【花粉症の市販薬】辛い花粉症に市販薬を飲むなら注意点も知ろう!
テイコク製薬社調剤店舗「薬剤師」
35年の薬剤師キャリアを活かし、「健康を知り尽くした調剤マスター」としてテイコク製薬社の調剤業務に従事。
花粉症とは、スギなどの花粉が原因で起こるアレルギー疾患のひとつです。
くしゃみ、鼻水、目の痒みなど、辛い花粉症の症状にお悩みの方は多いのではないでしょうか?
花粉症で頭痛や倦怠感、不眠などの付随症状があらわれることがあります。
しかし、花粉症は上手に市販薬を取り入れることで、症状を大きく抑えることが期待できます。
最近の市販薬はとても充実しており、よく効く薬や副作用が少ない薬がたくさんあります。
しかし、花粉症の市販薬にはいろんな種類があるため、どれを買ったらいいか分からない人も多いはず。
そこで今回は、自分でできる花粉症の対策方法や、病院でもらえる処方薬と花粉症の市販薬の違いや、花粉症の市販薬の選び方について紹介します。
この記事の目次
【花粉症の対策】自分でできる花粉症の対策方法
今年もまた花粉が飛ぶ季節がやってきました。
止まらないく「くしゃみ」「鼻水」「目のかゆみ」は、本当にうっとうしいですね。
なぜ花粉症は、起こるのでしょうか?
花粉が体内に侵入すると、B細胞というリンパ球の一種が花粉を侵入者だと認識します。
そして、IgE抗体という身体が異物を排除しようとして反応する抗体をつくります。
このIgE抗体が免疫細胞の一種である肥満細胞の表面につき、再び花粉が侵入すると、肥満細胞はヒスタミンなどの化学伝達物質を放出します。
くしゃみや鼻水、目のかゆみといったアレルギー症状は、このヒスタミンが作用しておこる症状です。
花粉症はくしゃみや鼻水だけでなく、頭痛や倦怠感といった症状も引き起こします。
花粉症になると、鼻水がでて鼻の内部の副鼻腔に炎症が起きます。
炎症が強まると、耳がふさがるような症状があらわれ頭痛に発展します。
くしゃみや鼻水を伴う頭痛で市販薬が効かない場合は、花粉症が頭痛の原因だと考えられます。
花粉がよく飛ぶ日は、雨が降った翌日や、寒く乾燥した日です。
日中の気温が高くて、風が強い日もたくさんの花粉が飛んでいます。
外出するときは帽子やサングラスをしたり、つるつるしたナイロン製の服を着て花粉が付着しないようにしましょう。
室内は花粉がたまらないように、こまめに掃除しましょう。
また、食事や睡眠に注意して、免疫力を上げるのも花粉症のセルフケアにつながります。
【花粉症の市販薬】病院でもらえる処方薬とどう違うの?
病院で薬を処方してもらうか、インターネットやドラッグストアで市販薬を買うか迷っている方も多いと思います。
ここでは、花粉症の市販薬と病院の処方薬の違いについて紹介します。
効果の違いについてですが、処方薬と同量の成分を含み、同じ効果を持つ市販薬が増えてきています。
例えば花粉症の市販薬で、久光製薬のアレグラFXや、エスエス製薬のエレジオン20などがこれにあたります。
なかには、安全面を考慮して処方薬より量を少なくして販売している市販薬もあるので、ドラッグストアなどで薬剤師の方に相談してみるのもオススメです。
気になる費用の違いですが、2019年8月に健康保険組合連合会が「患者負担に大差ない」と発表しています。
病院で処方薬を処方してもらう場合、薬代は3割負担ですみますが、その他に医療機関に支払う初診料や、薬局に払う調剤料が上乗せされます。
これに対し、市販薬は薬代のみ払えばいいので、トータルで考えると、費用に大きな差はありません。
【花粉症の市販薬】市販薬を服用するのに適したタイミング
花粉は2~3月頃から飛び始めると言われていますが、薬はいつから服用するのがいいでしょうか?
