【逆流性食道炎】お酒も飲んでいないのになぜ?逆流性食道炎かも!
テイコク製薬社調剤店舗「薬剤師」
35年の薬剤師キャリアを活かし、「健康を知り尽くした調剤マスター」としてテイコク製薬社の調剤業務に従事。
「胃酸のような苦いものが喉に上がってきて気持ちが悪い」
「最近、胸やけがいつもよりひどい」と思うことはありませんか?
また、夜中に「オエッ!」お酒も飲んでいないのになぜでしょうか?
お酒も飲んでいないのに夜中に「オエッ!」と吐き気を催し、眠れなくなったことはありませんか?
これも逆流性食道炎の症状かもしれません。
今回は、逆流性食道炎原因や、逆流性食道炎の治療方法や予防する方法についてご紹介します。
この記事の目次
「逆流性食道炎」とは?逆流性食道炎はどんな病気なの?
逆流性食道炎とは、胃の中で胃液と混ざり合った食べ物や、胃液そのものが食道に逆流する病気のことをいいます。
実は筆者も、過去に逆流性食道炎を患った経験があります。
丁度仕事で業務量が激増し毎日帰宅が午前様になっていた時期で、その業務内容にはクレーム処理や非常に複雑な見積業務もあり、当時いた上司のパワハラもあり、未明に布団に入っても寝入りばなにいきなり胃から食道に甘酸っぱい液体がこみあげてきて、お酒も飲んでいないのに激しい吐き気に襲われます。
この症状が半年間続き、最終的には病院のお世話になりました。いまは完治しています。
逆流性食道炎は「胃食道逆流症(GERD・Gastro Esophageal Reflux Diseaseの略)の一種に分類され、この胃食道逆流の中に「逆流性食道炎」と「非びらん性胃食道逆流症(NERD・Non-Erosive Reflux Diseaseの略)」の2つがあります。
いずれの場合も胸やけが起きると言われていますが(逆流性食道炎の場合は無症状の場合もありますが)、大きな違いは食道内に炎症、「びらん」や「潰瘍」が出るか出ないかの違いです。
食道内に炎症が現れる場合は逆流性食道炎、出ない場合は非びらん性胃食道逆流症です。
逆流性食道炎は放置し悪化すると、最悪は食道がんに発展してしまうこともあるようです。
逆流性食道炎による胸やけは胃酸の逆流が原因です!
通常時は、食道と胃の間の食道胃接合部にある「下部食道括約筋」を収縮させて圧をかけることで、食道に運ばれたものをスムーズに胃に送り込んでいます。
しかし、この下部食道括約筋の筋力が低下し、胃の中にある食べた物や胃液が食道に逆流すると食道の粘膜の炎症が起きます。
この症状を「逆流性食道炎」といいます。
何故、炎症が起きるのかというと、胃液には胃酸という強い酸が含まれていますが、食道には胃の粘膜のように、胃酸の消化力から守るための働きはありません。
そのため、食道に胃酸が触れると炎症が起き胸やけを感じます。
逆流性食道炎の有病率は年々増え、1980年代までは2%程度だったものが、現在では20%を超えるといわれています。
つまり、4人に1人が逆流性食道炎であり、新しい日本人の国民病となっています。
逆流性食道炎の代表的な症状はどんなものがある?
逆流性食道炎に代表される症状にはどのようなものがあるのでしょうか?
【逆流性食道炎の症状】呑酸(どんさん)
胃の内容物が、胃から喉元まで上がってきて、再び下がることをいいます。
口や喉に酸っぱ、あるいは苦い感じが込み上げてくる感覚です。
【逆流性食道炎の症状】胸やけ
脂っこいものをたくさん食べたり、お酒をたくさん飲んだりしていなくても胸やけがします。
【逆流性食道炎の症状】胸の痛み
心臓病にも似た胸の痛みが出ることがあると言われています。
つまり、かなりの激痛です。
【逆流性食道炎の症状】のどの異常
風邪でもないのによく咳き込む、声が枯れる、常に喉がいがらっぽい等、食道に関係ない症状が現れることがあります。
逆流性食道炎で夜中に胃内容物が食道にこみ上げ、呼吸困難で死亡してしまった方もいるそうです。
そう考えると、本当に恐ろしい病気です。
余談ですが、世界的に有名な伝説のロックバンドのドラマーが、大量のお酒(ウォッカ)を飲み、嘔吐物を詰まらせて呼吸困難になり、若くしてこの世を去ったことはバンドマニアの間で有名です。
このときの死因も、過剰なアルコール摂取による逆流性食道炎が起き、嘔吐物がこみあげてしまったせいではないか?という説もあります。
このドラマーは筆者も本当に大好き、本当に格好良かっただけに、今でも涙が出そうです…。
逆流性食道炎を引き起こす原因は主に生活習慣にある!?
