【アーユルヴェーダ入門編】アーユルヴェーダやドーシャ診断や食事法を紹介
テイコク製薬社調剤店舗「薬剤師」
35年の薬剤師キャリアを活かし、「健康を知り尽くした調剤マスター」としてテイコク製薬社の調剤業務に従事。
アーユルヴェーダは5000年以上も前から古代ギリシャで伝わる世界最古の伝統医学で、世界三大伝統医学のひとつとされています。
世界三大伝統医学は、ユナニ医学・アーユルヴェーダ・中国医学の3つでこれらは、相互に影響しあって発展してきました。
アーユルヴェーダの基本的な考え方に、健康には心と体と行動や環境などの全体バランスと調和が重要という考え方があります。
この考えをベースに、アーユルヴェーダは、病気を治すという治療医学ではなく、健康な体を作り病気を予防するという「予防医学」として利用されてきました。
今回は、このアーユルヴェーダを自分で取り入れる方法をご紹介しますが、主にアーユルヴェーダ初心者向けの記事となっています。
この記事の目次
【アーユルヴェーダ入門編】アーユルヴェーダの根本理論をマスターしよう
アーユルヴェーダ: Ayurveda
Ayus(生命=肉体+精神)+ Veda(科学)
アーユルヴェーダはサンスクリット語で日本語に訳すと生命科学という意味になります。
アーユルヴェーダには「人間の身体および精神面の健康状態は3つの生命エネルギーであるドーシャのバランスによって決まる」というトリドーシャ理論があります。
ドーシャには「VATA(ヴァータ)」「PITTA(ピッタ)」「KAPHA(カパ)」の3種類があります。
命ある生命体全ては、この3つ全てのドーシャを持っており、この3つのバランスと調和を上手く取ることで健康を維持できます。
【アーユルヴェーダ入門編】トリドーシャをもっと詳しく知る
ここでは、ドーシャについて踏み込んで説明しますので、さらに知りたいという人は読んで下さい。
アーユルヴェーダでは、ヴァータ・ピッタ・カパの3つのドーシャがあり、このバランスと調和を取ることで健康を維持しますが、それぞれが増大・増悪しトリドーシャのバランスが崩れると病気を引き起こすと考えるのがトリドーシャ理論でした。
アーユルヴェーダ医学では、トリドーシャが増大・増悪した時、体には次のような影響があるとされています。
ヴァータの増大・増悪による体への影響
呼吸器系疾患/精神・神経疾患/循環器障害/頭痛/腰痛
ピッタの増大・増悪による体への影響
肝・胆・膵疾患/消化器系疾患/血液系疾患/アトピー性皮膚病
カパの増大・増悪による体への影響
気管支疾患/泌尿器系疾患/糖尿病/肥満/関節炎/アレルギー症状
このドーシャのバランスが崩れる原因は、その人の体質が大きく関係しています。
元々、各ドーシャの強さには個人差があり、それが性格や体質の違いとして現れます。そこに、季節・時間・日常生活・年齢・環境・土地などが影響してドーシャのバランスが崩れやすくなります。
つまり、アーユルヴェーダを知る上でまずは、自分が3つのうちどのドーシャが強いのかを知ることが大切です。
【アーユルヴェーダ入門編】ドーシャ診断で体質を知ろう
自分のドーシャを知る方法には、問診・視診・触診・脈診などがあります。
ここでは、自分できる問診と脈診を紹介します。
それぞれの質問に答えてドーシャ診断をしよう
〈ヴァータ度チェック〉
- 体型は痩せ型で太りにくい体質である
- 体格が華奢で肩幅も狭く、お尻が小さい
- 好奇心が強く決断力や行動力がある
- 手足の血管や関節がはっきりしている
- 皮膚が乾燥している
- 鷲鼻で歯並びが良くない
- 想像力が豊かで芸術肌
- 気分が変わりやすく飽き性で長続きしない
- 理解力が高い
- 記憶力は高いが、忘れるのも早い
〈ピッタ度チェック〉
- 体型が中肉中背で標準的な体型である
- 顔や肌色は赤っぽく黄みがかり、日焼けをしやすい
- 肌つやが良く、体温が高い
- 顔の形はひし形で鼻筋が通っている
- 寒さに強いが、暑さに弱く汗っかき
- 体重の増減が激しい
- 関節が柔らかく柔軟性がある
- 話し方がはっきりしている
- 短気でよくイライラする
- 完璧主義で正義感も強く他人に厳しい
- 物事を論理的に考える力がある
〈カパ度チェック〉
- 体格ががっちりしていて肩幅や腰が大きい
- 太りやすく体重も思い
- 丸顔で顎もしっかりしている
