脂性肌かも?と思ったらまずチェック!正しく見分けて、正しいケアを!脂性肌のスキンケアについて
テイコク製薬社調剤店舗「薬剤師」
35年の薬剤師キャリアを活かし、「健康を知り尽くした調剤マスター」としてテイコク製薬社の調剤業務に従事。
どれだけケアしてもどんどん皮脂が浮いてくる脂性肌(オイリー肌)。
ベタベタとして気持ち悪くて悩まされる方も多い肌トラブルの一つです。
ただ、脂性肌と思ってひたすらに皮脂を取り去ることをスキンケアのメインにしていた場合、もう一度、自分が脂性肌かどうか判断した方がいいかもしれません。
場合によっては間違ったスキンケアで症状をさらに悪化させていることもあります。
今回は脂性肌に関するポイントをご紹介。
脂性肌をきちんと理解して、正しいスキンケアで症状を改善させましょう!
この記事の目次
脂性肌ってなに?
脂性肌で問題となるベタベタとした皮脂ですが、皮脂とは一体どんな役割があるのでしょうか。
皮脂は皮膚にある皮脂腺から分泌され、水分の蒸散を防ぎ、皮膚の潤いを守ってくれます。
いわば、皮膚の水分量をたもつための門番と言えます。
水分量を保つ役割以外にも、物理的に摩擦の軽減によって皮膚を外傷から守ってくれたり、皮脂が皮膚の常在菌により分解されることで肌を弱酸性に保って、病原菌から守ってくれたりもするのです。
つまり、皮脂は色々な面で皮膚の「バリア機能」を果たしてくれており、決して「悪者」ではありません。
皮脂は私たちにとってなくてはならないものなのですが、ついついベタつきが気になってしまい、皮脂を取ることがメインのケアになってしまいがちですよね。
皮脂を過剰に取ってしまうことによって、皮膚を守ろうとバリア機能が働き、皮脂の分泌を促進、そしてまたべたつくからその皮脂を取ってしまい、また皮脂の分泌がうながされ・・・。
このように繰り返し皮脂が分泌されることでどんどん肌状態が悪化していきます。
また実は、皮脂の分泌量は季節や心身の状態、生活習慣によっても増減します。
次のような要因によります。心当たりはありませんか?
皮脂量に影響を与える要因
①季節
季節でいうと、実は夏が一番皮脂の分泌量が多いとされています。
特に夏は汗とまじるため、余計にベタベタしたような感覚になってしまいがちですよね。
②ホルモンバランス
女性の場合はホルモンバランスによる増減があり、一般的に月経前の黄体期に分泌される「黄体ホルモン」の作用で皮脂量の分泌が活発になります。
この期間は黄体ホルモンにより、体温の上昇などの体調の変化が出るため、肌の調子が乱れやすくなります。
③紫外線
紫外線も皮脂の分泌量に影響を与えます。
紫外線の刺激によって角質層が厚くなり、肌内部に隙間が出来て水分が蒸発します。
このとき水分量を守るためにバリア機能が働き皮脂の分泌が促進されるため、皮脂量が増加します。
また、紫外線は過剰に出た皮脂を酸化することでも、皮膚に悪影響を与えます。
酸化した皮脂は活性酸素を発生させるため、皮膚の老化やシミ、ニキビなどの原因にもなります。
紫外線は皮脂にとって悪い影響を与えてしまう要因ですので、できる限り対策しましょう。
④ストレスや睡眠不足などの生活習慣
ストレスや睡眠不足も原因となります。
ストレスを感じることによって自律神経に影響が出てしまい、皮脂が過剰に分泌されてしまう可能性があります。
また、睡眠不足によってホルモンバランスが乱れ、皮脂の分泌量が増加してしまいます。肌のターンオーバーのサイクルも狂ってしまい、バリア機能が低下してしまいます。
実はこのような皮脂量の増減に影響する要因をきちんと理解しておくことは非常に大切です。
このような要因が別にあるにもかかわらず、自分がひどい脂性肌だと認識してしまい、必要以上に皮脂を取り除くケアをしてしまうことで、症状を悪化させてしまう可能性があります。
自分の肌状態を正しく認識をすることが大切です。
脂性肌だけじゃない!肌質の種類は4+1種類!
