足が痛い!痛風かも!?痛風の特徴・症状・原因を知って予防しよう!
テイコク製薬社調剤店舗「薬剤師」
35年の薬剤師キャリアを活かし、「健康を知り尽くした調剤マスター」としてテイコク製薬社の調剤業務に従事。
痛風は食生活や生活習慣の乱れが原因で起こるため、かつては「贅沢病」と言われていました。
発作が起きると耐えられないほどの激痛が走るので、できるだけ早くこの状況から抜け出したいと思う人は多いです。
治すためには適切な治療が必要ですが「食事制限するのか?」「薬を飲むだけで大丈夫なのか?」と悩むこともあると思います。
痛風の原因の1つは食べすぎや飲みすぎですから、治療と並行して食生活や生活習慣を改善することはとても大切です。
放置していると、悪化する可能性や合併症を生じるリスクが高くなるので、できるだけ早く対処して治す必要があります。
そこで今回は、痛風の症状や原因、痛風とプリン体の関係性や、痛風が悪化した時の症状や、痛風の予防方法について紹介します。
この記事の目次
【痛風の特徴】男性だけでなく女性でも発症するの?
痛風は生活習慣病の1つで、よく聞く病名ですが「足に激痛が走る病気」ということを知っている程度で、どのような原因でどのような症状があるのかを具体的に知っている人は少ないようです。
病名のとおり「吹いた風が当たっただけでも痛みが発生する」ほどの激痛を伴う病気で、100万人以上の人が痛風を患っているとの報告もあります。
その痛みは想像を絶するもので、息ができないくらいの痛みだと表現する人もいます。
1992年の東京女子医大の調査では、痛風患者の98.5%が男性で、女性患者は1.5%のみとのだということがわかりました。
しかし、最近では痛風を発症する女性が増えており、現在では92年の調査時の4倍にあたる6%にまで増加しています。
これまで男性特有の病気だと思われていた痛風ですが、今後も女性患者は増える可能性があるといわれており「男性の病気」「女性だから大丈夫」という概念は崩れつつあります。
男性患者数も、ここ30年間で5倍に増えているので男女共に気をつける必要があります。
また、男性特有の病気であるとともに、比較的年齢の高い人が発症する病気だと思っている人も多いと思いますが、20〜30代でも発症します。
このように「中高年の男性の病気」という認識があるため、痛みがあっても痛風だと思っていない人も多く、治療を受けていない人を含めるとさらに多くの患者がいることが想定されます。
【痛風の症状】痛風の前兆~発症までの症状を知ろう!
痛風は誰でも発症する身近な病気です。
しかし、どのような前兆や症状があるのかを知っていないと、自分が痛風であることに気付かないまま過ごし、ある日突然激痛に襲われることになるかもしれません。
痛風について正しい知識を持つことで、早期に発見し治療を開始できるので、前兆や症状について頭に入れておくことが大切です。
痛風の前兆
多くの場合、痛風発作が起きる前に「ムズムズ」「ピリピリ」といった違和感を自覚します。
足の親指の付け根に起こる病気だと思われがちですが、指以外にも足首や肘、膝、手などの関節にも生じます。
この前兆症状には個人差がありますが、痛風発作の6~12時間前あたりから自覚するといわれており、その後に発作が始まります。
痛風発作の発症
前兆症状を自覚してから6~12時間で痛風発作が始まります。
「ムズムズ」「ピリピリ」といった症状が徐々に強くなるわけではなく、通常は突然の激痛から始まります。
発症した部分の関節が赤く腫れて、安静にしていても締め付けられるような激痛が走り歩行困難になる人もいます。
痛みが起こるのは通常だと1つの関節ですが、発作を繰り返すうちに同時に複数個所の関節が痛むこともあります。
また、関節の痛み以外にも以下のような症状が現れます。
- 発熱(38~9℃になることも)
- 心拍数の増加
- 全身の倦怠感
- まれに悪寒
症状は10日ほどで徐々に消失しますが、放置したり進行すると、発作時間が長くなり3週間ほど続くこともあるため、早期に治療を受けることが重要です。
【痛風の原因】どうて痛風になるの?原因はなに?
