【風邪の頭痛】痛い…風邪の頭痛原因や痛みを和らげる方法を知ろう!
テイコク製薬社調剤店舗「薬剤師」
35年の薬剤師キャリアを活かし、「健康を知り尽くした調剤マスター」としてテイコク製薬社の調剤業務に従事。
風邪は一番身近で、年間を通じてかかりやすい病気の一つです。
1年に「何回も風邪をひく」「決まった時期に体調を崩す」という方も多いのではないでしょうか?
風邪の原因のほとんどはウイルス感染によるもので、症状は頭痛、鼻水、鼻づまり、のどや関節の痛み、発熱、せき、たんなどが挙げられます。
風邪の症状が軽い場合は2〜3日、長くても1週間程度で治ります。
風邪の症状を対処しないまま放置しておくと、病気の進行により症状が悪化してしまうこともあります。
長引いてしまうと、学校や仕事を休まなければいけなくなり。
肺炎など深刻な合併症をひき起こすこともあるため注意が必要です。
今回は、風邪の頭痛の原因や、頭痛を対処する方法や、頭痛が長引いたら風邪以外も考えられることについてご紹介します。
この記事の目次
【風邪の頭痛】風邪によって頭痛が起きる原因
頭痛の原因は様々です。クモ膜下出血や脳腫瘍など、頭部の大きな病気が原因の頭痛もあります。
風邪が原因の頭痛がよく起こる人の多くの場合は、「片頭痛」「緊張型頭痛」「群発頭痛」の3つに代表される「慢性頭痛」です。
これらは風邪等を原因とする首や、頭部周辺の筋肉の緊張、頭部の血管の拡張などによって起こると考えられています。
緊張型頭痛と片頭痛は、混在する人もいます。
緊張型頭痛は、筋肉の緊張により血行が悪くなっているので、肩や首、眼の上を温めて、こりをほぐすと効果的とされています。
ひどい痛みが繰り返される時は、専門医の診察を受けるようにしましょう。
緊張型頭痛は、筋肉の緊張により血行が悪くなっているので、肩や首、眼の上を温めて、こりをほぐすと効果的とされています。
風邪をひくと、ウィルス感染によって鼻水やのどの痛みなどとともに、頭痛の症状があらわれることがあります。
特にインフルエンザ感染では、高熱をともなうため、頭痛も強くなります。
これら頭痛の痛みを引き起こす原因物質とされるのが、「プロスタグランジン」です。
風邪によって体の組織がダメージを受けると、細胞から放出されたアラキドン酸にシクロオキシゲナーゼという酵素が作用し、プロスタグランジンが生成されます。
このプロスタグランジンが炎症を引き起こして、痛みや熱などの症状となります。
引き起こされた炎症は、アラキドン酸からの生成をより促進して、プロスタグランジンをさらに増やしていくという、痛みが痛みを呼ぶメカニズムがあるのです。
【風邪の頭痛】風邪による頭痛を和らげる方法
実際に頭痛が起きた時は、どのようにすれば痛みを和らげたらいいのでしょうか?
風邪による頭痛(主に緊張型頭痛)が起きた時に、実際に使える方法を紹介します。
【風邪の頭痛】ストレッチして和らげる!
こわばった筋肉をほぐすストレッチは頭痛に効果的です。
筋肉を和らげることによって痛み成分であるプロスタグランジンの産生を抑える効果も期待できます。
こまめなストレッチで筋肉の緊張を和らげましょう。
片方の腕を伸ばして、もう片方の腕で肘を押さえて引きつける
片方の腕を伸ばして、もう片方の腕で肘を押さえ、ゆっくり腕を胸に引きつけます。反対側も同様にする。
肩の力を抜いてリラックスし、右手を頭の左側にまわす
肩の力を抜いてリラックスし、右手を頭の左側にまわして、ゆっくり右真横に引き寄せます。反対側も同様にする。
- 力を入れて勢いよく動かさないよう、リラックスしてする
- 反対側の手を使って他動的に動かすように意識すること。頭痛だけでなく、肩こりや首こりもひどいという人には、肩甲骨まわりの筋肉をほぐすストレッチがオススメ
【風邪の頭痛】体を温めてして和らげる!
