鵞足炎が長引く原因は?足の痛みを早く改善したい時にするべきこと【柔道整復師監修】
鵞足炎とは、膝の内側にある半腱様筋(はんけんようきん)、薄筋(はくきん)および縫工筋(ほうこうきん)の3つの腱が炎症して起きる疾患で、特にマラソンやサッカーなど膝を頻繁に使うスポーツをしている人がなりやすく、スポーツ障害の1つとされています。
一度発症した人は、何年間も長引いたり、治った後も何度も再発して完治しないケースが多くあります。
この記事を読んでいる方もきっと鵞足炎の長期化に悩まれているのではないでしょうか?
実は、私自身もフルマラソンを走ってから足を痛め、長年鵞足炎に悩まされていた内の一人です。
ここでは、鵞足炎が長引く原因と、早く改善する為の改善策をご紹介します。
この記事が1日も早く痛みから解放されるきっかけになれば幸いです。
記事執筆:テイコク製薬社 長田
- 【監修】
みやざき整骨院 院長・株式会社シーオンズ代表取締役
宮崎 遼(みやざき りょう)
経歴:長崎県出身/福岡医健専門学校柔道整復科卒
所有資格:柔道整復師
実績紹介:福岡県行橋市で開業5年、スポーツ関連の外傷治療が専門分野
この記事の目次
一般的な鵞足炎の治療方法
整骨院では、主に鵞足炎の痛みを抑える治療が施されます。
病院によって様々ですが、一般的に行われる治療法をご紹介します。
鵞足炎による痛みを抑える治療法
鵞足炎の治療法には、
- 超音波
- 電気治療
- 湿布
- アイシング
- スポーツ鍼灸治療
- テーピング
などがあります。
これらは膝の局部の炎症を抑えるための治療で、痛みを緩和することができます。
しかし、整骨院での治療はあくまで痛みを取るためだけのものなので、再発しないためには、これらの治療と並行して根本原因を改善していくことが大切です。
鵞足炎の原因は膝の使いすぎだけでは無い?根本原因6つについて
鵞足炎は、軽度であれば数日間安静にしておくことで、比較的短期間で改善できます。
しかし、鵞足炎が重度の場合、症状が長引いたり、一度完治しても再発のリスクがあります。
その為、まずは安静期間を長めに取ることが鉄則ですが、私自身の場合、1年以上安静にしても痛みは治りませんでした。
その理由は、鵞足炎になった原因がどこにあるのかを知らずに、痛みを抑える一時的な治療のみになってしまっていたためです。
例えば、鵞足炎の原因がランニングフォームにあった場合、たとえ一時的な休養で痛みが取れたような気になっていたとしても、間違ったフォームでのランニングを続ければ、必ず鵞足炎は再発してしまいます。
鵞足炎を長引かせないためには、まずは鵞足炎になった根本原因を知ることが大切です。
鵞足炎の根本原因は6つあります。
- 膝の使い過ぎ
- X脚
- 太ももの筋力不足・柔軟性不足
- 運動前の準備不足・運動後のケア不足
- 間違ったランニングフォーム
- 急な負荷
これらを1つ1つ詳しく説明していきます。
鵞足炎の原因①膝の使い過ぎ
鵞足炎の一番の原因は膝の使い過ぎ(オーバーユース)による膝の炎症です。
特に、マラソンやサッカーをしている人がなりやすく、マラソンで脚を後ろに蹴り出す動作やサッカーでボールを蹴った後に戻す動作によって膝の内側(鵞足)と内側副靭帯がこすれ合い炎症し痛みが起こります。
スポーツを本格的にしている人は、大会などを控えているという理由で、安静期間を十分に取らずに練習を再開することが多く、それが、余計に長引く原因となっています。
鵞足炎の原因②X脚
X脚も鵞足炎になりやすい原因の1つです。
X脚とは、両膝が内側に折れ曲がり、両膝を合わせて起立しても左右の内くるぶしがくっつかない状態のことを言います。
膝が正面ではなく内側に向くと、スネの骨(脛骨:けいこつ)が捻じれるので、鵞足と靭帯が擦れやすくなり炎症を起こす原因となっています。
鵞足炎の原因③筋肉の緊張と柔軟不足
膝内側の鵞足部分についている3つの筋肉(半腱様筋・薄筋・縫工筋)や太ももの後方にあるハムストリング・太ももの前にある大腿四頭筋(だいたいしとうきん)が緊張して硬くなると、柔軟性が無くなります。