通常の薬は、症状が出てから飲み始めるものがほとんどで、予防として服用するものは多くありません。
しかし、花粉症の場合は異なります。
花粉症には、発症すると粘膜がどんどん敏感になり、症状が悪化していくという特徴があります。
そのため、花粉症が飛来するシーズン前から薬の服用を始めることで、粘膜が過敏に反応するのを抑えて、発症を遅らせたり、花粉の最盛期の症状を軽くする効果が期待できます。
具体的には、花粉の飛来予測日前である、1月下旬から服用を始めておくと効果的と言われています。
もちろん、症状が出てからでも遅くはありませんが、早めに対策しておくことがオススメです。
【花粉症の市販薬】ライフスタイルに合わせて市販薬を選ぼう!
花粉症の内服薬には、抗ヒスタミン薬と呼ばれるものがあります。
これはヒスタミンという神経伝達物質の働きを抑えて、アレルギー症状を抑える効果あります。
具体的には「くしゃみ、鼻水」や「痒み」といった症状に効き目があります。
抗ヒスタミン薬は、第一世代と第二世代の2種類に分けられます。
第一世代は花粉症の症状を抑えて即効性がある代わりに、副作用の眠気と喉の渇きが強くでます。
コンタック600プラスなどがこれにあたります。
これに対して、副作用の眠気を緩和した薬が第二世代と呼ばれており、代表的な市販薬としてアレグラ、クラリチンなどが有名です。
第二世代は副作用が軽い代わりに即効性に欠けるため、花粉症シーズンより前から飲み始めておく必要があります。
市販の内服薬を購入するときは、ぜひ第一世代と第二世代のメリットやデメリットを理解して選んでみてください。
とはいえ、薬のパッケージで第一世代、第二世代を見分けることは難しいので、ここで代表的な内服薬を10選ご紹介します。
市販の内服薬を選ぶ時の参考にしてください。
【花粉症の市販薬】第二世代の市販薬/アレジオン20(エスエス製薬)
CMでもお馴染みのアレジオンです。
医療用と同成分の市販アレルギー薬です。
1日1回。就寝前の服用で、くしゃみ、鼻水などの症状の緩和が期待できます。
1日に何回も薬を服用するのは面倒という方にオススメです。
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【花粉症の市販薬】第二世代の市販薬/アレグラFX(久光製薬)
こちらもCMで目にすることが多い市販薬なのではないでしょうか?
医療用と同じ成分でできている薬です。
アレグラFXは、脳に影響を及ぼしにくい成分を使用しているため、眠くなりにくい薬の一つとして大人気です。
飛行機のパイロットにも服用が許可されている数少ない抗アレルギー薬でもあります。
1日2回、朝夕に服用する必要がありますが、服用後の運転が禁じられていないので、仕事などで運転をされる方や、眠気の副作用を我慢したくない方に特にオススメです。
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【花粉症の市販薬】第二世代の市販薬/ストナリニZジェル(佐藤製薬)
この市販薬は、飲みやすいソフトカプセルタイプなので、錠剤やカプセルを飲むのが苦手な方にオススメです。
1日1回、就寝前に服用するだけで効果が持続するので、1日に何回も薬を飲みたくないという方にも嬉しい薬です。
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【花粉症の市販薬】第二世代の市販薬/エバステル(興和)
花粉やハウスダストによる症状の緩和が期待できる、医療用と同成分の薬です。
鼻水、くしゃみ、鼻づまりなどの症状に効果が期待できます。
1日1回、就寝前に服用します。薬を持ち歩くのが大変という方にも便利ですね。
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【花粉症の市販薬】第二世代の市販薬/ザジテンAL鼻炎カプセル(グラクソ・スミスクライン)
1日2回、カプセルタイプの薬を服用します。こちらも医療用と同じ成分でできています。
花粉症の症状を抑える、鎮める、ひどくしないという効果が期待でき、軽い症状を感じたときからアレルギーをコントロールできます。
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【花粉症の市販薬】第二世代の市販薬/クラリチンEX(大正製薬)
比較的新しい薬で、2019年に販売が開始されていますが、医療用と同じ成分の薬です。
作用持続時間が14時間と長く効くため、1日1回の服用で効果が期待できます。
