健康診断の種類と費用・会社で受ける健康診断と自分で受ける健康診断ではこれだけ違う
健康診断の検査項目は会社によって違うというのはご存知でしたか?
また、会社員でない方は検査項目の選び方や検査にかかる費用も心配ですよね。
この記事では健康診断の種類や検査項目と金額、および法で定められた健康診断の検査項目についてなどあらゆる健康診断の疑問におこたえしてまいります。
この記事の目次
会社で受ける健康診断の種類と検査項目
健康診断といえば会社で受けさせられる健康診断を思い浮かべる人が多いでしょう。
まずは会社の健康診断の種類や検査項目などをご説明いたします。
労働者が定期的に健康診断を受けることは、厚生労働省が安全衛生法という法律に定めています。
つまり、会社は労働者に対して健康診断を受けさせる義務があるのです。
法律で義務付けられている以上、対象者や検査項目などが詳しく決められています。
まず健康診断の対象となるのは、正規の社員・つまり「正社員」です。
その他にも1年以上の労働が見込まれる契約社員や、1週間に3/4以上の勤務が見込まれるパートや契約社員にも適用されるので覚えておきましょう。
さて健康診断を受ける対象者はお分かりいただけたと思います。
今度は健康診断の内容である検査項目を見てみましょう。
関心のない方は気がつかないかもしれませんが、会社によって検査の項目数が異なります。
バリウムを飲んで胃の検査をしたり、エコーを使って内臓の様子を当たり前のように検査する会社も多いと思います。
その一方で常に夜間勤務をしているにもかかわらず、簡単な検査項目のみで血液さえとらない検便もしない健康診断を受けさせられる会社もあります。
さて、それは違法なのでしょうか?
安全衛生法やじん肺法という法律の中に健康診断の種類別の検査項目が公開されています。
健康診断には「一般健康診断」と「特殊健康診断」の2つに分かれていて、「特殊健康診断」とは潜水業務や放射線業務などに就いている人達だけが受けなければならない特別な健康診断です。
一般の会社員の人が受けるのは「一般健康診断」ですので、この分野を中心にお話をすすめてまいります。
一般健康診断にも「雇い入れ時の健康診断」と「1年に1回の健康診断」に分けられます。
一般健康診断には5つの検査項目しかない!
実は一般健康診断の法律で定められている検査項目は以下の5つの項目しかありません。
- 問診(既往症及び業務歴の調査および自覚症状、他覚症状の有無など)
- 身長、体重、腹囲、視力・聴力の検査
- 血圧測定
- 胸部エックス線検査
- 尿検査(尿に含まれている糖分や蛋白の有無を調べる)
1年に1回の健康診断では上記の検査項目さえしていれば問題はないということです。
ただし雇い入れ時には上記の項目に下記の2項目が加えられています。
また35歳以上の年齢になったときから、健康診断の項目に下記の2つの項目が加えられます。
- 血液検査(貧血検査、肝機能検査、血中脂質検査など)
- 心電図検査(安静にしている時の心電図で心臓の働きをみる)
35歳以上の検査項目を見ても7つしかありません。
そしてお気付きになった方もいらっしゃると思いますが、胃のレントゲン(バリウム検査)などは項目に含まれていないのです。
検便もないことが分かると思います。
実際に会社で働いていても会社が義務づけられている項目は、たったこれだけしかないのです。
ではバリウム検査やエコーなどの検査もしてくれる会社もありますが、何が違うのでしょうか。
これは会社の考え方というしかないでしょう。
いかに従業員を大切にしているかが、健康診断の内容にも見てとれます。
また健康保険の種類によって従業員の健康に関する充実度の違いも見られます。
一般的な会社員は「社会保険」に加入しており、この方々は一般的な健康診断をされる方が多いようです。