特に、膝関節の曲げ伸ばしに関係しているハムストリングや大腿四頭筋の柔軟性が無くなると、膝の内側が引っ張られるので余計な負荷がかかり痛みが長引く原因となります。
また、痛みから膝をかばうあまり膝を動かす機会が減ると、筋肉は萎縮して膝の可動域が狭くなりこれもまた、膝に負担をかける原因です。
鵞足炎の原因④運動前の準備不足・運動後のケア不足
ケガの予防にもなるウォーミングアップを行うと血流量が増えて、体温や筋温があがります。
体温があがると筋肉の柔軟性が高まり、関節可動域も広がるので、屈伸運動による膝への負担を軽減することが出来ます。
しかし、ウォーミングアップをせずに運動を始めると、上記③番でも説明したように、筋肉が緊張した状態のまま、動くので膝に無理な負荷がかかります。
また、運動後のケア不足も膝を痛める原因の1つです。
鵞足炎の原因⑤脚を痛めるランニングフォーム
趣味でマラソンをしている人など初心者ランナーが間違ったランニングフォームにより鵞足炎を発症するケースは多くあります。
着地の際にかかとの骨(踵骨:しょうこつ)が内側に倒れ込みすぎている「オーバープロネーション(過回内:かかいない)」や膝が内側に入り足先が外を向いている姿勢「Knee in-toe out」の人は、脚がねじれた状態で走ることになる為、痛めやすいです。
そして、オーバープロネーションの人は、脚の構造上、膝が内側へ入り込みやすくKnee in-toe outになる可能性が高くなります。
ランナーの7割~8割がこのオーバープロネーションと言われていますが、下の4つのチェックポイントがあてはまる人は要注意です。
②偏平足である
③X脚である
④左右の脚の長さが違う
鵞足炎の原因⑥急な負荷
筋力がない状態で、普段運動していない人が突然運動を始めた時に、鵞足炎のリスクは高まります。
特に初心者ランナーなどは、つい無理をして長距離を走ろうとするため、痛めることが多いです。
また、鵞足炎の痛みが治まった後すぐに急な負荷をかけることも再発の原因です。
整形外科では教えて貰えない鵞足炎の改善方法
整骨院では鵞足炎の痛みを抑えるためだけの治療がほとんどです。
しかし、上記にも挙げたように、根本原因の改善こそが早期回復の近道となります。
ここからは、根本原因を改善する方法を詳しくご説明します。
特に陸上競技において長期安静や、色々な治療法を試しても、鵞足炎が治らないという人の根本原因に当たるのがオーバープロネーション(過回内)です。
特にスポーツ障害による痛みは慢性化しやすい為、早めの改善を心がけてください。
オーバープロネーション(過回内)の矯正
オーバープロネーションの矯正には、(1)自分に合ったシューズとインソールを探す(2)後脛骨筋(こうけいこつきん)を鍛えるの2つがあります。
(1)自分に合ったシューズとインソールを探す
各スポーツメーカーにはオーバープロネーションに対応したシューズやインソールが販売されており、選ぶポイントは、安定性重視で選ぶことです。
安定性を重視したシューズの特徴として、土踏まず側に硬めのミッドソールと外側には、軽く柔らかめのフォームが使用されており、着地した際に膝が内側に傾きにくい仕様になっています。
また、インソールの場合は、お気に入りのシューズをそのまま使えるので買い替えをしたくない人にもおすすめです。
(2)後脛骨筋を鍛える
オーバープロネーションは、筋肉や骨格が弱い人ほどなりやすく、トレーニングを行うことも効果的です。
後脛骨筋は、土踏まずのアーチを形成し脚関節を内側から支える筋肉で、筋力が低下すると扁平足になり着地時の衝撃を受けやすくオーバープロネーションを引き起こします。
<後脛骨筋の鍛え方①:カーフレイズ>
①足を腰幅に広げて立ちます。
②かかとを上げて、足裏の後脛骨筋を伸ばすイメージでつま先立ちをします。
※バランスが崩れそうな時は、壁に手をついても構いません。
③伸びきったところで、元の姿勢に戻ります。
④①~③を10回繰り返します。
<後脛骨筋の鍛え方②:タオルギャザー>
①椅子に座ります。
②両足の下にタオルを敷いてその上に500mlのペットボトルを置きます。