頭痛が起きたとき、体が冷えていてはよけいに頭痛を悪化させる原因になりかねません。
体をあたためてリラックスさせることで頭痛の原因であるプロスタグランジンの産生を抑えます。
- 温かい飲み物を飲む
- 体を温める食べ物を食べる(しょうがやねぎなど)
- 蒸しタオルで首回りを温める
- ゆっくりとお風呂に浸かる
- 腹巻やカイロを使用する
- 部屋の暖房器具を見直す
体を温める方法は様々です。
まずはハードルの低いことから試してみましょう。
【風邪の頭痛】ツボを押して和らげる!
頭痛に効くツボ押しも痛みを軽減する効果があります。
【百会(ひゃくえ)】
頭頂部。両耳と鼻の延長線が交わるところ。体の中心に向かって垂直に押します。
頭痛、肩こり、眼精疲労、自律神経を整える効果が期待できます。
【風池(ふうち)】
耳の後ろの骨と、後頭部のくぼみの中間「頭痛、肩や首のこり、鼻づまりなどに効果が期待できます。
【天柱(てんちゅう)】
首の骨の両側にある太い筋肉の外側のくぼみ。頭痛や眼精疲労、むくみなどに効果が期待できます。
【完骨(かんこつ)】
耳の後ろにある骨の膨らみ(乳様突起)の下の後ろ側にあるツボです。
頭痛や肩の凝り、顔のむくみ、めまいなどに効果が期待できます。
【風邪による頭痛】市販薬の選び方とオススメ商品
市販の痛み止めや漢方薬などで対応できるもののほとんどは緊張型頭痛で、目、肩、首の筋肉の疲れ、緊張が主な原因です。
一般用医薬品には非常に多くの頭痛薬が存在しますが、成分や目的に応じて鎮痛成分一つだけだったり、鎮痛補助成分を一緒に配合していたりと処方内容が大きく違います。
鎮痛補助成分が配合されていると頭痛には効果的ですが、眠気などの副作用が多くなったり、頭痛以外の痛みに使う補助成分は余計なものになります。
また、解熱鎮痛成分は肝臓や腎臓への負荷も小さくなく、年齢によって使用できる成分の種類や量が細かく定められています。
薬について詳しくない場合は薬局の店頭で和らげたい症状を伝え、自分に合った成分を含んだ薬を選びましょう。
運転する人、妊娠中や授乳中の人、持病がある人は選べる薬が限られますので店頭の薬剤師に伝えるようにしてください。
また、以前に風邪薬で副作用が出た人は、薬剤師に副作用の出にくいものを相談するとよいでしょう。
のみやすさや携帯性、服用回数なども生活リズムを考慮して選ぶとよいでしょう。
通常の風邪の治療では、インフルエンザの治療で使われるような、ウイルスに直接効く薬は使いません。
風邪の治療は、体がしっかりとウイルスと戦い自然治癒に向かえるよう、サポートすることが重要で、薬は熱、頭痛、くしゃみ、鼻水、咳などのつらい症状を和らげて、ウイルスと戦う体を助けるために使います。
【風邪による頭痛】ロキソプロフェンナトリウム製剤
医療用医薬品として1986年に登場したロキソニン、その安全性と効果の高さから、あっという間に痛みどめのシェアを奪いました。
発売から約30年が経過した現在でも、ジェネリックを含めて圧倒的なシェアを誇っています。
痛み止めとしての効果も高く胃への負担が軽いものの、肝臓への負担があることから一般用医薬品として販売されるまでに時間がかかりました。
再試験によって問題なしということになり「ロキソニンS」として2011年に一般用医薬品として販売が開始されました。
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【風邪による頭痛】非ピリン系鎮痛剤
痛みの原因物質であるプロスタグランジン(PG)の産生を抑えることで頭痛を抑えるお薬です。
このPGは胃粘膜の保護作用を兼ねているため、痛み止めを服用すると少なからず胃に負担がかかります。胃の負担を軽くするために必ず食後に服用しましょう。
非ピリン系鎮痛剤の中でアセトアミノフェンは作用するポイントが違います。
PGの産生を抑える作用はほとんどないため、抗炎症作用は非常に弱いですが胃の負担が極めて軽いという特徴があります。
中枢での鎮痛作用や解熱作用が働くので、小児のインフルエンザによる発熱時の解熱剤としても使用されます。
吸収を早めて胃粘膜も保護する成分を配合したものや、鎮静成分やカフェインを追加することで頭痛に対する効果を高めたものなど様々なタイプが発売されています。
鎮痛成分も近年は増量されてきて、より効果的になってきています。
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【風邪による頭痛】ピリン系鎮痛剤