多くの会社が「社会保険」ですので、各会社で健康診断の項目にもバラツキがあります。
「社会保険」と比較して手厚い健康診断を受けられるのが「健康保険組合」に加入している会社です。
健康保険組合は大企業に多く、自社で健康保険料を徴収してやりくりしています。
それだけに従業員の健康に対する意識が強く、健康診断だけでなく従業員の家族の健康にまで気を配り、手厚い保護をしてくれます。
配偶者の健康診断の補助や、子供と配偶者の予防接種にかかる料金も補助してくれる健康保険組合もあります。
これで会社ごとによって健康診断の検査項目が異なる理由が分かりました。
何で自分の会社だけバリウム検査がないのかと文句を言ったところで、法律には違反していないのです。
もう1つ気をつけたいのは、法律で義務付けられた健康診断は「1年に1回」だということです。
会社員の人の多くは1年に1回は健康診断を受けていると思います。
1度目と2度目で検査項目が異なることが多いと思います。
その理由が法律の「1年に1回」という定めにあるのです。
つまり1度はキチンと検査項目を全て行い、もう1回は簡単に済ませても良いということになっているのです。
他にも「医師の判断があれば省略して良い項目」などもあるので、安易に自分の会社は法律に違反して簡単な健康診断しかしてくれない、と思ってはいけません。
法律のギリギリで健康診断をしていれば問題ないのです。
会社で受ける健康診断は会社負担が基本
会社員の健康診断は雇用主の義務であるといいました。
つまり労働者を使う側である「使用者たる会社」の責任であるということです。
労働者に義務はないわけですので、雇う人間の安全を確保する義務の全ては会社にあると考えて間違いありません。
今でも一部の会社では自己負担で健康診断を受けさせるところがあるようです。
これは法律的な見かたから言えば違法です。
支払いの義務も会社にあるのです。
好き好んで健康診断を受けているのではないとつっぱねても問題はありません。
もし自己負担を強いられている方がいるとしたら、会社と話し合ってください。
会社は「君たち労働者のためにおこなっている」と発言したとしたら、それは大きな間違いです。
労働者が健康診断を怠って病気になった場合に責任をとらされるのは会社です。
会社のために健康診断を受けているといっても過言ではないのです。
健康診断の費用は会社が全額を負担するのが基本ではなく「絶対」なのです。
また健康診断は休日に受けなければいけないのでしょうか。
会社に義務がある以上は、仕事の合間や出勤扱いで健康診断をうけさせるというのが基本的な考え方です。
しかし仕事中に抜け出すのは気がひけることもあり、前の日からの準備もあるので休日にゆっくり受けたいというのが本音でしょう。
こうした本当の事実は覚えておくべきです。
最後に付け加えて忠告したいのですが、会社が健康診断をセッティングしたのに受けなかった場合は自己責任になるので注意してください。
会社の規定に「健康診断を受けなかった場合には厳罰に処す」とあれば、それを受けなければいけません。
「厳罰」は極端ですが、会社が雇用者のために行っている健康診断は受けるようにしましょう。
健康診断を自己都合で受けないで病気になってしまっても、会社には全く責任はないといわれても仕方がないことを覚えておきましょう。
特に過酷な労働を強いられていて時間がとれない人こそ、健康診断はキチンとうけて病気になった時に不利にならないようにしてください。
会社員でない人が健康診断を受ける場合のおすすめコースと金額
会社員でない方が健康診断をする場合に受けるべき検査項目や費用についてご紹介いたします。
女性の方は特に結婚されると会社を辞める方もいらっしゃいます。