痛風の最大の原因は「尿酸」です。
尿酸はどんな人の体の中にも一定量は存在する物質で、血液などの体液中に溶け込んで体中を巡っています。
プリン体という物質が体内で分解されて、尿酸となり体外へ排出されるのですが、何らかの原因で飽和濃度を超え尿酸が溶けきれなくなると、体内に尿酸が蓄積(高尿酸血症)されます。
尿酸が蓄積される(血中濃度が高くなる)要因は3つあります。
- 腎臓の尿酸排泄機能の低下
- プリン体を多く含む飲食物の過剰摂取
- 尿酸の過剰産生
なぜ尿酸が蓄積されることで、激痛が生じるのでしょうか?
尿酸は温度の低い関節に溜まりやすいため、痛風発作は関節に起こります。
溶けきれなくなった尿酸が結晶化して関節に沈着することにより、激痛を生じます。
痛みが生じるメカニズムとしては、体の防御機能である白血球が尿酸の結晶に反応して、攻撃、排除する時に痛みを感じるといわれています。
尿酸は、結晶化して腎臓にも溜まることがあり、腎臓から尿管や膀胱に移動することもあります。
高尿酸血症の合併症としては、痛風のほかにも尿管結石や膀胱結石もありますので、高尿酸血症にならないように注意しましょう。
痛風と「プリン体」は切っても切れない関係性です!
痛風の原因は「尿酸」で、尿酸は「プリン体」が体内で分解されます。
この「プリン体」はどのようなものなのでしょうか?
プリン体は体を動かすときのエネルギー源となる物質で、エネルギー代謝や新陳代謝により、常に体内で産生されています。
動物や植物の細胞の中に存在する物質なので、これらを食品として摂取するときにも体内に取り込まれます。
しかし、食品中のプリン体から作られる尿酸は全体の10~20%に過ぎず、残りの80~90%は体内で作られていることがわかっています。
外界からプリン体を摂取しなくても体の中で尿酸は作られ続けますが、食品から摂取するプリン体を減らす努力をすることは大切です。
ここではプリン体を多く含む食品と、プリン体の少ない食品を紹介します。
【痛風】プリン体を多く含む食品
- レバー類
- 白子
- 干ししいたけ
- 鰹節
- 一部の魚類(エビ・イワシ・カツオなど)
- 一部の酒類(地ビール・紹興酒など)
アルコール飲料に含まれるプリン体の量はあまり多くありませんが、アルコールが代謝されるときに尿酸値が上昇するため、過剰摂取につながります。
【痛風】プリン体の少ない食品
- うなぎ
- ワカサギ
- なめこ
- 鶏卵、うずらの卵
- 牛乳
- チーズ
プリン体を多く含む食品は、お酒のつまみになるような美味しいものが多いですが、プリン体の少ない食品を上手に食事に取り入れましょう。
【痛風の対処】痛風は治る?痛風になった時の対処方法
痛風は、1度発症すると完治しにくい病気です。
生涯にわたり治療が必要なケースも多く、薬の量を調整しながら病気と上手く付き合っていくことになります。
医師の指導による治療をしっかりと続けていれば、薬を飲むのをやめられる人もいますので「治らない病気」だと諦めずに治療に専念しましょう。
痛風発作は、初めて体験するとびっくりすると思います。
あまりの激痛に耐えられない人もいるのではないでしょうか?
痛風発作が起来た場合は焦らず冷静に対処ましょう。
【痛風の対処】痛風発作時の応急的な対処方法
- 患部を高い位置に保つ
- 患部を冷やす
- 安静にする
- アルコールは摂取しない
- アスピリン(バファリンなど)は、発作がひどくなることがあるので大量に服用しない
急激な尿酸値の低下で、関節内の尿酸結晶が剝離しやすくなり,痛風発作が生じることがあります。
「これは痛風にいい」という自己判断はせず、必ず医師の指導の下治療を進めましょう。
【痛風の予防】食生活や生活習慣を変えて痛風を予防する方法
痛風に大きく関わっている「プリン体」は、食品から摂取するプリン体を減らす努力することは大切ですが、外界からプリン体を摂取しなくても体の中で尿酸は作られ続けます。
重要なのは尿酸を体外へきちんと排出する=「尿酸値を下げる」です。
【痛風の予防】水分をしっかり取って予防する!
尿酸を体外へ排出するためには、尿量をしっかりと確保することがポイントです。
大半の尿酸は尿とともに体外へ排出されるため、1日に1.5L以上の水分を取るように心がけましょう。
水分補給には糖分の多いジュースやスポーツドリンクではなく、水やお茶などの無糖の飲料が望ましいです。
【痛風の予防】肥満解消して予防する!