眠くなりにくく、飛行機のパイロットにも服用が許可されている数少ない抗アレルギー薬でもあります。
運転をする方に特にオススメできる市販薬です。
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【花粉症の市販薬】第二世代の市販薬/アレルビ(皇漢堂製薬)
さきほどご紹介したアレグラFXのジェネリック医薬品です。
値段が大幅に抑えられており、服用を続けやすい点が魅力です。
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【花粉症の市販薬】第二世代の市販薬/エスタック鼻炎ソフトニスキャップ(エスエス製薬)
こちらは急性鼻炎やアレルギー性鼻炎に有効な薬です。
成分がすでに液体となってカプセルの中で溶けているため、即効性が期待できます。
飲みやすいソフトカプセルタイプなので、錠剤やカプセルを飲むのが苦手な方にオススメです。
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【花粉症の市販薬】第二世代の市販薬/コンタック600プラス(グラクソ・スミスクライン)
眠気が出やすいという副作用はありますが、鼻の症状に強い効果が期待できます。
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【花粉症の市販薬】第二世代の市販薬/パブロン鼻炎速溶錠(大正製薬)
急性鼻炎や急性アレルギー性の諸症状の緩和に効果的な薬で、すぐに症状を止めたい方にオススメです。
こちらも副作用として、眠気が出やすくなります。
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【花粉症の市販薬】目が痒い!抗アレルギー点眼薬4選
花粉症の症状の中でも、目の痒みや充血にお悩みの方は、抗アレルギー点眼薬の服用をオススメします。
目におけるアレルギー反応をおさえることで、気になる症状を軽減できます。
なお、点眼薬にはステロイドを使用したタイプもありますが、症状が重い場合にしか使用されず、ほとんどのケースでは抗アレルギー点眼薬を使用します。
ここでは、市販のおすすめ抗アレルギー点眼薬を4つ紹介します。
【花粉症の市販薬】マイティアアイテクトアルピタットN(武田薬品工業)
目の痒み、異物感、充血に効果が期待できます。
炎症止めも配合しているため、目を健やかな状態へ導いてくれます。
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【花粉症の市販薬】アイフリーコーワAL(興和)
細胞膜を安定化させる効果があり、ソフトな差し心地です。
一定期間使うことで効果を感じやすいため、花粉症の症状が出始めたときから使用するのがオススメです。
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【花粉症の市販薬】アルガードクリアマイルドEXa(ロート製薬)
目の痒みを抑えるだけでなく、目の潤いを保持し、角膜を保護してくれる効果があります。
目をこすってしまう人にオススメです。
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【花粉症の市販薬】エージーアイズ アレルカットS(第一三共ヘルスケア)
甘草の根を由来とする成分を使用しており、アレルギーによる結膜の炎症を抑える働きをしてくれます。
目の潤いを保つ効果もあり、つらい目のかゆみに効果が期待できます。
点眼薬が苦手な人にも嬉しい、「しみないソフトタイプ」です。
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【花粉症の市販薬】鼻の症状が辛い!オススメの点鼻薬4選
花粉症の鼻水や鼻づまりに効く点鼻薬には、大きく分けて3種類あります。
1つ目が「ステロイド薬」、2つ目は「抗アレルギー薬」、そして3つ目が「血管収縮薬」です。
ステロイド薬を使用したタイプは、くしゃみや鼻水、鼻づまりへの効果が期待でき、眠気の副作用が少ないことが特徴です。
しかし、継続的に使い続けることで効果を発揮するため、即効性はあまり期待できません。
抗アレルギー薬は、くしゃみと鼻水を大幅に抑える効果があります。
しかし、鼻づまりにはあまり効かないという声もあります。
