胃が痛いのはなぜ?胃痛とストレスにはどのような関係性があるの?
テイコク製薬社調剤店舗「薬剤師」
35年の薬剤師キャリアを活かし、「健康を知り尽くした調剤マスター」としてテイコク製薬社の調剤業務に従事。
最近何だか「胃が痛い…」と思うことはありませんか?
「食べ過ぎたかな?」「疲れているのかな?」といろいろな事が頭に浮かぶと思いますが、胃痛にはどのようなどのような原因があるのでしょうか?
胃が痛くなる原因には多くの要因があり、その時々で原因は違います。
「ストレス」もその中の1つです。
今はストレス社会といわれていますが、日本人は遺伝子レベルでストレスをためやすい人種とわかっています。
胃痛を慢性化させないためにも、ストレスをため込まない生活を心がけましょう。
今回は。胃が痛くなる原因や、胃痛とストレスの関係性や、胃が痛い時の対処方法についてご紹介します。
この記事の目次
【胃が痛い】胃痛の症状をしっかり見極めよう!
胃の痛みは大きく分けて3種類あります。
胃が痛いといっても、痛み方や痛む場所は違います。
薬を飲もうと思っても、自分がどのような症状がわからずに、どの薬を買おうか迷うこともあると思います。
そこで、胃の痛みの症状について紹介します。
【胃が痛い】空腹時に痛みがある=胃酸過多
空腹時に「胃が痛い」と感じる場合は、食事すると和らぐのが「胃酸過多」の特徴です。
痛み方としては「シクシク痛む」「チクチク痛む」などと表現されることが多いです。
胃酸と胃粘液のバランスが崩れて胃をうまくコントロールできない状況になり、結果として胃粘膜が荒れて空腹時に痛みを感じるようになります。
【胃が痛い】みぞおちの強い痛み=胃のけいれん
みぞおちの辺りにきゅーっと差し込むような痛み、吐き気や嘔吐、食欲不振というのが「胃のけいれん」の特徴です。
数分で治まることもあれば、1~2時間続くこともあります。
胃の筋肉が何らかの原因で過度に緊張して痛みが発生し、立っていられないほどの強い痛みを感じる場合が多いです。
【胃が痛い】食後に痛みがある=暴飲暴食
いつまでも胃に何かが残っているような感覚がある、辛いものなどの刺激物を食べた後に胃が痛くなる、食べ過ぎた後に胃が痛くなるのが「暴飲暴食」の特徴です。
食べることによって痛みが発生しますが、時間の経過とともに痛みは消失します。
食べて1~2時間後に痛みがでることもあり背中の痛みを伴う人もいますが、食欲はあるので、食べては痛む…を繰り返すようになります。
似ているようで少しずつ違う「胃の痛み」ですが、症状をしっかりと見極めて、自分に合った対処法や薬を選ぶことが大切です。
【胃が痛い】機能性ディスペプシアとは?
