「食後」と「眠気」の関係性は?食後に眠気がくる原因や予防方法を解説
テイコク製薬社調剤店舗「薬剤師」
35年の薬剤師キャリアを活かし、「健康を知り尽くした調剤マスター」としてテイコク製薬社の調剤業務に従事。
食後は眠気に襲われませんか?
特に昼食後に眠気に襲われるという人は多いと思います。
昼食後に仕事を開始しようと思っても、眠くて集中できなかったり、だるくてやる気が起きなかったり、食後の眠気はとても厄介です。
しかし、食後の眠気は食事の摂り方を少し工夫するだけで防げます。
食事中~食後にかけての血糖値の変化が主な原因です。
血糖値を意識して食事を摂ることで、食後の眠気やだるさを予防しましょう。
そこで今回は、食後の眠気に襲われる原因や、食後に眠気に襲われ時の眠気対策グッズについてご紹介します。
この記事の目次
【食後の眠気】食後に眠たくなりやすい人の10の特徴
食後の眠気には色々な原因がありますが、特に食事に関するものが多いです。
食後に眠気に襲われるという人は、以下に心当たりがあるのではないでしょうか?
【食後の眠気】朝ご飯を食べない!
朝ご飯を食べないと、昼食時に血糖値が急激に上昇するため、インスリンが多量に分泌されます。
すると血糖値が急降下し、眠気を引き起こします。
【食後の眠気】食べ過ぎている!
食べ過ぎると「オレキシン」という脳内物質が活性化し、脳内が覚醒状態から睡眠モードに切り替わります。
【食後の眠気】丼物やパスタなどの単品料理が多い!
炭水化物(=糖質)は、血糖値を上げる作用があります。
丼物やパスタなどの単品料理は、炭水化物を多く摂取することになりますので、血糖値が上がり、その後の急降下により眠たくなります。
【食後の眠気】玄米や雑穀米より白米、蕎麦よりラーメンが好き!
白米やラーメンなどの「白い」炭水化物は、玄米や雑穀米・蕎麦に比べてGI値が高いです。
GI値が高いものは、血糖値を急激に上昇させる働きがあるため、その後の急降下により眠気が起こります。
【食後の眠気】食物繊維をあまり摂らない!
食物繊維には、糖の吸収を穏やかにする働きがあります。
食物繊維を摂ることで血糖値の上昇が緩やかになりますが、あまり摂らない人は血糖値が急激に上昇する可能性が高いです。
【食後の眠気】早食い!
早食いは、血糖値の急上昇に直結します。
食べ物が一気に腸内に運び込まれることで、短時間で血糖値が上昇するため、注意が必要です。
【食後の眠気】果物やデザートなど甘いものをよく食べる!
果物やデザートには、糖分が多く含まれています。
糖分は血糖値を上昇させますので、食後のデザートが日課になっている場合は要注意です。
【食後の眠気】1人で食べることが多い!
一人で食事をすると食べ物に対する執着心が大きくなり、食べ過ぎにつながるという研究結果があります。
【食後の眠気】間食をしない!
間食はしないほうがいいんじゃないの?と思うかもしれませんが、空腹状態を続けた後に食事を摂ることで、血糖値が急上昇するため眠気が起こります。
【食後の眠気】睡眠不足になっている!
睡眠不足の場合は、午前中は頑張れても、午後になると体力が持たずに眠気に襲われることがあります。
【食後の眠気】食後に眠気に襲われる原因は3つ!
食後に眠くなるのは「なぜだろう?」と思っている人は少なくないと思います。
気候がいいから「眠たくなる」と思うかもしれませんが、それだけではなく他にも原因があります。
主な3つの原因について紹介します。
【食後の眠気】食事性低血圧が原因です!
食事性低血圧とは、食後に急激に血圧が低下することをいいます。
明確な定義はありませんが、食事摂取後1時間以内に平均血圧が20mmHg以上低下する場合などがこれにあたります。
自律神経失調症、パーキンソン病、アルツハイマー病、脳血管障害、高血圧などの既往があると、食事性低血圧が起こりやすいとの報告があります。
食後は、食べたものを消化するために胃や腸の血管が拡張し血液が胃腸に集まり、結果として心臓の血液量が減り血圧が低下します。
この時、健康な人の体では血圧を維持・調整できますが、上記に挙げたような病気がある場合は、自律神経などがうまく働かなくなり、急激な血圧低下が起こりやすくなり眠気が生じます。
【食後の眠気】オレキシンという脳内物質の活動が鈍るのが原因です!
