やけどをしたときの応急処置方法は?やけど直後の応急処置はとても大切!
うっかりして熱湯をこぼしたり、バーベキューの炭を誤って触ってしまったりと日常にはやけどの危険が多く潜んでいます。
やけどを負った時に大切なことは適切な処置です。
まずはやけどについて理解し、正しい処置方法を学ぶ必要があります。
ここでは、やけどの基礎知識から処置方法までご紹介したいと思います。
この記事の目次
やけどとは?やけどのメカニズムについて
皮膚など体表面の一部に熱や化学物質が接触することで、皮膚の表層が多く損傷を受けることをやけどと言います。
通常体内に菌が侵入することを防ぎ、水分や体温を保持する働きを持つ皮膚は、やけどを負うことでその働きを失います。
重症の場合は体表面のみならず、脂肪や筋肉、骨など身体の深部の構造まで達する可能性もあり、感染症や血圧、体温が低下するなどの合併症を引き起こす可能性もあります。
やけどによって組織が傷つくと、損傷部の血管から体液が漏れ出し、腫れが起こります。
処置方法によっては、傷跡が残る場合ややけどが重症化することもありますので、正しい処置方法を学ぶことが大切です。
やけどにも種類があるの?やけどの症状について
やけどの原因や種類は4つに分類されます。
やけどの種類①温熱やけど
カップラーメンや熱いお茶、てんぷら油などの液体やアイロン、暖房機器などの電気製品、熱いものに触れた場合を温熱やけどと呼びます。
炊飯器やポットの吹き出し口から出る蒸気に触れた際にもやけどを負うケースがあります。
子どもの場合は花火でやけどを負うことも多いです。
やけどの種類②電気やけど
落雷や高圧電線などの電流に触れることでおこる電撃傷のこと。
やけどの種類③化学やけど
酸、アルカリ溶液などの薬品に触れるなどした化学熱傷のこと。
やけどの種類④放射線やけど
日焼けや放射線の被ばくによる放射線熱傷こと。
家庭内でやけどを負う場合のほとんどは、温熱やけどによるものです。
次に、やけどは皮膚が損傷を受けた深さと広さで症状が変わります。
皮膚の深部が損傷した場合、見た目では軽く見えても症状は重いこともありますので注意しましょう。
やけどは、皮膚が損傷した症状によってⅠ~Ⅲ度に分類され、その処置方法にも違いがあります。
<やけどの深さ>
Ⅰ度
Ⅰ型は表皮のみの損傷で最も軽傷の場合で、皮膚が赤くなり腫れが表れるたり、ヒリヒリした灼熱間や痛みを感じたりします。
一時的に色素沈着する可能性がありますが、数日で自然に治りますのでやけど跡は残りません。
例えば日焼けはⅠ度のやけどに含まれ、治療の目安期間は1週間以内です。
浅達性Ⅱ度
浅達性Ⅱ度は表皮基底層(真皮上層)まで損傷した状態で、皮膚が赤くなり・浮腫性腫脹・水疱(水ぶくれ)が表れます。
水泡は破れてただれをきたし、痛みや灼熱感が著しく続きます。色素沈着がおきますが、約3週間以内にやけど痕がほぼ残ることなく治癒します。
しかしやけど痕の処置が適切なものでない場合は、やけど痕が残る可能性があります。
治療の目安期間は2週間程度です。
深達性Ⅱ度
浅達制Ⅱ度は真皮深層までの損傷で、皮膚が赤くなり・水ぶくれやただれ、浅い潰瘍などがおきますが痛みは軽度ですみます。
水ぶくれ下の皮膚が白くなり、治癒にかかる月日は1か月以上かかり、軽度の瘢痕がのこります。
Ⅲ度
皮下組織(皮膚の深いところ)まで損傷し、痛みを感じる神経も焼け死んでいるので痛みは感じません。
肌の表面が壊死している場合もあり、皮膚は再生しません。損傷した表面は白く乾燥しⅢ度の状態では水ぶくれはできず、重度の場合は焦げています。
やけど痕は盛り上がり、ケロイド状になりはっきりと残り、皮膚を引っ張る感覚や機能障害、毛が抜けやすくなる可能性が十分あります。
<やけどの広さ(面積)>
大人と子どもでは、やけどの広さを判定する割合が変わりますが、一般的に体表全体を100%とし、成人のⅡ度15%未満またはⅢ度2%未満なら、外来で治療可能な軽症に分類されます。
Ⅲ度10%以上、及び顔面・手足や会陰など特殊部位のやけどは専門施設での集中治療が必要な重症と分類されます。
やけどを負ったときの応急処置方法
やけどを負った場合はできるだけ早く冷やすという対処を施すと、その後の回復に大きな差が表れます。
冷やすことによって、やけどが深くなることを防ぎ、そして痛みを和らげる作用があります。
ただし、体を冷やすことで低体温症にならないように注意する必要です。
少しでも受診したほうがいいかな?と迷った場合は医療機関を受診してください。
① 手や足のやけど