ディスペプシアとはギリシャ語で「消化不良」を意味します。
胃もたれや、胃の痛みなどの不快な症状に対して使われる医療用語で比較的新しい概念です。
胃が痛い時は「軽い胃炎かな?」と思うこともあれば、強い痛みがあったり、長引いたりすると「もしかして胃がん?」と不安になることもあると思います。
病気の場合は、早期発見して治療を開始することが重要です。
しかし、検査しても胃がんや胃潰瘍などの病気が見つからないケースも多くあります。
このような場合は、胃や十二指腸の機能の低下が原因になっているのではないか、との考えから「機能性ディスペプシア」と呼ばれるようになりました。
機能性ディスペプシアの考えられる4つの原因について紹介します。
【胃が痛い】胃・十二指腸の運動異常
食事をすると胃は膨らみ、波打つように動いて、食べ物をすりつぶしながら胃液で消化して十二指腸へ送ります。
この一連の運動に異常が起こると、胃が膨らまないことによる食欲不振、消化がうまくいかないことによる胃もたれにつながります。
【胃が痛い】胃・十二指腸の知覚過敏
胃酸は鉄をも溶かす強力な酸です。
機能性ディスペプシアの患者は、胃が元気な人なら感じない程度の刺激に過敏になり、少しの刺激で「胃が痛い」と感じます。
【胃が痛い】ストレスなど心理的要因
ストレスは人によって感じ方が違うため、どの程度のストレスで機能性ディスペプシアを引き起こすかという検証は困難です。
しかし、脳と腸管には密接な関係があることはわかっており、脳がストレスを感じることで胃腸の機能に影響を及ぼします。
【胃が痛い】生活習慣の乱れ
睡眠不足による自律神経の乱れから消化機能が低下したり、運動不足によって胃の機能が低下したりするために、胃もたれや食欲不振を引き起こします。
他にも、アルコールやコーヒーの過剰摂取、喫煙が原因になることがあります。
機能性ディスペプシアの主な症状
- 食後の胃もたれ
- すぐに満腹になる
- 食欲不振
- みぞおちの痛み
- 胸やけ
上記が主な症状ですが、人によってさまざまな症状が出現し、吐き気や嘔吐を伴う場合もあります。
【胃が痛い】胃痛の原因を取り除いて胃に優しい生活
胃の痛みがあると食欲がなくなったり、食べてもすぐに満腹になったりしますよね。
この状態が続くと体に必要な栄養を摂取できなくなり、健康状態が悪化します。
何が原因なのかを知れば対処できるので、原因を取り除いて胃をいたわる生活を心がけましょう。
【胃が痛い原因】食生活の乱れ
脂っこいものや消化の悪いものを多く食べると、胃酸が増え胃の粘膜を攻撃して、胃が重たい感じがしたりムカムカしたりします。
また、唐辛子のような刺激物やコーヒー、アルコールなどは、そのもの自体が胃粘膜を攻撃(刺激)するため、粘膜が傷つきやすくなります。
炭酸飲料も胃酸を増やす働きがあるため「攻め」が優勢の状態に傾き、習慣的に飲むことで胃粘膜が攻撃され、胃痛を引き起こすことがあります。
【胃が痛い原因】自律神経の乱れ
先ほどもお話ししましたが、脳と腸管は密接に関係しています。
脳がストレスを感じると自律神経が乱れて胃酸がどんどん増え、胃酸が粘膜を傷つけることによって胃が痛いと感じるようになります。
反対に胃や腸の不調は、神経を介して脳に伝わり、抑うつ、不安などの情動変化を引き起こすこともあります。
こうなると、脳の負担が胃腸へ、胃腸の負担が脳へと悪循環に陥るため、ストレスを溜めないようにすることが大切です。
【胃が痛い原因】ヘリコバクター・ピロリ菌
ヘリコバクター・ピロリ菌は、胃の強い酸の中で生息していますが、自らを胃酸から守るためにアンモニアを作り出し、周囲をアルカリ性に変えて生息しています。
ピロリ菌が胃粘膜を傷つけるメカニズムにはいくつかの説がありますが、ピロリ菌が作り出すアンモニアが粘膜を傷つけることだはないかとされています。
【胃が痛い原因】胃以外の病気の場合も
胃が痛いときは「胃潰瘍」や「胃がん」などの胃の病気ではないだろうか?と考えると思いますが、胃以外の病気が潜んでいることもあります。
胆のうや膵臓の病気ではみぞおちの辺りが痛むことがありますが、「胃が痛い」と間違える人は意外に多く、病気の発見までに時間がかかる場合もあります。
胃痛の原因はさまざまで、いくつかの原因が重なることで症状が強くなります。
生活習慣の見直しやストレスの排除をしてもなかなか治らない場合は、大きな病気の可能性も否定できません。
胃が痛いときは自己判断のみで完結せずに、きちんと病院に受診しましょう。
【胃が痛い】胃痛とストレスは関係性があるの?
