冬の痒~い「しもやけ」の治し方!しもやけの原因や効果的な市販薬
テイコク製薬社調剤店舗「薬剤師」
35年の薬剤師キャリアを活かし、「健康を知り尽くした調剤マスター」としてテイコク製薬社の調剤業務に従事。
冬になると気温が低下し、血行が悪くなるため、肌に炎症が起こります。
これが「しもやけ」の症状です。
しもやけは、腫れや痛みを伴い症状が進行すると水ぶくれになることがあります。
そこで今回は、しもやけの症状や原因、しもやけを対処するや、予防する方法についてご紹介します。
この記事の目次
赤く腫れているのは「しもやけ」?ひび・あかぎれとの違いは?
冬になりやすい「しもやけ」は凍瘡(とうそう)とも呼ばれます。
冬場など冷え込んだ時期に手足の指先や耳など表面に出ている部分がなりやすく、皮膚が赤らんだり腫れたりと痛みや痒みを伴います。
しもやけが酷い場合は水ぶくれができ、破れると潰瘍ができることもあります。
患部を温めると痛みや痒みが強まることも特徴の1つです。
しもやけは症状によって、手足が熟れた柿のように赤く腫れる「樽柿型(たるがきがた)」と赤い発疹や水泡、しこりなどが出来る「多形滲出性紅斑型(たけいしんしゅつせいこうはんがた)」の2種類に大別されます。
こうしたしもやけの症状と類似した症状で「ひび」や「あかぎれ」があります。
同じく寒い時期に起こる肌の症状ですが、しもやけが赤く腫れて痒みを伴うのに対し、「ひび」「あかぎれ」は肌に亀裂が入ったり出血を伴う場合もあるので症状の明らかな違いによって見分けられます。
あかぎれとしもやけでは対処法も異なる場合がありますので症状の見極めも重要です。
気温が関係している?しもやけが「冬」になりやすい理由
ではしもやけが出来る原因や、できやすい時期について説明します。
しもやけが起こる原因は、血液の循環障害です。
人間の体は、気温が下がって寒くなると血管が収縮し、反対に気温が上がって暖かくなると血管は拡張します。
気温差があればあるほど血管の収縮・拡張が大きくなり、それらが繰り返されることによって血液の循環に異常が生じます。
そして、寒冷刺激によって血流が減り、部分的に酸素の供給が足りなくなるため、炎症が起きます。
特に、手足の指や耳にある血管は細いため、血管が収縮すると血液が滞留しやすく、発症しやすい部位として挙げられます。
これらの症状は冬季を中心とした寒い時期によく起こります。
気温としては5℃以下、また日中の最高気温と最低気温の差が10℃以上ある場合に起こりやすく、真冬だけではなく、冬から春にかけての時期にも多く発症します。
冬場は外気が寒いのに対し、部屋の中は暖房などで暖かくなっているため、しもやけになりやすいのです。
しもやけは大人より子供がなりやすい!?