上記で少し触れましたが、食事をして心身とともに満たされた状態になることで「オレキシン」という脳内物質の活動が鈍くなります。
動物はお腹がすくとエサを求めて脳が覚醒しますが、この時はオレキシンの活動が活発になっています。
しかし、エサを捕らえて空腹が満たされると、今度はオレキシンの活動が鈍くなり、眠気が現れます。
これは人間も同じで、お腹がいっぱいになるとオレキシンの活動が鈍くなり、食後に眠たくなります。
【食後の眠気】血糖値の乱高下のが原因です!
炭水化物や甘いものをたくさん食べたり、大食い・早食いをしたりすると、血糖値が乱高下する可能性が高くなります。
血糖値の乱高下というのは、食事により急激に上がった血糖値が、その後急激に下がることをいいます。
本来なら血糖値は食後緩やかに上昇し、その後緩やかに低下していきます。
グラフに表すと緩やかな波のような波形を描きますが、血糖値が乱高下している場合は、とがった釘(スパイク)が刺さっているような波形を描き、これを「血糖値スパイク」と呼びます。
このように血糖値を急上昇→急降下させるような食生活をしている場合は、食後の眠気を感じやすくなります。
【食後の眠気】食後の眠気と血糖値の関係性を知ろう!
血糖値スパイクは糖尿病の前段階であり、通常は食事をすると緩やかに上昇するはずの血糖値が、急激に上昇するようになります。
この血糖値スパイクが生じている可能性のある日本人は1400万人以上いるといわれており、9人に1人が血糖値スパイクの疑いがあることになります。
この血糖値スパイクは、放っておくと糖尿病になる可能性が高いため、できるだけ早く発見することが早期治療のカギになります。
食後の眠気とも深い関わりがあり、血糖値スパイクのリスクが高い人は、食後に眠気を感じる確率が高くなります。
血糖値スパイクは糖尿病の前段階とだとお話ししましたが、何らかの原因で食後短時間の間に血糖値が急上昇することをいいます。
血糖値が急上昇すると体が驚き、血糖値を下げようとしてインスリンが多量に分泌されます。
すると今度は一気に血糖値が下がり、低血糖状態になります。
低血糖状態になると、眠気、倦怠感、イライラが現れやすくなります。
どのような人が血糖値スパイクを抱えているのでしょうか?
以下の質問に答えていくことで、そのリスクを診断できます。
【食後の眠気】血糖値スパイクのセルフチェックリスト
- 朝食は食べない
- 週3回以上の外食やコンビニ食
- BMIが25以上
- 血のつながった家族に糖尿病の人がいる
- 3食のうち1食以上は10分以内に食べ終わる(早食い)
- 食後はあまり動かず椅子に座っていることが多い
- 運動の頻度は週3日以下
- 3回以上ダイエットに取り組んだことがある
- 6時間以下の睡眠が週3回以上ある
上記の項目に5つ以上当てはまる人は、血糖値スパイクのリスクが高いです。
3~4つの人は中リスク、2つ以下の人は低リスクになります。
健康診断では空腹時の血糖値を測りますので、血糖値スパイクの場合は検査値に異常がないと診断される可能性が高く、糖尿病になって初めて気づくケースが多いです。
もしかして…?と思う人は、食後すぐに血糖値検査をすることをオススメします。
【食後の眠気】血糖値スパイクの原因と予防方法
セルフチェックリストにあったように、下記に当てはまると食後の眠気=血糖値スパイクの原因になります。
- 朝食を食べない
- 早食い
- 運動不足
- 睡眠不足
- 太り気味
この他にも、下記に当てはまると血糖値スパイクの原因になります。
- 甘いお菓子やジュースをよく食べる
- 炭水化物メインのメニューをよく食べる
- お酒を大量に飲む
- 野菜不足
- 食事の時間が不規則
- 食後すぐに就寝する(2時間以内)
- たばこを吸う
- 移動はもっぱら車でする
- 怒りっぽい性格
血糖値スパイクの根本的な原因は、血糖値の急上昇なので、血糖値を急上昇させない生活をすることが予防につながります。
6つの予防方法について紹介します。
【食後の眠気】よく噛んでゆっくり食べて予防する!
早食いや大食いをすると血糖値が急上昇するので、よく噛んでゆっくり食べることで、早食いと食べ過ぎを防ぎます。
【食後の眠気】ベジタブルファーストを意識して予防する!
空腹の状態で炭水化物を食べると、血糖値が急上昇しやすくなります。
食事の際は、主食(糖分)より先に野菜を食べて、小腸に膜を作ることで糖分の吸収が緩やかになります。
食べる順番としては、野菜→タンパク質(肉・魚など)→炭水化物の順番で食べるのがオススメです。
【食後の眠気】1日3食しっかり食べて予防する!