食べ過ぎたり飲みすぎたりしていないのに胃が痛い場合は、ストレスが原因になっている可能性があります。
しかし、ストレスのみが原因で胃潰瘍や、十二指腸潰瘍になることはごく稀だと言われています。
確かに、ストレスが強い状況下で過ごしていると胃の不快感、痛みを感じることがありますが、食べ過ぎなどで胃が弱っていたり、睡眠不足などで自律神経のバランスが崩れていたりする時に、さらにストレスが重なることによって、胃の状態が悪化するからです。
また、ストレスがあると、たばこやお酒の量が増えることもあると思います。
ストレスで胃の状態が悪くなっている時に、たばこやお酒を過剰摂取すると、胃の状態がさらに悪くなり、痛みを引き起こします。
このように、胃痛のベースとなっているのは生活習慣や食生活の乱れですが、その他以下の点に当てはまるようであれば「ストレス胃」の可能性が高いです。
- 心配事、悩みごとがある
- マイナス思考で気分が落ち込みやすい
- 責任感が強く頑張りすぎる傾向がある
- 息抜きする時間がなかなか取れない
- 細かいことが気になってしまう
上記の中で当てはまるものが多いほど、胃がストレスの影響を受けやすい状態になっているということです。
ストレスを解消することは大切ですが、性格や環境などの影響も大きいので、すぐに取り除くのは難しいことだと思います。
しかし、そのまま放っておいても状態は悪化する一方ですから、まずはできることから始めてみましょう。
- 睡眠時間を少しでも多く確保する
- 1日3回規則正しく食事をとる
- 食べ過ぎないよく噛んで食べる
- ゆっくりとお風呂に浸かる
など小さいことでもできることから改善していくことで、胃腸の環境を整えてストレスに負けないようにしておきましょう。
【胃が痛い】ストレスをため込みやすい「心の習慣」
ストレスの感じ方には個人差があり、同じ環境に置かれてもストレスを感じない人もいれば、ものすごくストレスを感じる人もいます。
物事や周りの言葉をどう受け止めるか?どう捉えるか?でストレス反応は違います。
ここでは、ストレスの影響を受けやすい心の習慣について紹介します。
【胃が痛い】ストレスの影響を受けやすいのはせっかちな人
・何事もスピーディーにこなしたい
・結論が早く知りたい
・短気で怒りっぽい性格
・自己中心的
せっかちな人は全てのことを急ぎやすいので、「この時間は自分にとって無駄な時間だ」と感じると、先を急ぐ傾向があります。
相手に合わせることが苦手で自分中心の生活になるので、落ち着いた人間関係を築くことが難しくなります。
せっかちなタイプには真面目な性格の人が多いので、ふとした時に不安や孤独を感じて精神的に落ち込むというケースが少なくありません。
【胃が痛い】ストレスの影響を受けやすいのは受け身な人
・感情を抑えがち
・流れに身をゆだねる
・常に周りに気を遣う
・嫌われることが怖い
受け身タイプは、愛想がよく、誰からも「いい人」と思われることが多いです。
嫌なことがあっても口に出せない、周りがイエスと言えばそれに従う、周りがどう思っているのかを常に気にしているという心の習慣を持っている人が多いです。
本音を出せずにフラストレーションが溜まると、それがストレスにつながり胃痛の原因となるのです。
【胃が痛い】胃痛の対処方法を知ろう!
現代の日本人は、働きすぎ、睡眠時間が短いと言われています。
胃が痛い時でも「そんなこと忘れてしまうほど忙しい!」という人も少なくないと思いますが、ほんの少しの心がけでも、積み重ねていくことで大きな効果があります。
では、どのような積み重ねが大切なのでしょうか?
ここでは4つの簡単な対処方法について紹介します。
【胃が痛い】胃にやさしい食生活を心がける!