- 歯並びがよく歯が大きい
- 色白で肌質が冷たくしっとりしている
- 物静かな性格で話し方も大人しい
- 我慢強く、こつこつと物事を進められる
- 物覚えは遅いが、一度覚えたことは忘れにくい
- 執着心が強く保守的な面がある
- 慎重で決断をするのに時間がかかる
これらの項目で最も多くチェックが入ったものが、あなたのドーシャ(体質)です。
脈診で優勢なドーシャを知る方法
動脈に指を3本置いて、どの脈が強く感じ取られるかで、優勢なドーシャを知れる。
橈骨動脈(とうこつどうみゃく)に人差し指・中指・薬指を置き脈を探します。
橈骨動脈の位置は、親指の下にある骨(橈骨)の突起部分のやや下にあります。
3つのドーシャの脈拍の打ち方
ヴァータは人差し指に当たる脈拍で、スピードは速く、強さは弱いです。
ピッタは中指に当たる脈拍で、力強く熱く流れています。
カパは薬指に当たる脈拍で、スピードはゆっくりと、穏やかです。
指で押さえた時に脈拍をより感じたところが、その時優勢になっているドーシャだと言います。
一般的に、活動的な日中は、ヴァータとされる脈が感じられ、リラックスした状態の時には、カパの脈が感じられ、食後など消化が活発に行われている時は、ピッタの脈が感じられます。
【アーユルヴェーダ入門編】3つのドーシャ(ヴァータ・ピッタ・カパ)の性質について
診断で自分のドーシャが分かった所で、それぞれが持つ性質についてご紹介します。
ドーシャは、万物の根源エネルギーである自然界五大元素(エレメント)、空・風・火・水・地と関連づけられており、それぞれ5つ元素のうち2つの元素で構成されています。
- VATA(ヴァータ)★空元素・風元素
ヴァータは、空元素と風元素により構成されています。
動・軽・乾・速・冷の性質があります。
ヴァータの性質は、まるで風のように気まぐれで活発的です。
何事にも好奇心旺盛想像力が豊かで行動力にもあふれていますが、気分も変わりやすく計画が苦手という性質があります。
他にも、ストレスや緊張に弱く、不安感や恐怖心が強いという面があります。
- PITTA(ピッタ)★火元素・水元素
ピッタは、火元素と水元素により構成されています。
熱・鋭・軽・流・変・液の性質があります。
ピッタの性質は芯があり、強い信念を持っていることが多いです。目的に向かって集中して進むめられるので、目的達成能力も高いです。完璧主義で凛とした性格ゆえ競争を好みますが、気持ちのバランスが崩れると短気でイライラするような一面も垣間見えます。
- KAPHA(カパ)★水元素・地元素
カパは、水元素と地元素により構成されています。
重・遅・冷・油・緩の性質があります。
他の2つと比較するとのんびりした性格を持っています。新たなものを取り入れるよりは1つのことをコツコツと辛抱強く勧める忍耐力や継続力があります。また、蓄積するという性質を持っており、貯金が得意です。しかし、精神面でバランスが崩れるとマイナスな影響が出やすくなり、おおざっぱ・鈍感・執着心が強いといった性質もあります。
【アーユルヴェーダ入門編】食事でアーユルヴェーダを取り入れる
ここからは、実際にアーユルヴェーダを食事で取り入れる方法をご紹介します。
命あるもの全てにはドーシャがあると初めにお伝えしたように、食べ物にも命があるので人間同様、ドーシャがあります。
また、食べ物によってそれぞれ優位となるドーシャは異なるので、自分のドーシャにあった食べ物を食べるということがアーユルヴェーダにおける食事法です。
では、ヴァータ・ピッタ・カパの体質にあった食べ物を見てみましょう。
- ヴァータの体質に適した食事
ヴァータは、冷えるという性質があるので、体を温める物を食べます。生野菜などは体を冷やしやすいので、火を通してから食べるようにします。
また、便秘になりやすい性質があるので、消化しやすい食べ物がいいです。
食事は早食いをせずに、しっかりと噛んでゆっくりと食べることが大切です。
食生活が不規則になりやすく、食欲に村があるこの性質は、できるだけ規則正しい食生活を送りましょう。
《ヴァータの体質におすすめの食べ物》
- 体を温める食べ物と消化に良い食べ物
- ヨーグルト
- チーズ
- オリーブオイル
- しょうが
- 玄米
- 鶏肉
- 卵
- 魚
- シナモン
- ナツメグ
《ヴァータの体質は控えた方が良い食べ物》
- 体を冷やす食べ物