そうなれば自分で健康診断を受けなければいけません。
健康診断は保険適用外なので補助がないため会社に勤めていない人は高くつくのです。
会社員の方は何とも思わないかもしれませんが、国民健康保険に加入している自営業の方などには健康診断も大きな負担となります。
そうしたことから国は平成20年より国民健康保険でも低価格で健康診断を受けられる仕込みをつくりました。
ただしネックなのは対象者が「40歳~74歳」と区切り、若い人たちを対象外にしてしまいました。
40歳までは何とか乗り切るしか、いまのところ方法はありません。
では、どんな検査項目の健康診断を受ければ良いかご紹介いたします。
健康診断を実施している施設や病院では、健康診断のコースを用意しています。
会社で健康診断を受ける場合も、何かのコースを基準にしているようです。
一般のコースや女性向きのコース、年齢に合ったコースが用意されています。
特に気にしたいのが「バリウム検査」をするかしないかです。
実は健康診断の中で最も金額が高い検査項目の1つが「バリウム検査」です。
バリウム検査は自己負担の場合には、8,000円~10,000円くらいです。
通常の健康診断のコースが、だいたい10,000円くらいと言われていますので、約2倍の金額になります。
もし健康診断の前に胃カメラなどで検査をしていた場合には省略した方がお得です。
ただし胃に違和感がる人はバリウム検査をするのもいいですし、胃腸科などに行き胃カメラなどで検査をすれば健康診断とは違い保険が適用され6,000円程度で受けることもあります。
自分の身体に合わせて検査項目を選びましょう。
一般的な健康診断のコースは、約10,000円です。
これに女性であれば「乳がん検診」、アレルギーを調べたい人は「アレルギー検査」などのオプションがあり、コース料金に追加されたり、別のコース料金が適用されたりします。
受診する場所で「おすすめのコース」やオプション検査の金額を聞いてみてください。
なお一般的な健康診断のコース内容は、先にご説明しました会社の一般健康診断とほぼ同じ内容です。
病院などで多少の違いがあるでしょうから、項目数や内容を先に確認するのが良いでしょう。
健康診断の読み取り方と異常数値が表す身体の不具合
健康診断が終わったあとに、たくさんの数値が記されています。
異常な数値には「※」などが書かれており、専門用語などで注意書きがされています。
それらの数値の見方を簡単にご説明いたします。
・ 総合判定 A~F (A・異常なし、B・軽度の異常、C・要経過観察、D・要注意、E・治療が必用・F・治療中)
・ BMI 体重を慎重で2回割った数字(「身体のバランスと肥満度を示す」、25を超えると肥満、40以上は高い肥満
・ 体脂肪率 体重のうちの脂肪の割合を表す数値(正常は20~30、女性は高め「体脂肪が高いのは肥満」)
・ 血圧 血圧は高低の中間が良いとされますが、高齢の場合には高いよりは低い方が危険は少ないとされます
・ 血液 白血球、赤血球、ヘモグロビン、血小板、鉄分(「貧血や血液の異常や病気、他の臓器異常」も分る)
・ 腎臓の機能 BUNやクレアチニンの数値が「腎臓機能の状況」を教えてくれる。大事な臓器だけに要注意!
・ K(カリウム) 必要なミネラル分であり、数値の上下動は「筋肉の衰えや内臓の機能低下」を教えてくれる
・ Ca(カルシウム) 骨の主成分であるだけでなく、「血液や筋肉および細胞の反応にも重要に影響する」物質
・ pH 尿検査で出る数値。「尿pHは6.0~7.0の間におさまっていること」が大事
・ 尿に蛋白 (+)は陽性で再検査、異常がなくても陽性反応が出ることもあるが、「大きな病気のサイン」でもある
・ ウロビリーゲン (±)が正常、(+)や(-)は「肝臓や胆道系の病気」の場合があるので注意!