消化に時間のかかる揚げ物や、脂肪分の多い食事、香辛料などの刺激物を摂りすぎないように心がけましょう。
胃が痛いときは、おかゆや雑炊、魚なら白身、肉なら鶏ささみなどを食事に取り入れ、胃に負担をかけないようにすることがポイントです。
【胃が痛い】十分な睡眠時間を確保する!
睡眠不足は自律神経の乱れにつながり、胃痛を引き起こす原因になります。
忙しいときこそ睡眠時間をしっかりと確保し、自律神経のバランスを整えることが大切です。
寝つきが悪いときはぬるめのゆっくりとお風呂に入り、リラックス効果のあるラベンダーなどの香りを活用するのもおすすめです。
【胃が痛い】アルコールやたばこなどの嗜好品を控える!
アルコールやたばこは胃粘膜を攻撃しますから、胃にとっては大敵です。
完全に断つとストレスになる人もいると思いますから、胃が痛いときは少しずつでも量を減らすように心がけましょう。
【胃が痛い】ストレスを溜めないようにする!
ストレスの対象となるものと常に向き合っていると、そのことばかり考えて心身とともにリラックスできなくなります。
ストレスを感じている時は、気分転換にジョギングをしたり趣味の時間を設けたりして、日常生活に他の楽しみを作りましょう。
【胃が痛い】胃痛に効く薬を症状別に紹介《5選》
【胃が痛い】生活習慣が乱れて胃酸過多の人にオススメの薬
過剰な胃酸を素早くコントロールし、正常な状態に戻します。
服用時間に決まりがないため、症状が現れたらすぐに服用できるところが嬉しいポイントです。(1日2回まで)
空腹時に痛みを感じる方におすすめです。
【胃が痛い】食生活が乱れて胃粘膜が弱っている人におすすめ
胃粘膜を守る、胃の運動を活発にする、消化する力を高めるといった3つの効果が期待できます。
少量で食べ過ぎたと感じる方、食後の胃もたれが気になる方におすすめです。
【胃が痛い】胃けいれんやみぞおちの激しい痛みがある人におすすめ
けいれんを抑える作用・胃酸を抑制する作用のある成分が配合されています。
飲食後にみぞおちの辺りに差し込むような痛みがある人におすすめです。
【胃が痛い】二日酔いやげっぷなどの症状がある人におすすめ
傷ついた胃粘膜を修復する「ソファルコン」を含む唯一の市販薬です。
制酸成分や胃粘液の量を増加させる成分も配合されています。
胸やけ、げっぷを伴う胃痛、二日酔いによる吐き気がある方におすすめです。
【胃が痛い】ストレスを感じて自律神経が乱れている人におすすめ
ストレスによって自律神経が乱れている人に効果があります。
ストレスをうまく発散できずに、胃痛、胸やけ、吐き気などを感じている人におすすめです。
薬を服用する際は、必ず添付文書に目を通してください。
服用しても症状が改善しない場合は、使用上の注意に従って医師や薬剤師に相談、医療機関を受診しましょう。
胃が痛くならないために自分にも優しくなることで胃痛は解消できる!
今回は。胃が痛くなる原因や、胃痛とストレスの関係性や、胃が痛い時の対処方法についてご紹介しました。
自分の胃痛の原因を知り、早めに適切な対処ができれば「胃が痛い」という悩みから解放されます。
胃に負担をかけない生活を意識することで、胃だけでなく全体的に体の調子が良くなるはずです。
- 胃痛はいくつかの原因が重なって引き起こされる
- 胃痛とストレスには密接な関係がある
- ストレスを取り除くと同時に、他の原因も対処する必要がある
- 胃痛には症状に合った薬を選ぶことが重要です
胃に対するストレスも、自分の心に対するストレスも、「優しい心がけ」でフリーにしましょう。
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35年の薬剤師キャリアを活かし、「健康を知り尽くした調剤マスター」としてテイコク製薬社の調剤業務に従事。