しもやけは症状によって発症しやすい年齢が異なります。
前述した患部全体が赤く腫れ上がる状態の「樽柿型」は幼児・小児の小さな子供によく発症します。
小さな発疹ができる「多形滲出性紅斑型」は比較的成人に多く発症します。
成人よりも外で遊ぶ機会の多い子供の方が外気に多く触れるためしもやけになることが多く、成人の場合では男性よりも女性の方が多く発症する傾向にあります。
しもやけになりやすいのは遺伝的なものもあると言われてはおりますが、体質や生活習慣によって起こりやすくなる場合もあります。
大きな原因は外気(気温)と皮膚(体温)における温度差です。
手足に汗をかきやすい人は汗が皮膚から蒸発しようとして熱を発し、表面の温度が下がるためにしもやけになりやすくなります。
冷え性の人も手足の温度がもとから低いので、しもやけになるリスクが高いです。
皮膚表面の温度と並び称される原因に血行不良も挙げられます。
血流が悪いと皮膚表面の温度も低下しやすくなり、しもやけの発症につながります。
日常的に素足で生活する習慣のある人や、ハイヒールを長時間履く女性などは足の指先の血行が悪くなるので、普段の生活からでも知らずに発症しやすくなる要因を自ら招いている場合もあります。
また、栄養素の中のビタミンの1種である、血行を促進する働きのあるビタミンEが不足しがちな人もしもやけが発症しやすくなるリスク要因となります。
しもやけになりやすい人まとめ
①大人よりも子供の方がなりやすい
②手足に汗をかきやすい人
③冷え性の人
④ハイヒールを長時間履く女性など、足先の血行が悪くなることをしている人
⑤ビタミンEが不足している人
しもやけを早く治す正しい対処法【治し方は人それぞれ!】
実際にしもやけの症状が出てしまった場合にはどういった対処法をとれば良いのかを発症要因別にわけて説明します。
【しもやけの対処方法】体が冷えてしもやけになっている人
体の冷えによってしもやけが出来ている人は、しっかりとした防寒をすることが重要です。
手足の末端の冷えに対しては、外出時に手袋をはめたり、靴下を厚手のものにしたりとよく発症する部位のケアが効果的です。
またよく汗をかく人は、汗によって濡れた衣類や手袋、靴下などをすぐに取り替えるなどの意識を持つことで体が冷え込むのを防げます。
【しもやけの対処方法】血行不良によってしもやけになっている人
血行が悪く体が冷えやすい人は、血液の循環を良くすることで冷えの解消につながり、しもやけ対策にもなります。
入浴時はシャワーだけで済ませず40℃ほどのお湯で体の芯までじっくりと温まったり、定期的にマッサージに行ったり、温かい食べ物や飲み物を摂取して内側から温めていく意識を持ちましょう。
皮膚が乾燥していると、しもやけなどの皮膚症状が出やすくなります。
皮膚が乾燥していると思ったら保湿効果のあるクリームや軟膏を塗ることも有効です。
その際は血行促進効果のある「ヘパリン類似物質」という有効成分の含まれる軟膏・クリームがオススメです。
医療用医薬品では「ヒルドイドソフト軟膏(ローション)・ヒルドイドクリーム」と言います。
実際に冬季で乾燥が進む時期になるとこの軟膏・クリームの処方が数多く出ます。
成人小児問わず使用が可能で、顔を含め全ての部位で使用可能なため非常に汎用性が高い医薬品となっています。
しもやけで肌のダメージを受けている、乾燥肌、冷え性の症状が強い方は受診して処方してもらうことをお勧めします。
また、この成分が含まれている医薬品は市販でも手に入れできるためぜひ参考にしてみてください。(次項目にて紹介します)
血行を促進させる働きのあるビタミンEが不足している方もしもやけになりやすいので、不足しているビタミンEを食生活で摂取することも効果的な方法です。
ビタミンEは血管を拡張させて血流量を増やす働きがあるため、しもやけに悩まされている方は乾燥シーズンが始まるころから積極的に摂取する習慣をつけることも重要です。
ビタミンEはアーモンド等のナッツ類や小麦などの穀類、植物油、ウナギなどの魚類、緑黄色野菜や大豆等に多く含まれます。
食材から摂取する場合は、調理方法について特に問題ありませんが、ビタミンEは光に弱いため食品を保管する場合には注意が必要です。
また、ビタミンEの1日における摂取量の目安も規定されており、成人で男性が6.5mg、女性が6.0mgになります。
1日あたりの摂取上限量は成人で男性約700~800mg、女性約600~700mgとなっています。
ちなみにアーモンドなどのナッツ類、小麦などの穀類には食品100gあたり約30mg含まれており、植物油には100gあたり約40g含まれています。
ビタミンEを摂取するとしもやけの症状の改善の手助けにはなりますが、摂取のしすぎには注意しましょう。
しもやけに効く4つの医薬品!市販で購入できる!
