【湿布の選び方】冷感と温感の違いと症状に合った湿布の選び方を解説
皆さんは湿布を買いに薬局やドラッグストアに行き、湿布コーナーでどれを買えばよいか悩んでしまった経験はありませんか?
湿布一つとっても種類はとても多いですよね。
湿布の「違いがわからない…」「とりあえずこれでいいか…」と何となく選んでいませんか?
そこで今回は、湿布の種類や、湿布の選び方や、湿布を貼る時の注意点についてご紹介します。
この記事の目次
【湿布の種類】まずは湿布の種類を知ろう!
湿布とは、その名の通り皮膚に貼る製剤です。
大きく分けると、冷感タイプの湿布(冷湿布)と温感タイプの湿布(温湿布)に分かれます。
皆さんが湿布と言われてイメージするのは、大半が冷湿布のことです。
薬局やドラッグストアでも冷湿布の方が、多く売られています。
冷湿布と、温湿布はどう使い分けるのでしょうか?
一般的に急性症状は患部を冷やし、慢性症状は患部を温めるといいといわれています。
そのことから急性症状では冷湿布、慢性症状では温湿布を使うのがいいということがわかります。
まず急性症状と慢性症状について説明します。
急性症状とは、痛みが出始めた時のことを指します。
捻挫をしたときを想像してもらうとわかりやすいでしょう。
患部に炎症が起きていて、さらに血流量が増加しているために、腫れや痛み、そして患部が熱をもっています。
この時期に温湿布を使うと余計に血流量が増して、症状を助長することにつながりかねません。
腫れや痛み、発熱を落ち着かせるためには、冷やすことが重要です。
次に慢性症状とは、筋肉が硬くなり血流が悪くなっている状態です。
そのため、慢性症状では患部を温める温湿布を使うことで血流をよくすることが重要といえるのです。
冷湿布と温湿布の主な成分
冷湿布:サリチル酸メチル、l-メントール、ハッカ油
温湿布:サリチル酸メチル、トウガラシエキス
冷湿布、温湿布のどちらにも入っているのが、サリチル酸メチルという成分です。
これは、鎮痛・消炎効果を有する成分です。
l-メントールや、ハッカ油は清涼感があるので、ひんやり感じます。
湿布だけではなく、テープ剤にも入っていることがあります。
トウガラシエキスは局所の血管を広げることにより、血流をよくしてくれるため温湿布に含有されており、テープ剤とパップ剤とどちらもあります。
テープ剤は、ほとんど水分を含まない貼り薬です。
粘着性に優れているので、肘や膝などの可動部位には適しています。
デメリットとしては、粘着性がよいためにかぶれなどの皮膚炎を起こしやすいことです。
また、一度くっつくとなかなか元に戻らず1枚をダメにしてしまうことがあります。
そして、テープ剤には先ほど話した温湿布、冷湿布というものがありません。
パップ剤は、水分を含む貼り薬です。
テープ剤と比べて粘着性はありませんが、その分肌への負担が少ないので、肌が弱い方や高齢の方は使いやすく、貼り直しもできます。
しかし、粘着性が弱いため、剥がれやすいことから可動部位への使用は向かないというデメリットがあります。
【湿布の選び方】湿布は症状に合わせて使い分ける!
【湿布の選び方】肩こり/腰痛
携帯電話やパソコンが普及したことで、長時間のパソコン作業や長時間のスマホ操作が日常と化していますが、それに伴い肩こりや腰痛も増えています。
慢性的な肩こり・腰痛の場合は、患部の血流が悪くなるので、患部が硬くなったたり、冷えが生じます。
このような場合は、温めて血流をよくする温湿布を使用します。
【湿布の選び方】打撲(打ち身)/捻挫
打撲(打ち身)や捻挫により炎症している場合は、患部を冷やす冷湿布を使用します。
これにより血管を収縮させることで内出血を防ぎ、炎症や患部の熱を下げてくれます。
【湿布の選び方】筋肉痛
筋肉痛とは、何らかの運動や負荷により筋繊維が傷ついた時に炎症して起こります。
しかし、実際のところそれ以上の詳細なメカニズムはいまだに不明です。
「年をとるほど筋肉痛になるのが遅くなる」というのをよく言われますが、実は年齢による筋肉痛の発現に違いがあるのかも実際にはわかっていません。
患部が熱をもっていたり、炎症している時には、まず冷湿布を使用しましょう。
そうすることで炎症を早く鎮めます。
反対に、患部が熱をもっていない場合や熱がひいた後は、血流をよくする温湿布を使用します。
これは筋肉が硬くなり血流が悪くなっているので、温湿布で血流改善をするためです。
【湿布の貼り方】湿布を貼る時間は?
貼った直後は効いている感じがする湿布ですが、1~2時間貼っているうちに貼った直後のあの感覚がなくなってしまい、このまま貼っていてよいのかと思ったことはありませんか?