逆流性食道炎を引き起こす原因には、どのようなものがあるのでしょうか?
基本的には、先天性の疾患というよりも、日頃の生活に起因するものが多いようです。
まず、逆流性食道炎が起きてしまう身体のメカニズムを簡単に紹介します。
人間の胃と食道の間をブロックするため、この境目(噴門部・ふんもんぶ)を開け閉めするための下部食道括約筋(かぶしょくどうかつやくきん)という筋肉があります。
逆流性食道炎は、この筋肉の力が弱まるために引き起こされると言われています。
この下部食道括約筋を弱める原因には、以下のようなものがあると言われています。
暴飲暴食・不規則な食事・栄養の偏った食事をすると逆流性食道炎を引き起こす
これがいちばんではないかと言われています。
酒をよく飲む人、脂っこい料理・味の濃い食べ物が大好きな人は、逆流性食道炎になりやすいと言われています。
また、寝る前にご飯を食べたりお酒を飲むのもよくないと言われています。
逆流性食道炎の患者さんには、肥満気味の人が多いというデータがあるそうですが、これは肥満の方は胃をはじめとした内臓に常に圧力がかかっている状態(腹圧が上がっている状態)ですので噴門を閉める筋力に腹圧が勝ってしまい、胃内容物の逆流を止められない、というメカニズムです。
ストレスを溜めると逆流性食道炎を引き起こす
日頃のストレスにより、腹圧が上がっている状態になってしまう方も大変多いようです。
喫煙すると逆流性食道炎を引き起こす
喫煙も腹圧を上げる原因の一つと言われています。
便秘が続くと逆流性食道炎を引き起こす
便秘も腹圧を上げる原因の一つです。
筆者が逆流性食道炎患っていたときのことを考えると、これらがすべて当てはまります!
仕事のストレスから日中はタバコの本数と甘~い缶コーヒーを飲む機会が増え、居酒屋でやけ酒を呑むと一軒でタバコを一箱吸い、家に帰るとお腹が空くので、コンビニのフライドチキンや揚げ物たっぷりの弁当を食べ、満腹で眠くなりそのまま布団へ…
当時は独り者でしたが、このような生活を繰り返していくうちに逆流性食道炎になってしまいました。
逆流性食道炎を治療する方法(進行度合い別に紹介)
逆流性食道炎の治療はどのような方法でしょうか?
進行度合いにより治療方法は異なりますが、まずは内視鏡検査で食道の荒れ具合を調べるケースが多いようです。
食道内部の炎症の有無、潰瘍の有無を調べます。
他にも、食道内pH測定や内圧測定、上部消化管X線検査をする場合もあります。
検査の結果、炎症の度合いや潰瘍の大きさがそれほどでもない場合は投薬治療からスタートするケースが多いようです。
胃酸分泌を抑制する(胃内を中和させる)目的でPPI(プロトンポンプ阻害薬)という薬が処方されたり、胃内容の逆流防止・食道運動促進を目的に、消化管運動機能改善薬が用いられることもあります。
また、食道粘膜を直接保護する薬剤も用いられます。
投薬治療でも症状が改善されない場合や潰瘍がある程度の大きさになると、手術療法になります。
手術が必要になるまで症状が悪化している場合は、食道裂孔ヘルニアを併発しているケースが多いようです。
一般的には腹腔鏡手術、つまり、お腹の皮膚を数ヶ所、3-5mm程度小切開し、そこから内視鏡や細い手術器具を入れて行う手術で行われるようです。
通常であれば手術時間は90~120分、入院期間は3日程度と言われています。
今日からできる逆流性食道炎を予防する5つの方法
このように、つらい逆流性食道炎にならないようにするにはどうすればよいでしょうか?