脂性肌をはじめ、肌質を分類すると大きく分けて4種類に分類されます。
①普通肌
普通肌は、いわゆる健康的な肌です。うるおいやハリ、ツヤがあり、きめも整っておりゴワゴワせずやわらかい。
皮脂と水分の分泌量が適度でよい状態です。
②乾燥肌
皮脂と水分分泌量が少ない状態で、うるおいやハリ、ツヤがなく、くすみも目立ちます。
皮脂が少ないためバリア機能が低下しているため、外部からの影響(紫外線や物理的刺激など)を受けやすく、かゆみや炎症をおこすこともあります。
乾燥しているので、粉を拭いた状態になったり、シワに結びついてしまうことも。
③脂性肌
皮脂と水分の分泌が多いため、うるおいや弾力性はあるが、テカリや毛穴が目立ち、キメが粗い状態の肌質です。
皮脂や水分が多いため、外力に対して上部と言えますが、過剰に分泌した皮脂に紫外線が当たると皮脂が酸化し、皮膚が老化し、シワやシミの原因となる可能性があります。
実はこのタイプは男性に多く、「皮脂と水分の両方が多い状態」のことをいい、後述するインナードライ(皮脂が多く水分が少ない状態。乾燥性脂性肌)とは肌状態が異なります。
④混合肌
乾燥肌と脂性肌が合わさった肌質のことで、ベタベタと皮脂が多い部分とカサカサと乾燥した部分が混在します。
べたつく部分はTゾーン、かさつく部分がUゾーンであることが多く、お手入れの際はそれぞれの部位に合ったケアをするのがよいでしょう。
インナードライ(乾燥性脂性肌)
先ほど、脂性肌の説明で出てきましたが、皮脂も水分も多い本来の脂性肌と間違って認識されている肌質が、乾燥性脂性肌、つまりインナードライと呼ばれる肌質です。
インナードライは、皮脂は多いにもかかわらず、実は内部は水分が少なくて乾燥している肌質を言います。
ベタベタしているのに肌がごわつくのも特徴。
過剰に皮脂を取り除くケアによる皮脂分泌の悪循環が原因で、根本的な原因は「皮膚の乾燥」にあり、ここが水分量も多い本来の脂性肌と異なる最大の特徴です。
以上のように肌質には4種類ともう1つ「インナードライ」があり、肌質の認識を間違っている場合が多いのは実はこのインナードライなのです。
あなたの肌質は?脂性肌?インナードライ?
肌質を理解してスキンケアを行うのが大切ですが、肌質の簡単な判断方法をご紹介します。
<肌質の簡単な判断方法>
洗顔をしたあと、10~20分くらい化粧水をつけたりなどのお手入れをせずに放置。
そのあとで、肌の状態を確認する。
- 洗顔後につっぱり感はなく、ツヤやハリがある。非常に良い状態。
→普通肌 - 洗顔後につっぱり感があり、ツヤやハリがない
→乾燥肌 - 洗顔後につっぱり感がなく、すぐに皮脂が浮いてテカリが出る
→脂性肌 - 洗顔後につっぱる部分とそうでない部分があり、皮脂が浮く部分とそうでない部分がある
→混合肌 - 洗顔後に全体的につっぱり感があり、皮脂が浮いてくる
→インナードライ(乾燥性脂性肌)
ポイントは、脂性肌とインナードライの違いです。
本来の脂性肌は水分も多いため洗顔後につっぱり感がないのですが、インナードライは水分量が少ないためにつっぱり感がある乾燥肌と同じ症状なのです。
これがインナードライが「乾燥が原因の脂性肌」と言われる理由です。
脂性肌のスキンケアの間違った方法について
これまで脂性肌とは何か、肌質の種類、そして脂性肌と誤解されやすい「皮脂は多いのに実は乾燥している」インナードライという肌質をご紹介しました。
皮脂はわたしたちの皮膚の健康を守る門番です。
その皮脂がベタベタしているかと、自分がひどい脂性肌だと誤解しひたすらに皮脂を取り除くケアは間違っているとご紹介しましたが、具体的にどのようなケアが間違いなのかをご紹介します。
<間違ったスキンケア例>
- 一日に何度も洗顔をする。
- 熱いお湯で顔を洗う。
- アルコールが多く含まれた化粧水などでケアする
- 洗顔後、化粧水をつけたあとにベタベタするからと言って乳液をつけない。
特にインナードライの場合は、ついついやりがちなスキンケアですが、これらのスキンケアは皮脂を過剰に取り去ってしまうため、皮脂の分泌の悪循環を発生させるために、皮膚の乾燥を助長させてしまいます。