食事を抜くと、血糖値はどんどん下がっていきます。
血糖値が下がりすぎた時にドカ食いすると、一気に血糖値が上がる原因になります。
朝昼晩しっかり食事を摂って、血糖値の急上昇を防ぎましょう。
【食後の眠気】間食を有効活用して予防する!
1日3食食べていてもお腹がすいてしょうがない時もあると思います。
そんな時は食物繊維が豊富なドライフルーツやナッツ類を少しつまむようにするといいです。
食物繊維は糖の吸収を緩やかにする働きがありますし、空腹による食後の血糖値の急上昇を防げて一石二鳥です。
【食後の眠気】食材選びに気を付けて予防する!
主食にはご飯や麺類、パンなどがありますが、「白」のものより「黒」「茶色」のものを選ぶようにしましょう。
ご飯なら玄米や雑穀米、麺類なら蕎麦、パンなら全粒粉のパンというように、色の濃いものを選びましょう。
精製されていないものは食物繊維が豊富なので、糖の吸収を抑える効果があります。
【食後の眠気】おやつは糖質オフにして予防する!
最近は糖質オフの食べ物が多く売られています。
ケーキなどの甘いものは血糖値を急上昇させる原因になるので、食後のデザートなどがどうしても食べたい場合には、糖質カットや糖質オフのものを選ぶことをオススメします。
糖質オフのレシピはたくさんありますので、ネットや本で調べて手作りするのも1つの手です。
食事に関する簡単な予防法をお話ししましたが、生活習慣を良い方向へと変えることで、血糖値スパイクリスクを下げれます。
生活のリズムを整え、健康的な生活をすることが何よりも大切です。
【食後の眠気】血糖値スパイクは体が出す危険信号!?
血糖値スパイクは糖尿病の原因になりますが、糖尿病のほかにも多くのリスクがあります。
心筋梗塞や脳梗塞、認知症、がん、集中力の低下などが挙げられます。
血糖値が高い状態が続くと、血管が傷つき、心筋梗塞や脳梗塞の原因になります。
また、血糖値の急上昇によるインスリンの過剰分泌は、脳の老廃物の蓄積を促進し、アルツハイマー型認知症の原因にもなります。
このインスリンはがん細胞を活性化させる働きもあるため、がんの発症リスクも高くなります。
そして、食後の眠気や倦怠感が起こり、その結果集中力が低下し、イライラや判断力の低下を伴うことがあります。
どうしても食後に眠気に襲われたら眠気対策グッズを活用
食後にどうしても眠くなった場合は「眠気対策グッズ」を活用しましょう。
ここでは、職場や学校に持ち運びやすいグッズについて紹介します。
【食後の眠気】眠気対策グッズのクール系の目薬
刺激の強い、爽快感のあるタイプの目薬を使うことで眠気対策になります。
目のショボショボ感も解消できるので、普段から持ち歩いていると良いかもしれません。
【食後の眠気】眠気対策グッズの炭酸飲料
こちらも、刺激の強いタイプの炭酸飲料を飲むことで、気分がリフレッシュします。
ウィルキンソンの強炭酸や、コカ・コーラのカナダドライ強炭酸がオススメです。
【食後の眠気】眠気対策グッズのアロマの香り
レモンやユーカリ、ローズマリーなどの、眠気が覚める香りがオススメです。
精製水にアロマオイルを混ぜてスプレーボトルに入れたり、ハンカチにしみ込ませておいたり、無香のハンドクリームに混ぜたりすると、持ち運びやすく使いやすくなります。
食生活や日常生活を改善しても、どうしても眠気に襲われる…という場合に是非ご活用ください。
気分転換ができることで気持ちがリセットされて、眠気が吹き飛ぶと思います。
食後の眠気はちょっとした工夫で予防しよう!
今回は、食後の眠気に襲われる原因や、食後に眠気に襲われ時の眠気対策グッズについてご紹介しました。
食事の摂り方や生活習慣を改善することで、食後の眠気は予防できます。
仕事の効率もグンと上がるのではないでしょうか?
食生活や生活習慣の改善は、眠気の予防だけでなく体にもいいことがたくさんあるので、これを機に健康的な生活習慣を身につけましょう。
テイコク製薬社調剤店舗「薬剤師」
35年の薬剤師キャリアを活かし、「健康を知り尽くした調剤マスター」としてテイコク製薬社の調剤業務に従事。