手足をやけどした場合は、蛇口から水道水を出し続けて冷やしたり、もしくは濡らした清潔なタオルやガーゼで冷やす処置を施します。
② 顔や頭のやけど
顔や頭をやけどした場合は、シャワーなどで水をかけ続け冷やす処置を施します。
顔は水をかけ続けると息ができなくて苦しいので、氷水で冷やしたタオルを当てましょう。
③ 目や耳の火傷
保冷剤や氷を包んだ冷たいタオルをこまめに変えながら冷やします。
氷や氷のうを直接患部に当てると、皮膚が冷えすぎて凍傷を起こしますのでタオルなどで包むようにしましょう。
④ 全身や広範囲のやけど
やけどした部分を水の溜めた浴槽で冷やすか、水に浸したタオルなどで全身を包み込むようにします。
子どもや老人の場合は、低体温症にならないように注意して見てあげる必要があります。
やけどを負ったらすぐに流水で15分~30分ほどしっかり冷却することがとても大切です。
患部に直接流水を当てるのではなく、少し上の部分に当て、目安は痛みが治まるまで冷やします。
着衣状態でやけどを負った場合は、無理に脱がせると皮膚がはがれたり、水泡がつぶれる可能性がありますので、衣服の上から冷やすようにしましょう。
やけどの部位は後で剥がれるため、指輪やネックレスなどの装飾類は早めに外す必要があります。
やけどを負ったときのケア方法
やけどの応急処置を早く行えば、軽度の浅いやけどであれば治療は何もしなくても大丈夫ですが、気になる場合は抗生物質軟膏を塗布するだけで十分です。
抗生物質軟膏は感染症を予防し、傷口を被い細菌の侵入を防ぐ役割もあります。
または、傷口につかない加工がしてあるガーゼなど非固着性のもので保護しましょう。
薬を使用する際は、必ず手を清潔にしてから使用し、必要以上に多く塗布しても効果にかわりがないので、適量を塗布してください。
深達性Ⅱ度のやけどは、適切な治療をしても1か月以上と治癒には長い時間を要します。
瘢痕や瘢痕拘縮(ひきつれ)を残すことが多いやけどなので、速やかに医療機関で受診をするようにしてください。
やけどについて注意したいこと
やけど後の注意点①水ぶくれはつぶさない
水ぶくれは皮膚表面の表皮下に体液がたまってできているもので、つぶさずにそのままにしておきましょう。
水ぶくれが破れた場合、痛みが増し完治するのに時間がかかります。
もしも何かの拍子に潰れてしまったら、抗生物質軟膏などを塗る方法で処置しましょう。
やけど後の注意点②日焼け(Ⅰ度のやけど)の場合は
日焼けで皮膚が赤くなったときは、冷やしたタオルを使い患部を冷やしましょう。
炎症がひどく、範囲が広いときは早めに医療機関を受診してください。
このような症状の場合は、脱水症状を引き起こしやすいので水分を多く摂取することを心掛けましょう。
日焼けによる皮膚の赤みやヒリヒリ感は、数日のうちに自然治癒しますが完全に元の状態に戻るためには数週間を有します。
炎症が治癒した後も皮膚は乾燥状態にありますので、化粧水や乳液で水分と油分を補いましょう。
直接患部に行き届き、炎症を沈めてくれるスプレータイプのケアアイテムがドラッグストアにも販売されており、清涼成分のメントール配合タイプもあります。
やけど後の注意点③患部を冷やすときの注意点
痛みが軽くなるまで、水道水や濡らした清潔なタオルまたはガーゼで15分~30分を目安に冷やす。
水圧やタオルなどで患部を圧迫せず、氷のうや畜冷材を使用する際は清潔なタオルなどに包んで患部に当てる。
化学やけどの場合、体にかかった薬品をすばやく洗い流す。
やけど後の注意点④食事面からやけどを処置
やけどを負った際、傷口から浸出液が出ることでタンパク質と水分が漏出し、重症のやけどの場合は脱水や低タンパク血症に陥ることもあります。
不足した水分やタンパク質は食事から補えるように、栄養面を配慮しましょう。
傷の治りを促進するなら、ビタミンやミネラルが効果的で、感染症の予防にも役立ちます。
やけど後の注意点⑤年齢別に見るやけどの症状
やけどは、受傷面積と深さで治療方法が異なりますし、年齢によって大きく症状が違います。
受傷面積が広いほど全体に影響を与え、Ⅰ度のやけどでも体の表面積30%以上損傷を受ければ重症のやけどと判断します。
2歳未満の乳幼児や高齢のやけどは、命にかかわる重篤な状態になる可能性がありますので、十分注意して処置や管理をする必要があります。
医療機関に行くべきか、自宅でのセルフケアでよいかの判断基準として、広範囲でなく深度Ⅰ度のやけどであればセルフケアで様子をみても大丈夫ですが、それ以外の場合はすぐに医療機関で治療をしましょう。
やけどの傷跡は残らない?
