【腸内フローラのバランス】健康維持には腸内フローラを改善しよう!
テイコク製薬社調剤店舗「薬剤師」
35年の薬剤師キャリアを活かし、「健康を知り尽くした調剤マスター」としてテイコク製薬社の調剤業務に従事。
最近よく聞く「腸内フローラ」って知っていますか?
腸内フローラは身体によさそうなのはわかるけど、何にがいいのかイマイチ知らない人が多いと思います。
そこで今回は、腸内フローラの種類や、腸内フローラとダイエットになるのかについて紹介します。
この記事の目次
【腸内フローラ】腸内フローラとは腸のことです!
私たちの腸の中には、約1,000種類以上もの細菌が1,000兆個以上いて、便の1/3は腸内細菌でできているとも言われています。
腸の中を顕微鏡で見ると、腸内細菌たちがまるでお花畑(英flora)のように見えることから「腸内フローラ」と呼ばれています。
腸には善玉菌、悪玉菌、日和見菌に分かれます。
善玉菌には、ビフィズス菌や乳酸菌(フェーカリス菌やアシドフィルス菌)があります。
悪玉菌には、ブドウ球菌やウェルシュ菌、大腸菌(有毒株)などがあります。
そして、バクテロイデス、大腸菌(無毒株)、連鎖球菌などが日和見菌です。
理想的な腸内細菌のバランスは、【善玉菌2:悪玉菌1:日和見菌7】で、どれかの菌が多すぎても、少なすぎても体に何らかの支障を与える原因となります。
【腸内フローラの働き】身体の健康を保つためには腸内フローラが大切
そもそも腸は、十二指腸、空腸、回腸からなる「小腸」と、盲腸、結腸(上行/横行/下行/S状)、直腸からなる「大腸」でできています。
小腸の長さは5m~7mで、大腸は1.5m~1.6mと人間にとってはとても大きな臓器です。
特に大腸の部分に腸内フローラがたくさん見られます。
腸内フローラには大きく3つの働きがあります。
- 消化できなかった食べ物を分解して栄養素を作る
- 腸内フローラにある善玉菌で免疫力を活性化させ有害細菌をやっつける
- 自律神経を整える
【腸内フローラのバランス】乱れると身体にでる5つの影響
腸内フローラのバランスが乱れた時に(悪玉菌が増えて善玉菌が減った状態)、起きる身体への影響はたくさんあります。
- <便秘や下痢の症状が出る
- 免疫力が落ちる(風邪を引きやすくなる)
- 肌が荒れる
- 代謝が落ちる
- 情緒不安定になる(ストレスが溜まりやすい)
【腸内フローラのバランス】悪玉菌が増えて便秘や下痢になる
腸内フローラのバランスが乱れて悪玉菌が増えると、腸内の有害物質が増えて、ぜん動運動(腸の働き)が鈍くなり便秘や下痢の症状を引き起こします。
腸内フローラが乱れて善玉菌が増えると免疫力が落ちて風邪を引きやすくなる
身体には外部から進入する病原菌や、異物から体を守ってくれる免疫細胞があり、その免疫細胞の約60%が腸にあります。
しかし、腸内フローラが乱れて善玉菌が減ると、免疫力が落ちるので風邪などウイルスにかかりやすくなります。
アレルギー(花粉症など)は体内に入ってきた異物に対して、免疫細胞が過剰反応を起こし目の痒みやくしゃみ、鼻水などの症状が現れます。
善玉菌(ビフィズス菌など)には、この免疫細胞による過剰反応をおえてくれる効果があります。
現代人にアレルギーが多いのは腸内環境の乱れによるものとも言われています。
【腸内フローラのバランス】ニキビなどの肌のトラブルが増える
「肌は腸を映す鏡」と言われるぐらいに、腸が乱れると肌も荒れます。
これは悪玉菌が食べかすに残った脂質や、たんぱく質を腐敗させるときに出る毒素が腸から、血液に吸収されて体内を巡りニキビや吹き出物などお肌にトラブルが出ます。
【腸内フローラのバランス】代謝が落ちて太りやすい体質になる
