【繰り返す鼻血の原因】大人と子供で見る鼻血の原因と正しい対処方法
テイコク製薬社調剤店舗「薬剤師」
35年の薬剤師キャリアを活かし、「健康を知り尽くした調剤マスター」としてテイコク製薬社の調剤業務に従事。
鼻血が繰り返し出ると、「何か大きな病気が隠れているのでは?」と不安になりませんか?
鼻血の原因は年齢によって違います。
子供の鼻血はほとんどが、無意識に鼻をいじることや、体温上昇によるのぼせや、アレルギー性鼻炎などで鼻の粘膜を傷つけていることが原因で起きます。
大人の鼻血は、鼻の粘膜についた傷からの出血ですが、高血圧、動脈硬化、オスラー病など、怖い病気が隠れていることもあります。
今回は、子供と大人の鼻血の原因や、鼻血の対処方法や、鼻血の予防方法についてご紹介します。
この記事の目次
子供と60歳以上は鼻血が出やすい!鼻血が出やすい原因は2つ
鼻血が出やすいのは10歳以下の幼い子供と、60歳以上の高齢者です。
子供の場合は、季節に関係なく鼻血が出ますが、高齢者は冬から春先にかけて出血しやすいです。
【鼻血の原因】鼻の粘膜が乾燥しやすい季節は鼻血が出やすい
鼻の粘膜が乾燥するとムズムズしたりして、いじりたくなったり、鼻水が固くなり粘膜を傷つけてしまい鼻血が出やすくなります。
【鼻血の原因】気温差が大きく血圧の上下が起こると鼻血がでやすい
血圧が上がると血管を流れる血液量が増加し、鼻腔内の傷や、もろくなった血管から出血しやすくなります。
【鼻血の原因】子供が鼻血を出るのは粘膜の弱さが原因です!
子供が鼻血を出す原因は、鼻の穴から1~2cmにある毛細血管が集まっている粘膜「キーゼルバッハ部位」が傷つきやすいからです。
子供の鼻は粘膜が弱く、鼻をいじるとすぐに傷がつき出血します。
一度傷がつくと完全に治るまでは、軽く触ったりのぼせたりするような、軽い刺激でも再び出血します。
なので、繰り返し鼻血を出していても、指圧をしてすぐに止まるようであれば問題はありません。
また、子供が鼻をいじってしまう原因として、アレルギー性鼻炎などの炎症によりかゆみが出ていることがあります。
その場合は、炎症を治療すると、鼻血を出す頻度も減っていくでしょう。
【鼻血の原因】注意が必要な子供の鼻血について知ろう!
子供の鼻血は、ほとんどが心配しなくていいものですが、まれに注意が必要な鼻血もあります。
- 止血をしても20分以上鼻血が止まらない
- 歯茎からも出血している
- 手足に異常な数のアザが見られる
このような症状がある場合は、自然治癒できないほど深い傷がついていたり、白血病などの恐ろしい病気が原因になっていたりする可能性があります。
早めに耳鼻咽喉科を受診することオススメします。
【鼻血の原因】大人が鼻血を出すのは動脈性出血が原因かも!?
大人の鼻血の原因もほとんどは粘膜の傷です。
鼻を強くかんだり、粘膜が乾燥したりすることで傷がつき鼻血が出ます。
この場合は、子供の鼻血と同じ様に指圧をすれば数分で止まりますので心配ありません。
しかし、大人の鼻血には注意が必要なものがあります。
それは、キーゼルバッハ部位ではなく、鼻の奥にある動脈が破れることで出る「動脈性出血」です。
これは、中高年で動脈硬化が始まっている方に多い症状です。
動脈硬化があると、動脈の血管壁がもろくなり、太い血管が破れやすいのが原因です。
また、太い血管が破れるため、血が多量にでることがあります。
朝起きた時や入浴後に何度も鼻血が出る方や高血圧が気になっている方は早めに受診をしましょう。
また、以下の様な症状が出たら、太い動脈が破れ出血している可能性があるので、一刻も早く病院へ向かいましょう。
- 鼻血が30分以上止まらない
- 洗面器がいっぱいになるほどの大量の鼻血が出ている
- 鼻だけでなく口からもたくさんの血が出てくる
このような症状で受診すると、破れた動脈をレーザーで焼き止血する治療をします。
あまりにも出血が激しい場合は、入院措置がとられることもあります。
また、あまりにも頻繁に鼻血がでる場合は、オスラー病が考えられます。
オスラー病とは、血管の形に異常がおこり、身体の色々な場所から出血する遺伝性の血管の病気です。
その中でも、一番よく見られる出血場所が鼻です。
日本では5000~8000人に1人が、オスラー病の遺伝子を持っていますが、遺伝子がある人が必ず発症するわけではありません。
発症した場合、放っておくと貧血や内臓の出血を起こすこともありますので、鼻血が何度も出てしまうのであれば一度検査をしましょう。
【鼻血の原因】鼻血が出た時は正しい対処方法で止血しましょう!
(1) 椅子に座り小鼻に固く巻いた脱脂綿やガーゼを入れ、その上からしっかりとつまみます。 | |
(2) その状態で5~10分ほど様子をみましょう。この時、顔はやや下を向くようにします。 | |
(3) 冷たいタオルなどで鼻筋を冷やします。 |
出血量が多く脱脂綿から血が滲んでもカサブタがとれてしまいますので、途中で交換はしないでください。
血が垂れるようであれば、洗面器などを受け皿にしましょう。
このように対処すれば、粘膜からの出血は数分で止まります。
もし、30分以上出血が止まらない場合や、のどへ落ちて口からも多くの血が出るようであれば、速やかに耳鼻咽喉科へ行きましょう。
鼻血が止まってからも強く鼻をかんだり、長い時間の入浴、激しい運動は避けましょう。
鼻血が出たら「上を向き後頭部をトントンと叩く」という対処方法を聞いたことがある方もいるかもしれませんが、これは間違いです。
上を向くと鼻血が喉に流れてきて気分が悪くなることもあります。
また、止血中は刺激を与えてはいけません。
【鼻血の原因】鼻血がでないように鼻の粘膜を保護しよう!
鼻血を予防するには、鼻の粘膜を傷つけないことが重要です。
鼻をいじることは避けて、鼻をかむ時も片方ずつ優しくかむようにします。
また、粘膜が乾燥しないよう、マスクの着用も有効です。
また、よく言われるチョコレートの食べ過ぎが原因で鼻血が出るというのは迷信です。
鼻血の原因がわからない時は病院に行こう!
今回は、子供と大人の鼻血の原因や、鼻血の対処方法や、鼻血の予防方法についてご紹介しました。
子供でも大人の鼻血の大半は心配しなくて大丈夫ということをお話しました。
また、次に鼻血が出た時は、落ち着いて正しい対処しましょう。
乾燥する季節は、マスクなどの予防法も有効です。
それでも鼻血の回数が多いと感じることや出血の量が多すぎるという症状があれば、早めに耳鼻科を受診しましょう。
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