【逆流性食道炎を予防する方法】カイロで冷えを予防する
逆流性食道炎の原因のひとつに「冷え」があります。
冷えは血の流れを悪くし、食べ物を食道から胃へと送る働きを弱くします。すると、胃液の分泌が多すぎて、逆流性食道炎を招く恐れがあります。
そのような冷えによる逆流性食道炎の予防として、みぞおちにカイロを張るという方法があります。
みぞおち部分まで覆うように腹巻をつけ、その上から張るタイプのカイロをみぞおちからへその少し上に張ります。
これにより、胃やその周辺の血流がよくなり、胃にたまった余分な水分が排出されやすくなります。
そして冷えを防ぎ、胃酸過多を抑え、逆流性食道炎を防ぎます。
このときに直接、肌にカイロを貼り付けてしまうと、低音火傷を招く危険性がありますので、あくまで腹巻の上から張るようにしましょう。
それでもカイロが熱いと感じたときには、厚めの腹巻に替えて、程よい温度を感じられるまで調整しましょう。
就寝時以外はつけたままでも問題ありませんので、就寝前にカイロをはがし、起床後にまた貼り付けるといいでしょう。
【逆流性食道炎を予防する方法】左向きに寝る
右向きに寝ると物理的に胃酸が噴門にあたってしまい、逆流しやすくなります。
就寝時に胸やけを感じる方は、体を左向きにするようにしましょう。
対して、左向きなら胃が噴門から左側に大きく膨み、胃の湾曲部分に胃酸を溜める場所ができて、逆流しづらくなります。
【逆流性食道炎を予防する方法】逆流性食道炎専用の枕
逆流性食道炎専用枕は通常の枕よりも背中から頭に向けての角度がつくように設定されており、胃酸が逆流しづらくなります。
|
|
【逆流性食道炎を予防する方法】生活習慣を見直す
早寝早起き、朝昼晩3食のご飯を規則正しい時間に食べ、適度な運動する、これが一番です!
肥満にならぬよう、高カロリー・高コレステロール食を控え、野菜や海藻類、乳製品をバランスよく食べるようにしましょう。
ただし、食事制限は大変つらく、長続きしないのもまた事実です(筆者もできませんでした・苦笑)。
そのような方は、好きなものはあまり我慢せずしっかり食べ、その分、体を動かして消費するようにしましょう!
筆者は逆流性食道炎になる前と後で約10キロ体重が変わりましたが、体重が落ちた時期はむしろあまり食事制限はしませんでした。
その代わり、1日1時間の筋トレ(かつて流行したビ〇―軍曹の下に入隊・笑)を3か月続け、休みの日も銀玉球技や回胴遊戯をやめ、違う楽しみを見つけました。
モリモリ食べても細マッチョ、理想的でしたね~
※今でも筋肉は落ちていませんが、内臓脂肪が増えてきてました…(苦笑)
【逆流性食道炎を予防する方法】ストレスを溜めない
ストレスも逆流性食道炎の大敵です。
ストレスはとにかく溜めないことがいちばんです。
ストレスが溜まると腹圧も上昇しますし、ストレス解消のためにお酒やたばこ等、身体に悪い方向に進んでしまいがちです。
何かストレスを発散できる方法を、自分なりに見つけましょう。
※筆者は、あまりにも頭にきてムカムカするときは、家に帰って布団を丸め、憎たらしい上司の名を心の中で叫びながら、膝蹴りやローリングエルボを何発も喰らわせました(笑)。
無論、ボロアパートなので大声や振動はご法度ですが、迷惑にならない程度のトーンで、べらんめぇ口調で汚い言葉を、丸めた布団に投げかけていましたね…(笑)
逆流性食道炎は放置してはダメ!胸やけや吐き気を感じたらすぐ病院へ!
逆流性食道炎は、放置すると最悪は食道がんに発展してしまいます。
少しでも逆流性食道炎の疑いがある場合は、すぐお医者さんに相談しましょう。
その上で、まずは生活習慣の改善・ストレスを溜めないようにしましょう!
テイコク製薬社調剤店舗「薬剤師」
35年の薬剤師キャリアを活かし、「健康を知り尽くした調剤マスター」としてテイコク製薬社の調剤業務に従事。