どれぐらいは貼っているのがよいかというと、それは湿布の有効成分によって異なってきます。
貼付回数
1日1回:ジクロフェナク、ロキソプロフェン
1日2回:インドメタシン、フェルビナク、ケトプロフェン
基本的に1日2回貼るタイプは12時間、1日1回貼るタイプは24時間(1日)貼ることが用法とされています。
最初の清涼感がなくなったからと1~2時間で剥がすと、薬の有効成分がしっかりと患部に吸収されないので、十分な効果が発揮されません。
しかし、肌が弱い人や高齢の方では、湿布を長時間に貼ることでかぶれや発赤のリスクが高くなります。
そのため、1日2回貼るタイプであれば6~8時間程度、1日1回貼るタイプであれば10~12時間程度貼っていればいいといわれています。
【湿布の貼り方】湿布を貼るタイミング
湿布はどのタイミングで貼るのがいいか知っていますか?
基本的には、体の汚れを落とした入浴後のキレイな状態の時が、湿布を貼る適切なタイミングです。
そして、剥がすタイミングは、1日1回貼るタイプであれば入浴の前に剥がします。
1日2回貼るタイプであれば翌日に剥がし、2回目を貼って入浴前に剥がします。
もちろん、先ほど湿布の貼付時間で説明したように多少貼る時間が短くなっても問題はありません。
トウガラシエキスの入っている湿布(温湿布)は、貼ったまま、あるいは剥がした直後に入浴すると刺激を感じることがあります。
そのため、入浴の1時間以上前に剥がし入浴後は体が十分に冷めた状態で使用してください。
いずれにしても入浴後に貼る際は、タオルでしっかりと水分を拭ってから貼りましょう。
【湿布の貼り方】湿布を貼る時の便利グッズ
湿布を肩や背中に貼りたいけど、「貼ってくれる人がい…」自分で貼ろうとしたら「湿布がぐしゃぐしゃになった…」という経験はありませんか?
そんなときに便利なグッズがこちらです。
【湿布の貼り方】しっぷ貼りひとりでぺったんこ
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【湿布の貼り方ビタット貼レルヤ
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使い方に慣れるまでは難しく感じるかもしれませんが、使いこなせるようになれば一人で手の届かない場所に貼れます。
ぜひ試してみてください。
【湿布の副作用】湿布を使う時の注意点
湿布は飲み薬と違い、副作用がないと思っている方がいるかもしれませんが、それは違います。
正しく使い、どんな副作用があるかをしっかりと理解することが副作用を防止することにつながります。
全般的に言える湿布の副作用としては、発疹・発赤、かゆみ、かぶれ、ヒリヒリ感といったところです。
特にもともと皮膚が弱い方、高齢の方は注意が必要です。
ケトプロフェンが含まれている湿布を使う際は、使用している間および使用後4週間は貼付部位を紫外線に当てないようにしてください。
薬物が皮膚に付着し、その部位が紫外線に当たることで強いかゆみを伴う発疹、腫れやただれなどの皮膚炎症状がでる光線過敏症があらわれることがあります。
重要なことは、使用後も気を付けてほしいというところです。
貼っている間は意識して気を付けている方は多いですが、湿布を剥がすとどうしても貼っていたことを忘れがちです。
貼付部位をサポーターや衣類(長袖、長ズボンなど)で覆い、紫外線にさらさないようにしてください。
ロキソプロフェンが含まれている湿布は、胃部不快感やみぞおちの痛みといった消化器症状を感じることがあります。
これは、ロキソプロフェンが鎮痛薬としての作用があるので、プロスタグランジンという胃粘膜の防御因子を抑制するためです。
湿布の成分がは体内に入る量は飲み薬に比べると少なくなりますがそれでも予断は禁物です。
皮膚がなんらかの影響でバリア機能が低下していて、皮膚からの薬の吸収量が増えてしまった場合や用法用量を逸脱して多く貼っている場合に出る恐れがあります。
また、アスピリン喘息(ぜんそく)を持っている方は、NSAIDs(非ステロイド性炎症剤)含有の湿布(ジクロフェナク、ロキソプロフェンなど)でも同じように発作を引き起こすことがあるので使用を控えてください。
外箱の裏や中に入っている説明文書をよく読んで、正しく使いましょう。
症状や状況に合わせて湿布を正しく使おう!
そこで今回は、湿布の種類や、湿布の選び方や、湿布を貼る時の注意点についてご紹介しました。
湿布を選ぶ上でさまざまな選択肢があることを知っていただけたかと思います。
症状や状況、貼付部位、さらには生活スタイルにも考慮して湿布を選んでいけるといいですね。
- 冷湿布は急性症状、温湿布は慢性症状に使用する
- 肩こり・腰痛は温湿布、打撲(打ち身)・捻挫は冷湿布。筋肉痛は状況に合わせて使用する
- 1日1回貼付タイプと2回貼付タイプがある
- 入浴後に貼り、入浴前に剥がす
- 背中に湿布を貼る便利グッズもある
- 発疹・発赤、かゆみ、かぶれ、光線過敏症、消化器症状に注意する
湿布を使用していて、かゆみや発疹・発赤などの副作用と思われる症状がでた際には、使用をいったん中止し、医療機関を早急に受診しましょう。
また、5~6日使用しても症状が改善しない場合も我慢せず早めに医療機関を受診し、医師に相談してください。