どのようなタイプのスキンケアであっても、皮脂を取りすぎるというのは基本的にNGと考えるべきで、特にベタベタしていて油を取らなければならないと勘違いしてしまうインナードライの場合は絶対に避けたいケアです。
皮脂とうまく付き合っていくスキンケアがポイントです。
脂性肌の正しいスキンケア方法
さて、間違ったスキンケアの例を挙げましたが、大切なことは皮脂を取りすぎないこと。
皮脂を取りすぎてしまうと、皮膚のバリア機能が働き、さらに皮脂を分泌させ、それが繰り返されることで皮脂分泌の増加という悪循環を発生させてしまいます。
それでは肌質のタイプ別にスキンケアの例を見ていきましょう。
①普通肌
普通肌の場合、特にスキンケアに注意深く気を付けることはありませんが、やはりケアの基本である皮脂の取りすぎには注意。
普通肌であってもストレスや生活状況などで一時的に乾燥肌や脂性肌に傾いてしまうこともあるので、普通肌だからと安心せずにきちんと自分の肌の変化に向き合ってください。
②乾燥肌
乾燥肌の場合は、皮脂と水分が不足している状態です。水分の蒸発を防止する役目の皮脂が足りていないため、乾燥を防ぎ保湿することとその状態を維持することが大切です。
洗顔時は洗顔料を泡立てないままゴシゴシとこすったりすると肌の角質を傷つけ、乾燥してしまいます。しっかりと泡立てて泡で洗うように洗顔をし、ぬるま湯で流しましょう。
洗顔後は化粧水で水分を補給し、乳液や保湿クリームでしっかりと保湿することがポイント。
このときもこすりつけるのではなく、優しくてのひらで包み込むように抑え込むのがポイントです。
③脂性肌
皮脂も水分量も多い脂性肌の場合は、ある程度皮脂への対策を行わなければなりません。
しかしながら基本は同じです。
過剰分泌した皮脂は紫外線が当たると酸化してしまい、皮膚にダメージを与えてしまいます。
油取り紙を使用して適度に油を取り除くのも有効です。
余分な皮脂を取り除くことが基本となりますが、例えば洗顔時に肌のつっぱりを感じる場合は過剰に皮脂を取りすぎているため注意。
洗浄力の強い洗顔料でごしごし洗うのではなく、泡で優しく洗顔し、くれぐれも皮脂の取りすぎには十分注意をしてください。
強い洗顔料を控える代わりに、蒸しタオルなどで毛穴を開くのも有効です。
④混合肌
混合肌は、部位によってテカリがあったり乾燥したりと、脂性肌と乾燥肌があわさったものです。
いわゆる皮膚全体の皮脂量と水分量のバランスが取れていない状態ですので、べたつくゾーンと乾燥しているゾーンに合ったお手入れが必要です。
洗顔はべたついているTゾーンから丁寧に行います。
てのひらを使ってしっかりと泡立てた泡で洗い、洗顔後の保湿は、Tゾーンもきっちりと保湿するのがポイントです。
⑤インナードライ
乾燥性脂性肌(インナードライ)
表面上はテカリや皮脂の分泌が多い脂性肌ですが、実は内部は乾きに乾いているというのがこのインナードライ。
このタイプの場合については特に皮脂を取りすぎないでください。
ベタベタしているためについつい皮脂を取りたくなってしまいますが、内部はすでに乾燥肌症状でもあるため、皮脂を取れば取るほど皮脂の分泌をさらに悪化させます。
すべてにおいてポイントは皮脂を取りすぎないということです。
以下にケア方法をまとめてご紹介します。
タイプ別にご紹介した方法と重複する個所もありますが、これらの方法をきっちりと守ってスキンケアをしてください。
基本的に肌をこすらない。
入浴時や洗顔時、メイクのときも肌をこすってしまうと肌の角質を傷つける原因となります。
特に洗顔時には、洗顔料をしっかりと泡立てて泡で優しく洗ってください。
夏場などは汗が顔に流れ落ちて気持ち悪いですが、決してハンカチやタオルでごしごしふき取るのではなく、優しく押さえるようにして汗をぬぐってください。
お風呂の温度に注意する
熱いお風呂は皮脂を洗い流してしまうため、できれば避けてください。
肌にいい適温は38度~40度くらいとされています。
保湿後は乳液をつけてで水分が逃げるのをブロック
洗顔後に化粧水などで保湿した後は必ず乳液で水分が蒸発してしまうのをブロックしてください。