血管収縮剤は最も即効性があると考えられており、鼻づまりに効果的ですが、使いすぎると逆に鼻づまりの原因になってしまうため、気をつけて服用する必要があります。
以上を踏まえて、市販の点鼻薬のオススメを4つ紹介します。
【花粉症の市販薬】パブロン鼻炎アタックJL(大正製薬)
ステロイド薬を使用したもので、スーッとした使用感が「気持ちよく使える」と評判の市販薬です。
霧状に出てきた薬液が患部でジェル化するため、液だれしにくく、長く鼻の中にとどまって効果を発揮してくれるという特徴があります。
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【花粉症の市販薬】ナザールα AR 0.1%(佐藤製薬)
こちらもステロイド薬を使用したタイプで、鼻の中の炎症やうっ血を抑えてくれる効果があります。
逆流しないスプレー容器なので、清潔に使い続けられます。
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【花粉症の市販薬】ザジテンAL 鼻炎スプレーα(グラクソ・スミスクライン)
抗ヒスタミン薬を主成分としています。
容器を横向き・逆さにしても噴射できるエアレス容器が採用されているので便利です。
花粉症による鼻水、鼻づまり、くしゃみに効果があります。
ただし、副作用として眠気が出てくる可能性があるため、運転前には使用できません。
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【花粉症の市販薬】エージーノーズアレルカットC(第一三共ヘルスケア)
血管収縮剤を使用したタイプの点鼻薬です。
メントールを配合しており、すっきりとした使い心地が評判で、鼻づまりへの効果が期待できます。
前述したとおり、血管収縮剤には使いすぎると副作用が出る可能性があるため、本薬は長時間の運用が禁止されています。
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【花粉症の市販薬】花粉症の市販薬の飲み方や服用で注意する点
花粉症の市販薬を服用するにあたって、5つ注意すべきポイントがあります。
【花粉症の市販薬】副作用に気をつける
薬によっては、服用後の運転を禁止するものが多く見られます。
思わぬ事故を引き起こす原因になりますので、必ず薬の添付文書をよく読み、副作用に気をつけましょう。
【花粉症の市販薬】子どもは小児用を服用する
子どもが花粉症の市販薬を服用する場合は、大人と同じものを使うのはやめ、小児用を選びましょう。
アレグラFXジュニアや、キッズバファリン鼻炎シロップSなど、子ども向けに作られた薬が販売されています。
薬によって対象年齢が異なるため、必ず確認してから服用してください。
【花粉症の市販薬】妊娠中や授乳中に独断で服用しない
妊娠中や授乳中に薬を服用すると、胎児や赤ちゃんに影響を及ぼす可能性があります。
花粉症でお悩みの妊婦さんやママは、病院で相談するのがベストです。
【花粉症の市販薬】使用期限を必ず確認する
薬には使用期限があります。
パッケージなどに書いてある使用期限を必ず確認してから服用しましょう。
昨年使った残りを服用する場合は特に注意が必要です。
【花粉症の市販薬】用法・用量をきちんと守る
もっと効果を得たいからといって、過剰に摂取することは絶対にやめましょう。
また、服用の仕方は薬によって異なります。
特に第二世代の抗ヒスタミン薬の場合は、就寝時に服用するものもあります。
一般的な薬のように食後に飲んでしまうと、薬の効果が得られなくなる可能性があります。
必ず用法、用量を厳守して服用してください。
花粉症の市販薬を上手に使って春を楽しく過ごそう!
今回は、病院でもらえる処方薬と花粉症の市販薬の違いや、花粉症の市販薬の選び方について紹介しました。
自分に合ったタイプの薬は見つかったでしょうか?
ぜひ薬を上手に使って、つらい花粉症の症状を和らげましょう。
- 病院でもらう処方薬とドラッグストアで買える市販薬は、効果が変わらないものもある
- 費用面についても大きな差はない
- 服用のタイミングは早めがいい
- 内服薬は2種類あるため、特徴を理解して自分に合った方を選ぼう
- 副作用が出る薬もあるので、自分の生活に合うものを選択する
花粉症の市販薬を上手に取り入れて、楽しい春を過ごしましょう!
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35年の薬剤師キャリアを活かし、「健康を知り尽くした調剤マスター」としてテイコク製薬社の調剤業務に従事。