腸内フローラのバランスが乱れると、太りやすい体質になると言われています。
善玉菌が出す「短鎖脂肪酸」という物質は体脂肪に結合することで、エネルギーを体内に蓄積することをおえます。
また、短鎖脂肪酸は交感神経を優位にすることで、エネルギーの消費を上げてくれていますが、善玉菌が減り悪玉菌が増えることで代謝が落ちます。
【腸内フローラのバランス】情緒不安定になる(ストレスが溜まりやすい)
腸は「第2の脳」と言われており、人の体内にある「幸せホルモン」と言われるセロトニンの約90%は腸内で分泌しています。
セロトニンとは、脳内において人の感情を司る精神安定物質になるホルモンのことです。
腸内のセロトニンは脳内のセロトニンとは直接的には関与していませんが、腸内のセロトニンが腸に正しく影響して、腸の蠕動運動が正常にすることにより、脳内のセロトニンが間接的に合成される働きを担っています。
不健康な腸は間接的に脳内のセロトニン分泌に影響を及ぼすため、精神不安やイライラといったネガティブな感情を引き起こし、無気力、集中力の欠如、ストレスが溜まりやすいといったことなります。
【おまけ】
腸内フローラによって性格に影響が出るというのは、マウスの研究からも明らかになっています。
勇敢なマウスの便を臆病なマウスの腸内に入れると、臆病だったマウスが勇敢になり、その逆で行ってみても同じ結果が得られました。
これにより、腸内環境が変わると性格も変わるのではないか。と世界中で研究が進められています。
【腸内フローラのバランス】乱れる原因は大きく分けて4つある!
- ストレス
- 栄養バランスの偏った食生活
- 抗生物質
- 加齢
【腸内フローラのバランス】乱れる原因はストレス
ストレスを感じることによって、自律神経の働きが弱まると、交感神経が優位に働きます。
腸の働きは副交感神経が優位(=リラックス状態)な時に活発になるので、ストレスを感じて交感神経が活発になっている間は、腸の働きが弱くなります。
すると便を出す力が弱まるので便秘を引き起こし、たまった便が腸内で腐敗することで悪玉菌が増えていきます。
【腸内フローラのバランス】乱れる原因は栄養バランスの偏った食生活
タンパク質や脂質は悪玉菌のエサになるので、摂りすぎると悪玉菌が増える原因となります。
特にこの二つの栄養素を多く含む肉類は、腸で消化されにくく、未消化のまま大腸に運ばれたお肉は大腸で分解されますがそのタンパク質が分解される時に悪臭を放ちます。
たくさん食べ過ぎると消化不良によって下痢の原因にもなります。
【腸内フローラのバランス】乱れる原因は抗生物質の服用による善玉菌の減少
抗生物質は腸内の害のない細菌まで殺すので、服用した後に腸内フローラのバランスが乱れ便秘や、下痢など急性の症状が出たり、抗生物質を使った後から急にアレルギーになりやすくなることがあります。
そのため抗生物質を服用するときは、善玉菌を含む食べ物と一緒に服用しましょう。
【腸内フローラのバランス】乱れる原因は加齢による善玉菌の減少
残念ながら60歳を過ぎると悪玉菌の割合が多くなります。
産まれたばかりの時は、ビフィズス菌など善玉菌の割合がとても多いです。
赤ちゃんのうんちが黄色っぽく、「ツーン」とした酸っぱいにおいがするのは善玉菌特有のものです。
しかし、高齢になればなるほどビフィズス菌の割合が減少して、若いときには見られなかったウェルシュ菌などの悪玉菌が検出されるようになります。
【腸内フローラを改善】善玉菌を増やすには食べ物と適度な運動をしよう!
腸内フローラの改善は、2週間程度で十分に改善を実感できます。
- 善玉菌を増やす食べ物を食べるようにする
- ストレスを解消する
【腸内フローラを改善】善玉菌を増やす食べ物を食べるようにしよう!