時間を置きすぎると乾燥してしまうため、すぐに乳液の塗布をするのが基本ですが、脂性肌やインナードライ、混合肌の人にはベタベタするので乳液を嫌う人もいます。
乳液は必ず使用してください。
スキンケア以外の改善方法について
皮脂の過剰分泌は日常生活の影響も受けて増減します。
日常生活においても改善行動をとることができれば、症状を改善することができます。
以下に数点ご紹介します。
皮脂抑制に有効な成分 「ビタミンの摂取がポイント」
外側のスキンケアをしただけでは完全にケアをしているとは言えません。
体の内側からのケアもまた大切です。
食事もまた皮脂の分泌の増減に大きな影響を与えます。
<皮脂抑制に有効な成分>
- ビタミンB2
脂質をエネルギーに変換するときに使用され、肌を健康的な状態にたもち、皮脂分泌抑制効果も備えます。
不足すると脂質の代謝のバランスが崩れてしまい皮脂の分泌が過剰になってしまいます。
(食材例:レバー類、鶏卵、ノリ類、唐辛子、キノコ類、納豆、たらこ) - ビタミンB6
主に角質などのタンパク質の合成に使用され、皮膚の抵抗力を向上させます。
不足すると新陳代謝がうまくいかなくなります。
(食材例:マグロ、サンマ、アジ松尾、鶏むね肉、ささみ、ゴマ、にんにく、など)
油の多い食事はしない
先ほどご紹介した通り、ビタミンB2などは脂質をエネルギーに変換(脂質の代謝)させるためにも使用されるので、油っ気の多い食べ物を摂取していれば、それだけどんどんビタミンBが消費され、肌を守るためのビタミンBがそれだけ少なくなってしまいます。
脂質の多い食材として、揚げ物、生クリーム、バターなどが挙げられますがこれらの食材は摂取しすぎないようにしてください。
どうしてもビタミン群を食材から摂取できない場合は、サプリメントの使用も有効です。
喫煙をしない
喫煙は、抗酸化作用のあるビタミンCを消費させてしまうため、活性酸素が体内に発生してしまい、肌の老化につながります。
お酒を飲みすぎない
アルコールを摂取したあと、体内ではアルコールの分解が行われますが、その際に皮脂抑制に有効な成分であるビタミン群が消費されてしまうため、皮脂量が増加してしまいます。
飲酒は適度にしましょう。
加湿を心がける
夏場のクーラーや冬場の暖房など、意外と乾燥に注意をしなければならないシチュエーションは多くあります。
加湿器などを利用して、湿度を保つように心がけてください。
十分な睡眠、ストレス発散も大切
睡眠不足はホルモンバランスを乱し、皮脂の分泌量を増加させてしまうため、十分な睡眠はお肌の調子を整えるにも必要。
また、ストレスは自立神経に影響を与え、皮脂を過剰に分泌させる可能性があるため、ストレスのためすぎにも注意しましょう。
紫外線対策もバッチリと
先に書いた通り、紫外線は皮膚に数々の悪影響を及ぼします。
皮脂が足りていない皮膚に対してはダメージを与え、乾燥を助長させます。
皮脂が過剰にありすぎても、皮脂を酸化させ、シワやシミなど皮膚の老化を招きます。
紫外線に対しては、日焼け止めや日傘、帽子、サングラスなどを活用して日常生活において紫外線をあびないように対策してください。
正しく肌質を判断して、正しいスキンケアを!
インナードライのように実は乾燥肌なのに間違って認識されていることもある脂性肌。
特に自分の肌質が脂性肌かインナードライなのかしっかりと認識することが大切です。
正しく自分の肌質を判断してケアしていくのが脂性肌を改善する第一歩です。
正しいスキンケアと日常生活でのケアをプラスして、脂性肌を改善していきましょう!
- 皮脂は皮膚の状態を守る門番!取りすぎないようにしよう!
- 脂性肌とインナードライの違いをしっかり認識しよう!
- スキンケアのときは皮脂を取りすぎると逆効果!
- 食事など日常生活からも対策できることはあります!
皮脂をきちんと理解して、皮脂をコントロールする。
皮脂を取りすぎないスキンケアを行って、皮脂の過剰分泌を防止し、普通肌を手に入れましょう!
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