- 生野菜
- なす
- じゃがいも
- ピーマン
- ドライフルーツ
- ピッタの体質に適した食事
ピッタは、体に熱をためこみやすいという性質があるため、発汗を促す辛いスパイスなどの食べ物はなるべく控えて冷たい食べ物がいいです。
消化力が高いという反面、消化器疾患を引き起こしやすいともされているので、食欲旺盛な体質の多いピッタですが、食べ過ぎには注意します。
また、塩分の多い食事はピッタを増大させることになります。ピッタが増大している時は、甘味・苦味・渋味を意識した食事を多く摂りましょう。
《ピッタの体質におすすめの食べ物》
- 甘味・苦味・渋味がある食べ物
- キャベツ
- カボチャ
- レンコン
- ブロッコリー
- ナス
- オレンジ
- ぶどう
- 桃
- ドライフルーツ
- カルダモ
- コリアンダー
《ピッタの体質は控えた方が良い食べ物》
- 塩分の多い食べ物
- 酸味・辛味の強い食べ物
- 肉類
- トマト
- 唐辛子
- 肉類
- ニンニク
- カパの体質に適した食事
カパは、肥満になりやすい性質があるため食べ過ぎやカロリーを抑えることが大切です。
苦味・渋味・辛味を意識した食事をなるべく摂ることが大切です。
また、代謝を良くする食べ物をゆっくりと時間をかけて食べます。
《カパの体質におすすめの食べ物》
- カロリーの低い食べ物
- 苦味・渋味・辛味がある食べ物
- 豆腐
- 豆乳
- しょうが
- 鶏肉
- 卵
- 故障
- パパイヤ
- マンゴー
- レッドペッパー
- コリアンダー
- フェヌグリーク
《カパの体質は控えた方が良い食べ物》
- 水分を多く含む食べ物
- 酸味・甘味の強い食べ物
- 塩分の多い食べ物
- 揚げ物
- バナナ
- 肉類
【アーユルヴェーダ入門編】アーユルヴェーダの役割
アーユルヴェーダの役割は大きく2つに分けられます。自分の「ドーシャ」のタイプを知ることで心身ともに健康な状態に導けます。
アーユルヴェーダの役割①体質改善
アーユルヴェーダの役割の1つとして改善と修正があります。自分のドーシャのタイプを認識することで、改善すべき生活習慣や取り入れるべき食生活・運動などを知れます。それらを実践することで健康な状態を保つことができます。
アーユルヴェーダの役割②体内のリセット
体内で蓄積した老廃物や疲労をデトックスする役割もあります。
体内で消化しきれなかった汚れや増悪してしまったドーシャなど体の不調の原因になるものを排出し、健康な体を作り出します。
【アーユルヴェーダ入門編】知っておこう!アーユルヴェーダと現代医療との違い
アーユルヴェーダは漢方医学や韓医学とともに東洋医学に位置付けられながら、その中でも中国医学、ユナニ医学とともに世界三大伝統医学として位置付けられています。
西洋で発展した西洋医学(現代医学)との違いは何なのでしょうか?
〈現代医学(西洋医学)との違い〉
西洋医学は現代の医学の根底であり、西洋で発展した理論に基づいて治療が行われます。何らかの症状や病気、怪我を負ってしまったらその部位に対してのみ治療をします。
西洋医学の対象が病気や怪我を患っている身体であるのに対して、アーユルヴェーダは健康状態の肉体に対して行う医学であるという点が最も大きな違いです。特にアーユルヴェーダはその人個人を診ることで、どんな状態でどのような生活をすれば健康的でいられるのかという考えに基づき治療が行われます。
疾患が起こったらなぜ発症したのかその人の体質を診断し対処が行われていきます。
治療の進度も個人の体調によって異なるため、症状を抑える「対症療法」ではなく、症状が起こらない体質に変えていくような療法が選ばれます。
そのため時間もかかりますが薬に頼らない体づくりを目指せます。
【まとめ】アーユルヴェーダを取り入れて体バランスと向き合おう
アーユルヴェーダでは、自分のドーシャタイプを把握し、その性質に合った生活習慣を身につければ、心身ともに健康な状態へ導けます。
聞きなれなかった方も今回この記事を読んで、簡単に私生活に取り入れれそうだと感じて頂けると幸いです。
▼ウィキペディア(Wikipedia)アーユルヴェーダ
https://ja.wikipedia.org/wiki/アーユルヴェーダ
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