・ 尿潜血 女性の場合には生理の影響で陽性になることもあるが、「腎臓や尿管など」の多くの病気が考えられる
・ P型アミラーゼ アミラーゼは消化酵素で唾液にも含まれる物質です。重要な臓器「膵臓」を調査します
・ TSH TSHとは甲状腺ホルモンのことで、「甲状腺ホルモンの異常」は橋本病など多くの異変を察知します
・ 血清蛋白 血液中の総蛋白が多いと「骨髄腫や慢性炎症の可能性」あり
・ 大便に潜血 「大腸がんやポリープおよび潰瘍の可能性」あり
・ 総ピリルピン 「肝炎や胆汁排泄障害などの可能性」あり
・ ALT(GPT) 「肝機能の異常を感知」する値の1つ
・ LD(LDH) 同じく肝機能の状態をあらわす、異常数値「悪性腫瘍の発生の可能性」もあり
・ γ-GT(γ-GTP) 肝機能障害の中でもアルコール性やウィルス性の障害を発見する
・ 脂質異常の数値 総コレステロール、HDL(善玉コレステロール)、LDL(悪玉コレステロール)は糖尿病に関係
・ 尿の中の糖 陰性の場合には糖尿病の可能性あり、血糖検査を受けて問題を見つける
・ 尿酸の数値 尿酸値が高いと「痛風」の疑いあり、痛風は生活習慣病でもあり治療は難しい
・ CRP 免疫障害を起こすとCRP(タンパク質の一種)の濃度が上がり異常を教える
これ以外にも健康診断後の通知には様々な数値が記載されています。
付属の書類に難しい言葉で説明がかかれています。
まず、この数値に異常があれば、どこの臓器や場所に不具合があり、どんな病気の可能性があるのかを見ると良いでしょう。
数値には範囲があることが多く、範囲内であることが正常とされる項目が多くあります。
病院に行くと説明されると思いますが、健康診断の判定基準は厳しめの数値です。
病院で再検査すると、この数値であれば大丈夫だと言われることもあります。
ですが健康診断で異常があらわれている以上、あまり安易に考えず、かといってあまり深刻にならず、まず病院に行って再検査を受けるようにしましょう。
放置することが最も危険です。
この機会に健康診断で身体の異変を調べているのですから、異常数値で指導が行われたらすぐに指示に従ってください。
なお「経過観察」と書かれている場合は、しばらく様子を見なさいということですので、次の健康診断で同じような診断がされなければ大丈夫です。
以上、細かい数値をご説明しましたが、医学用語が多いため分かりづらかったかもしれません。
付属の書類で分からなければ電話で相談もでぃるので、遠慮せずに健康診断をした場所に聞いてみましょう。
勝手な判断が一番危険です。
オプションで受けておきたい検査項目など
今までご説明してきた健康診断の項目は一般的なコースの検査項目です。
現在はオプションで気になる部分を集中的に検査してくれます。
健康診断が近くなると、案内と一緒にオプション検査の案内も届きます。
オプション検査は事前予約が必要なものもありますので、受けたい項目があれば電話などで早めに聞いておきましょう・
では健康診断のオプションで多い検査項目と大体の費用をご紹介いたします。
・ バリウム検査:8,000円~10,000円
・ 眼底検査:約3,000円
・ アレルギー検査・アレルギー39項目:約10,000円、9項目 約4,500円など
・ 乳がん検査・マンモグラフィ:約3,000円
※年齢や病院など受診する場所により金額は変動します。
身体に異常を感じている人や、検査をしばらく行っていない人は1度受診されるのも良い考えです。
1万円で安心を買えると思えば安い金額といえるでしょう。
1年に1度の定期健康診断はキチンと受けて異常結果もキチンと受けとめよう!
今回は健康診断で感じる疑問を解説してまいりました。
簡単にまとめると以下の項目になります。
- 健康診断に保険の適用はない(自費で受ける場合には高額になる)
- 会社でうける健康診断は法律で定めたれている会社の義務である
- 会社の義務である以上は会社が全額負担するのがあたりまえ
- 会社でうける健康診断は義務化されているが検査項目は思ったよりも少ない
- 加入の保険によっては扶養者の健康診断まで面倒をみる会社もある
- 会社員でない人には、おすすめの検査項目のコースが用意されている
- 一般的なコースで約1万円
- オプションにも重要な検査項目がある
- オプションの検査価格は通常のコースに加算される(コースの選択が重要)
- 年齢や性別で検査項目は変わる
健康診断はただ受けるだけでは意味がありません。
健康診断の結果を見て、自分の身体の状態がどのように変化しているのかを確かめておきましょう。