では市販で手に入れることのできる医薬品について、患者様やお客様にアドバイスした内容等を踏まえて、お勧めできるものをご紹介します。
【しもやけに効く医薬品】ヘパソフトプラス
血行促進や保湿の働きのある「ヘパリン類似物質」や、皮膚の抗炎症、保湿、組織修復効果のある「パンテノール」、痒みを抑える効果のある「クロタミトン」「ジフェンヒドラミン」の主に4種類の成分で構成されています。
しもやけの原因である乾燥や血行不良に対して効果を発揮し、伴って発症するかゆみ症状も抑えられます。
伸びのよいクリームタイプなのでベタつきを感じずに全身に塗れて、オススメの1つです。
|
【しもやけに効く医薬品】プロペト ピュアベール
この薬の主成分は「白色ワセリン」という保湿成分になります。
値段が安価な点と肌への刺激感が少ないことが特徴です。
保湿効果も高く、また防腐剤が含まれていないため小さなお子様や赤ちゃんにも心配なく使用できます。
肌が敏感な方や、いろんな薬が肌に合わなかったという方でも安心して使用できるのでオススメです。
|
【しもやけに効く医薬品】ユースキンA
この薬は血行促進効果のある栄養成分「ビタミンE」が主成分のジュリームです。
肌に潤いを持たせてくれる「ヒアルロン酸」も含まれているので血行促進&保湿効果が期待できます。
しもやけといえばユースキンと言われるほど有名で使用されている方も多い印象です。
全身どこにでも使用できお子様からお年寄りまで幅広い年代での使用が可能です。
|
【しもやけに効く医薬品】一元製薬消風散(しょうふうさん/ショウフウサン)
錠剤タイプの漢方薬です。
体を温める効果のある「当帰(トウキ)」という生薬(植物からできている漢方薬の元となる有効成分)が含まれており、効果を発揮します。
漢方薬は一般的に「苦い」とか「クセが強い」というイメージがありますが、錠剤なのでそれらを感じることなく服用できます。
水で1日数回服用するだけなので、手も汚すことがなくオススメです。
|
本当にしもやけ?しもやけに似ているその他の病気
しもやけの症状の程度は個人差があり様々です。
真っ赤に腫れて痛みを伴う場合もあれば、ほとんど赤みがでず痒みのみがでてしまう場合もあります。
中でも繰り返ししもやけのような症状が続いてしまう方は、実は違った原因が潜んでいる場合があります。しもやけの症状と類似した症状が出る疾患について説明します。
全身性エリテマトーデス
発症の原因は不明であり、自己免疫性疾患という体内で自分の体を攻撃する難病です。
手のひらや足裏に紅斑ができ、顔にも特蝶の形をした徴的な紅斑ができることがあります。
寒さが原因で起こることがあるので、しもやけと同じ条件下、同様な症状が起きることでしもやけとの区別が難しい場合もあります。
紅斑の症状が強く続いている時は一度皮膚科を受診してみましょう。
シェーグレン症候群
中年の女性に多く発症する自己免疫性疾患の1つで、涙腺や唾液腺などの外分泌系に慢性的な炎症が起きたり、皮疹や紫斑が起きることがあります。
しもやけは冬季に起こることが多いですが、それ以外の時期でもしもやけのような症状が出る場合は速やかに病院を受診しましょう。
レイノー症群
手足の細い血管が寒さによって急激に収縮し、手足の指が部分的に白くなったり痛みが生じたりします。
熱を持ったりしびれたりの症状が治まると、赤みを帯びたり痒みを生じます。
皮膚の症状に加え、爪や粘膜、眼などさまざまな部位に発症するので、皮膚の赤み・腫れ以外に明らかな異常が見られたら早めの受診をしましょう。
寒い冬のしもやけの症状は薬を有効的に使おう!
今回は、しもやけの症状や原因、しもやけを対処するや、予防する方法についてご紹介しました。
冷え込みが強くなってくる時期に多く発症するしもやけでは、症状に悩まれている方は多くいらっしゃると思います。
多くの場合は医師に処方してもらう薬や市販で買える薬で症状の緩和は可能ですが、同様の症状でも背景には違う疾患が潜んでいる場合もあります。
自己判断で治療するのではなく、気になる点があれば早めの受診を心がけましょう。
テイコク製薬社調剤店舗「薬剤師」
35年の薬剤師キャリアを活かし、「健康を知り尽くした調剤マスター」としてテイコク製薬社の調剤業務に従事。