③かかとはつけながら、足の指先でタオルを握り5秒間キープします。
④かかとを付けた状態を保ちながらタオルを持ち上げてさらに5秒間キープします。
⑤タオルを離して、指先はパーの状態で5秒間キープします。
⑥①~⑤を10回繰り返します。
鵞足炎を長引かせない為には、次のような方法も再発予防にもつながり効果があります。
鵞足炎の原因となる足の筋肉ストレッチ
ストレッチとトレーニングで、膝内側の鵞足部分についている3つの筋肉(半腱様筋・薄筋・縫工筋)の柔軟性をつけます。
<半腱様筋のストレッチ①>
①仰向けに寝転びます。
②膝を曲げた状態で脚をあげて足裏を天井に向けます。
③ゆっくり膝を胸に近づけて、両手でつま先を掴みます。
④お尻を浮かせた状態で20秒キープします。
⑤ゆっくり態勢を元に戻します。
⑥①~⑤を2回繰り返します。
<半腱様筋のストレッチ②>
①両足を肩幅より広げて、四股を踏む姿勢をします。
②肩を入れ、上半身を捻り10秒間キープします。
<薄筋のストレッチ①>
①座って脚の開脚を行い、前に体を倒します。
※痛い場合は無理をしない程度に
<薄筋のストレッチ②>
①仰向けに寝転びます。
②右足の足裏を左膝にあてるように曲げます。この時、右膝は床に付け20秒間キープします。
③①~②を両足2回繰り返します。
<縫工筋のストレッチ①>
①うつ伏せに寝転びます。
②膝を曲げてつま先を外側にし、手で床方向に押します。
これら3つの筋肉以外にも半腱様筋を含むハムストリングのストレッチも行い柔軟性を保ちましょう。
大腿四頭筋(だいとうしとうきん)の筋トレをする
大腿四頭筋の筋力をつけることも、鵞足炎の再発防止に効果的です。
大腿四頭筋を鍛えることで、マラソンなどの着地時に太ももの骨(大腿骨:だいたいこつ)とスネの骨(脛骨:けいこつ)の捻じれを予防し、鵞足部への負担を軽減することが出来ます。
ステロイド注射治療による注意点
鵞足炎の治療にはステロイド注射を打つという選択肢があります。
ステロイド注射は即効性があり、痛み止めの飲み薬や湿布と比べても最も痛み止め効果が高く、劇的に痛みが緩和する可能性がありますが、注射を打つ場所が炎症部位から少しでもずれると、痛み止め効果が落ちて痛みもすぐに戻ります。
ステロイドには、たんぱく質分解作用があり腱や靭帯をもろくするので、ステロイド注射の討ちすぎには注意が必要です。
どうしても痛みを早く抑える必要がある場合は、1年に2回までの使用とし、あくまでも一時的対処法にしておきましょう。
鵞足炎におすすめのアイテム
鵞足炎でお悩みの方におすすめのアイテムをご紹介します。
①IFMC.(イフミック)加工膝サポーター
IFMC.(イフミック)という温泉療法に着眼して製造したナノメーターレベルの非常に微小なミネラルの結晶体が加工されている膝サポーターです。
この膝サポーターを装着することで、バランス感覚は向上し、リカバリーも向上する為、炎症している膝をしっかりとサポートします。
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グリッドフォームローラーは、痛みの引き金となっている「トリガーポイント(筋肉・筋膜のしこり)」をほぐします。
②グリッドフォームローラー
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まとめ【鵞足炎を早く治すためには正しい治療と根本原因の改善が大切】
鵞足炎の痛みを短期的に抑えたい場合は、整形外科での痛み止め処方や、電気治療・超音波などがありますが、鵞足炎の長期化・再発防止には、時間をかけてじっくりと根本治療を行うことが必要です。
また、鵞足炎は、ランナー膝とも言われる腸脛靭帯炎や半月板損傷なども併発する可能性があるので、早期治療が大切です。
- 鵞足炎の痛みがある局部的治療だけでは症状は長引き・再発する可能性が高い
- 鵞足炎を長期化させない為には、根本原因であるオーバープロネーション(過回内)の矯正が必要
- 鵞足炎の原因筋をストレッチすることで再発防止になる
- ステロイド注射は膝の腱や靭帯が弱くなるのでやりすぎに注意する