【乳酸菌やビフィズス菌を多く含む食べ物】
善玉菌の仲間である乳酸菌を食べることで、善玉菌の数を増やしてくれます。
さらにビフィズス菌は、人の身体に含まれる善玉菌の種類の中で最も割合を占めている善玉菌で、乳酸菌よりもビフィズス菌の方が悪玉菌をおえる酢酸が含まれています。
【ヨーグルト】
「生きたまま腸に届くビフィズス菌」と書いてある善玉菌の仲間のビフィズス菌の入っている物がおすすめです。【発酵食品】
発酵食品には、善玉菌のエサとなる乳酸菌やオリゴ糖が多く含まれています。発酵食品の中に含まれる有効成分は胃酸に弱く、腸に届くまでに死滅してしまうものもありますが、善玉菌のエサとなり善玉菌を増やす働きをしてくれます。納豆や漬物などは胃酸に強く、生きたまま腸に届けられます。さらに嬉しい効果としては、大豆を原料とした発酵食品には肌を若返らせる成分のエクリオールが含まれます。
・納豆
・味噌
・ぬか漬け
・キムチ
・チーズ【食物繊維】
食物繊維は善玉菌のエサとなり、胃や小腸で消化されることなく大腸まで届きます。また、直接大腸まで届くことにより、便のカサを増したり柔らかくする作用があることから、自然な排便を促す便秘解消効果も期待できます。果物や野菜などに多く含まれます。
・きなこ
・ごぼう
・きのこ
・キャベツ
・さつま芋
・ラズベリー
・ブルーベリー
【腸内フローラを改善】適度な運動でストレスを解消して善玉菌を増やそう!
ストレスを軽減させて副交感神経を優位(=リラックス状態)にすることで、腸内環境を整えられます。
ストレス解消にはウォーキングなど適度な運動がおすすめです。
これら以外にも良質な睡眠や、規則正しい生活も心がけましょう。
腸内フローラを整えるとダイエットになる!?デブ菌を減らそう!
腸内に無数にいる細菌中に、「デブ菌」と呼ばれる細菌が存在します。
そのデブ菌の割合を減らして、痩せやすい体を作る腸内フローラダイエットがあります。
肥満の原因になっている菌のことをデブ菌と言い、具体的にデブ菌は悪玉菌に属し、腸の中で肥満の元となる有害物質を作り出します。
このデブ菌が増えると血液中の栄養が各細胞まで行き渡らずに、皮下脂肪や内臓脂肪へと取り込まれることで肥満になる可能性が高くなるというものです。
一般的には人が口にしたものは腸で栄養や水分を吸収し、吸収仕切れなかったものが便として体外に排出されますが、デブ菌の割合が多いとこの状態を維持できずに、体の中にため込み結果太る原因となります。
もしあなたが一生懸命にダイエットに励んでいるにもかかわらず、なかなか痩せられないなら、このデブ菌が多く潜んでいるのが原因かもしれません。
基本的に、腸内フローラを整える方法は先程も紹介した方法を試すと一番効果的です。
それ以外で腸を活性化させ便を出し、デブ菌である悪玉菌を増やさないストレッチ法を紹介します。
食事が体の内側から腸に働きかけるのに対して、ストレッチは体の外側から腸に働きかけるのが狙いです。
ちょっとした隙間時間にできるので、思い立ったら気軽にやってみてみてくださいね。
便をだしてデブ菌を撃退するおすすめのストレッチをやってみよう!
ピンと背筋を伸ばして椅子に腰掛ける
ピンと背筋を伸ばして椅子に腰掛けて、お尻で歩くように前に4歩進む。同じようにお尻で歩く要領で後ろに4歩戻る。1~3を朝昼晩と2往復ずつする
腸内フローラのバランスを整えて健康に生きよう!
今回は、腸内フローラの種類や、腸内フローラとダイエットになるのかについて紹介しました。
腸内フローラは、人の健康そのものに大きな影響を及ぼします。
腸内フローラのバランスを保つということは、病気の予防やエイジングケアに役立ち、体のみならず心の健康にも役立ちます。
そのためには日々の食生活や睡眠といった生活習慣に気をつけて、いつまでも元気でいられるように腸内環境を整えるように心がけましょう。
テイコク製薬社調剤店舗「薬剤師」
35年の薬剤師キャリアを活かし、「健康を知り尽くした調剤マスター」としてテイコク製薬社の調剤業務に従事。