Ⅰ度はやけどを負った部位に赤みがある程度ですので、早く冷やすなどの処置をすると特に傷跡を残すことはありません。
浅達性Ⅱ度のの場合やけど傷跡が残りますが、医師からの治療を受けておけば傷跡を残さないことが多いです。
しかし、深達性Ⅱ度の場合は傷跡や瘢痕拘縮(ひきつれ)を残す場合が多いです。
Ⅲ度では、自然治癒には長い期間がかかり、入院して植皮術など外科的治療が必要となります。
深達性Ⅱ度からⅢ度では、傷跡だけでなくひきつれが生じ、皮膚移植した場合は移植元の皮膚も取るため傷跡が残ります。
ですが、傷跡を目立たなくする治療法があり、副腎皮質ストロイド軟膏やクリーム、テープが有効的です。
弾力性をもった包帯やサポーターを使い、盛り上がった傷跡を圧迫処置することで傷跡がやけど跡が目立たなくなります。
医師の治療を受けないで放置すると細菌感染症にかかる可能性の他、糖尿病などの基礎疾患があれば浅いやけどでも深いやけどとなることもあるので傷跡が残ることもあります。
また、Ⅰ度でも傷跡が残ることがありますが、この場合、紫外線が当たることで赤みが残り、茶色になる色素沈着のことを指します。
お出かけの際は、紫外線対策をしっかりとおこなうように心がけてください。
傷跡が残るかどうかの問題については、深さ、治療法に加え体質が関係すると考えられています。
目立って気になるときも、時間の経過と共に目立たなくなっていく可能性もありますし、瘢痕を目立たなくする内服薬や軟膏、クリーム、テープを使用する方法、外科的治療も選択の1つです。
やけどを予防するには?
やけどをしないためには、未然に防ごうと努力することが大切です。
特に小さな子どもや高齢者のいる家庭内で火や熱湯、暖房器具などの扱いに十分気を付けましょう。
<台所で気を付けること>
袖口から引火し、やけどを負うこともあります。
てんぷら油のはねには腕カバーをつけ、やけどのリスクをなくしましょう。
鍋ややかんを運ぶ際は、周囲に人がいないことを確認し持ち運びましょう。
テーブルに放置する場合は、子どもが届かない場所に置いてください。
炊飯器は蒸気でやけどを負う方が多いので、蒸気が出ているときは気を付けましょう。
<ダイニングで気を付けること>
ストーブなどは柵で囲い、やかんや鍋を乗せないようにしましょう。
転倒の可能性がありますし、子どもが触る可能性もあります。
アイロンは子どものそばで使用しないで、使用後は必ず子どもの手が届かない場所に保管しましょう。
45度以下の低温でも長時間触れ続けることにより、やけどを負うことがあります。
長時間の使用は避け、取扱説明書に記載の使用方法を必ず確認することでトラブルを防ぎましょう。
低温やけどは、皮膚の深部にまで及ぶやけどになりやすい傾向があり、一般的なやけどに比べ見た目は軽傷に見えます。
やけど後約1週間後に症状があらわれることが多いですが、通常のやけどに対する処置は行わず速やかに医療機関で受診してください。
<低温やけどの予防策>
・使い捨てカイロはからだに直接あてるのではなく、衣類の上から当てましょう。
・湯たんぽやあんか、電気あんかはタオルや専用カバーなどでくるんでも低温やけどを負う場合があります。
・就寝前にあらかじめ布団を温める用として活用し、実際眠る前には布団から出しましょう。
・電気毛布やホットカーペット、電気こたつは使用したまま眠らないで、タイマー機能を使用するか、眠る前には消しましょう。
まとめ【やけどを負った時は、落ち着いて適切な処置を】
もしやけどをしても、まずは落ち着いて適切な処置を施してください。
明らかに重症の場合ではなくても、病院に行ったほうがいいかな?と迷ったら医療機関で診療するようにしましょう。
- やけどは皮膚などの体表面の一部に熱や化学物質が接触することで起こります。
- やけどは深さと広さで、年齢で症状が違います。
- やけどを負った時の応急処置方法はすばやく冷やすことが大切です。