肥満になると体内のインスリンという物質が過剰になり、尿酸の排泄を阻害して尿酸値が高くなります。
体重を落とすことでインスリンが過剰な状態を解消できるので、心当たりのある方は肥満の解消に努めましょう。
【痛風の予防】尿酸値を下げる食品を摂取して予防する!
痛風で尿酸値が高くなっている場合は、尿酸の排泄を促進する食品(牛乳など)を積極的に摂ることで尿酸値を下げれます。
コーヒーや牛乳には、尿酸の排出を促進したり尿酸値を下げたりする働きがあるため、ジュースやお酒ではなく無糖のコーヒー牛乳がおすすめです。
【痛風の予防】無酸素運動は控えて予防する!
肥満解消のためにダイエットを始める人も多いと思いますが、筋トレなど無酸素運動すると新陳代謝が活発になり、プリン体が尿酸に分解されて尿酸値が急上昇します。
ウォーキングや軽めのジョギングなどの有酸素運動では、プリン体は尿酸に分解されないので、激しい運動は避け有酸素運動を取り入れましょう。
痛風が悪化するとどのような症状が現れるの?
痛風は1度発症すると完治しにくい病気ですが、適切な治療によりコントロールできる病気です。
早期に治療を開始して、適切な治療を続けることで、発作が起きる頻度を減らしたり、再発作が起きなくなったりします。
しかし、自分の都合で治療を中断した場合は、痛風発作を繰り返す可能性が高く、適切な治療を受けていても再発作を起こす人はいます。
発作を繰り返すたびに病態は悪化するため、再発作を起こさないように病気をコントロールすることが大切です。
痛風が悪化するということは、高尿酸の状態が慢性化しているということになります。
この状態が長く続くと「尿路結石」や、腎臓に障害が起こる「痛風腎」を引き起こすこともあり、さらに苦しい思いをする事になります。
痛風腎は慢性腎不全の原因になり、慢性腎不全になると人工透析が必要になる可能性が高く、慢性腎不全から尿毒症になると、全身けいれんなどの重篤な症状が現れることもあります。
他にも「高血圧」や「糖尿病」などの合併症を引き起こすリスクが高くなり最悪の場合、心筋梗塞や脳梗塞を発症し死亡することもあります。
痛風は死に至ることもあるとても怖い病気なので「たかが痛風」「痛みさえ我慢すれば大丈夫」と甘く見ず、積極的に治療に取り組みましょう。
【痛風の治療方法】医療目線で痛風の治療について知ろう!
痛風の治療には、体内で尿酸が作られないように食生活を見直したり、薬で血中の尿酸値をコントロールしたりする必要があります。
また、血中の尿酸値がどの程度か確認するために、定期的な通院や血液検査も必要です。
尿酸値が上昇する原因は、大きくわけて2つにわかれます。
- 体内で尿酸が過剰に産生されるタイプ「尿酸産生過剰型」
- 酸の排出がうまくいかずに体内に蓄積されるタイプ「尿酸排泄低下型」
尿酸値を下げる薬は、このタイプによって違います。
痛風の前兆症状があった場合は、白血球が関節内の尿酸に作用するのを抑え発作を防ぐ「コルチヒン」という薬が使われます。
病気そのものを治療する薬ではなく、前兆症状や発作などの症状を抑える薬です。
副作用が強く、長期間の服用で血液疾患や肝機能障害を引き起こす可能性もあるため、痛風そのものを治すことが重要です。
発作時の痛みには消炎鎮痛剤を用いることもあります。
ロキソニンやボルタレンなどが使用されますが、通常量では十分な効果が期待できないことも多く、発作のピーク時(1~3日間)のみ大量投与する「NSAIDsパルス療法」という方法で痛みの緩和をします。
痛みが引いてすぐに服用を中断すると、発作が遷延化したり繰り返したりする可能性があるので、徐々に減らしていきます。
痛風が発症してもコントロールして上手く付き合おう!
今回は、痛風の症状や原因、痛風とプリン体の関係性や、痛風が悪化した時の症状や、痛風の予防方法について紹介しました。
痛風についての知識を身につけておくことで、早期発見、早期治療が可能になります。
- 痛風は尿酸体内の尿酸値が高くなることで発症する
- 痛風は生活習慣病で、コントロールできる病気です
- 痛風は他の病気になるリスクが高くなるので適切な治療が必要です
痛風をきちんと理解し予防に努めることで、他の病気を引き起こすリスクが下がります。
発症した場合は、適切な治療を受け病気を上手にコントロールしましょう。
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