ピリン系の鎮痛剤というと、効果は高いものの強力な副作用があるイメージを持たれがちですが、市販薬に使用されているピリン系の鎮痛成分はイソプロピルアンチピリンだけで、これはピリン系成分の中でも特に安全性の高いものとなっています。
しかし、アレルギー体質の人には問題となる傾向があり、その服用には十分注意が必要です。
ほとんどの製品がアセトアミノフェンやカフェインとの配合剤となっています。
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【風邪による頭痛】漢方処方の頭痛薬
漢方薬にも頭痛に対する効能があるものがあります。
その数は限られているものの、頭痛の「原因」と薬がしっかり一致すると劇的な効果を発揮します。
冷え症や肩こり、むくみ等の症状を併発している人は検討してみる価値があります。
体質から大きく外れている場合は効果が出ないばかりか逆効果になってしまうこともあるので、慎重に選びましょう。
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【風邪の頭痛】風邪による頭痛が長引いた時に考えられる病気
頭痛が治らずに長引く場合は、ただの風邪以外を疑いましょう。
他が原因で症状が出ている場合は体が危険だというサインを出している証拠です。
これから紹介する症状がみられる場合は手遅れにならないよう、ただの頭痛と侮らずにきちんとした対処をとりましょう。
では頭痛が長引く時に考えられる風邪以外の原因を見ていきます。
【風邪の頭痛】細菌に感染している
頭痛や発熱が起こると寒さを感じやすくなりますが、それにはランクがあり、最も強いものはガタガタと体が震えて、止めようと思っても止まらない。
これを「悪寒戦慄(おかんせんりつ)」と呼びますが、風邪でここまでの状態になることはめったにありません。
悪寒戦慄がある場合は、早めに受診したほうが良いでしょう。
高齢者は感覚が鈍くなっていますので、悪寒戦慄がなくても、症状が重いときや、寝汗をびっしょりかく場合(シャツを交換するほど)は要注意と心得て医療機関を受診しましょう。
【風邪の頭痛】肺炎を起こしている
風邪をひくと粘膜が炎症を起こして細菌に感染しやすくなります。
成人の場合、最も多いのは肺炎です。細菌性の副鼻腔炎や中耳炎を起こすこともあります。
頭痛があり、咳や呼吸をすると胸が痛いときは、肺炎や胸膜炎の可能性が考えられます。
また、血痰(血が混じっている痰)が出る場合には結核に感染している可能性があります。
結核は不治の病ではなくなりましたが、完全に撲滅されたわけではなく、日本は先進国の中では結核患者が多い国です。
症状が似ていて風邪だと勘違いされやすいので注意しましょう。
【風邪の頭痛】片頭痛を起こしている
病気が原因ではなく頭痛が起きる慢性頭痛の一つ、片頭痛は、脈を打つようにズキンズキンと痛み、動くと悪化するのが特徴です。
頭の左右どちらかの片側が痛む人が約6割、両側が痛む人が約4割とされています。
日本で片頭痛がある人は、約840万人と推計され、女性に多くみられます。
片頭痛の持続時間は4~72時間とさまざまで、個人やその人の状況によって異なります。
風邪が原因ではなく風邪が引き金となって慢性的な片頭痛を引き起こしている可能性がありますのであまりに長く頭痛が続く場合には病院の受診を検討してみてください。
【風邪の頭痛】脳血管障害が起きている
頭痛の中でも激しい痛みや手足のまひ、しゃべりにくいなどの症状がある場合は風邪が原因とは考えにくい状況です。
迷わずにすぐに病院を受診しましょう。
脳血管障害が起きている可能性が高く、一刻も早い対処がカギになります。
以上のように頭痛が長引いた場合にはほかの原因も併せて検討し、重大な疾病を見逃さないようにしましょう。
風邪による頭痛が改善されないなら病院に受診しよう!
今回は、風邪の頭痛の原因や、頭痛を対処する方法や、頭痛が長引いたら風邪以外も考えられることについてご紹介しました。
ただの頭痛とはいえ日常生活を送るのに苦労する面も多いはずです。
今回ご紹介した痛みを和らげる方法や市販薬の選び方を活用して、適切に風邪に対処してください。
まずは風邪をひかないように、健康的な生活をしていきましょう。
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35年の薬剤師キャリアを活かし、「健康を知り尽くした調剤マスター」としてテイコク製薬社の調剤業務に従事。