、ご飯の一粒一粒を観察します。
②そして、食材を口に入れたら、歯ごたえや舌触りなどを楽しみましょう。

ポイントはじっくり味わって食べることです。その際、テレビなどは見ないで、会話もあまりしないで、食事に集中をしましょう。

マインドフルネス⑤ マインドフルリスニング

耳に聞こえてくる音に集中する瞑想法です。

この瞑想法を行うには場所選びがポイントになります。騒音がしない静かな環境を選ぶことが肝心です。

①まずは、目を閉じて吐く息に意識を集中しながら深呼吸を行います。
②そのときの自分の呼吸音に意識を集中します。
③その次に、周囲の音にも意識を集中します。

マインドフルネス瞑想法を実践するためには、自分自身の意識を常にとぎすませておく必要があります。しかし、人間ですからぼんやりすることもあります。そんなときは意識を集中させるための何かきっかけめいた、合図のようなものをあらかじめ用意しておくのもいいかもしれません。

マインドフルネス瞑想を行うときの注意点(場所の選び方)

マインドフルネス注意点

マインドフルネス瞑想法を行うためには、周囲が明るすぎても、暗く過ぎてもだめです。
また、暑すぎても寒すぎてもだめです。静かで、過ごしやすい温度の場所を選びましょう。

  • 明るすぎず、暗すぎない場所を選ぶ
  • 心地のよい室温の場所を選ぶ
  • 静かな場所で集中できる場所を選ぶ

マインドフルネス瞑想を行うとき、ヨガのような姿勢をとる必要はありません。自分がリラックスできる状態を保つのが肝心です。

【まとめ】自分と向き合う時間を、マインドフルネスで心も体もすっきり!

マインドフルネスを一言で言ってしまうと、注意力と集中力を養うトレーニングです。この二つが向上するだけでも、私たちの日常生活はぐーんと様変わりします。

たとえば、「毎日、穏やかな気持ちで過ごすことができるようになり、ストレスが軽減できて、疲れもすっかりとれるようになった」とか、「ものごとにこだわる自分だったが、それがなくなってきた。こだわりがなくなってきたら、楽に生活をできるようになった」などといった、日常生活での変化が訪れるというわけです。

そして、瞑想することによって、自分がいかに無駄に時間をつかっていたか、無駄なことを行ってきたのかを実感させられるはずです。
最初は効果があるのかなと疑問に思うかもしれません。しかし、徐々に慣れていき、マインドフルネス瞑想のコツをつかむことが重要です。

マインドフルネス瞑想の効果の表れ方は人それぞれに違います。最初は、呼吸の数をひたすら数えるだけでも有効ですから、明日から実践してみてはいかがでしょうか。

薬剤師「伊東」
記事の監修 伊東 和子(いとう かずこ)

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