乾燥肌で粉がふく!そうなる前に、明日からできる乾燥肌の対策と予防法
テイコク製薬社調剤店舗「薬剤師」
35年の薬剤師キャリアを活かし、「健康を知り尽くした調剤マスター」としてテイコク製薬社の調剤業務に従事。
肌がカサカサする、肌が粉をふくということはありませんか?
乾燥する季節だけに起こると思われがちな乾燥肌ですが、最近では冷房などの使用や生活スタイルの変化により、1年を通して起こるといわれています。
今回は、乾燥肌の原因と対策、そして予防をお話ししていきます。
この記事の目次
【乾燥肌の定義】乾燥肌とはどんな状態をいう?
乾燥肌とは何なのでしょうか。
乾燥肌とは、一般的に皮膚の表面の脂・水分が減少し乾燥をしている状態のことをさします。
それにより、肌がつっぱる、カサカサする、ひび割れができる、粉がふくなどの症状がでやすいのが特徴です。
乾皮症(かんぴしょう)、または皮脂欠乏症ともいいます。
乾燥肌がさらに進行し、強いかゆみを伴うことがあり、かいてしまうことで湿疹(しっしん)になる場合があります。
そこまで進行してしまうと、皮脂欠乏性湿疹となります。
皮脂欠乏性湿疹になると、医療機関で外用剤やかゆみ止めの飲み薬で治療していくこととなるでしょう。
【乾燥肌の原因】なぜ乾燥してしまう?
では、なぜ乾燥肌が起きてしまうのでしょうか。
皮膚の構造から見ていきましょう。
まず皮膚は外側から表皮、真皮、皮下組織という3層で構成されます。
表皮には、角質層、顆粒層、有棘層(ゆうきょくそう)、基底膜があります。
乾燥肌には、この角質層が大きく関係してきます。
角質層はわずか0.02mmととても薄いですが、「皮膚のバリア機能」を保ち、水分の喪失と外部からの刺激を防ぐ働きがあります。
その角質層には角質細胞と細胞の間を埋めている細胞間脂質(主にセラミド)から成り立っています。
細胞間脂質は簡単に言うと、レンガの隙間をうめるセメントのような役割です。
角層細胞には、ケラチン、NMF(Natural Moisturizing Factor・天然保湿因子)などがあります。
NMFは人の皮膚がもともと持っている保湿機能のことです。
その組成は、アミノ酸が40%、PCA(ピロリドンカルボン酸)12%、乳酸ナトリウム12%、尿素7%、その他29%です。
これにより私たちの肌は十分な水分を保てており、また外部からの刺激を受けにくい状態となっています。
ところが、さまざまな原因によってこの「皮膚のバリア機能」が低下し、水分を十分に保つことが出来なくなり、水分が外に逃げていってしまうことで肌が乾燥します。
さらに、外界からの刺激物質などを受けやすくなるため、肌トラブルが起こります。
では、乾燥肌になる機序がわかったところで、次はいよいよその原因です。
【乾燥肌の原因】肌のターンオーバーの乱れ
これについては少し詳しく説明します。
私たちの肌はある一定のサイクルで生まれ変わっています。
表皮の1番奥の基底層で細胞分裂を起こして角質層となり、ある一定の期間が過ぎると古い角質として剥がれ落ち、新しい細胞と入れ替わります。
これをターンオーバーといいます。
ターンオーバーは、個人差がありますが一般的には約28日の周期で繰り返されています。
これが乱れることでバリア機能が低下し、NMFや細胞間脂質がしっかりと作られなくなります。
そして、水分が逃げやすくなったり、外界からの刺激物質を受けやすくなります。
それにより乾燥肌を引き起こします。
他の原因としては、以下のものが挙げられます。
- 冷房・暖房の長時間使用による空気の乾燥
- 頻回・長時間の入浴、体の洗いすぎ
- 栄養不足、食生活の乱れ
- 睡眠不足・ストレス
- 紫外線
- 加齢
- 生理
- アルコール
- たばこ
など
ひとつだけではなく、複数が関与して乾燥肌を引き起こしている場合もあります。
また最近では、新型コロナウイルスの影響で手を洗ったり、アルコール消毒する機会が増えました。
そのため、手の脂分を必要以上に奪ってしまって乾燥肌になっている人も多いのではないでしょうか。
【部位別】どこが乾燥しやすい?
乾燥しやすい部位を知ることも大切です。
乾燥は、皮脂の分泌が少ない部分や皮膚が薄い部分で起こります。
乾燥しやすい部位①目の周り
顔は他の部位に比べて比較的皮膚が薄いですが、その中でも特に目の周りは薄いといわれています。
一般的な皮膚の厚さは約2mmですが、これに対して目の下は0.5~0.6mmです。
数字を見てもその薄さは一目瞭然かと思います。
では、なぜ皮膚が薄いところでは乾燥肌になりやすいのでしょうか。
それは、皮膚が薄いと水分保持力が極めて低く、皮脂の分泌も少ないことが原因です。
そのため、乾燥しやすいといわれています。
乾燥しやすい部位②頬
顔の中で目の周り以外に乾燥しやすいところとしてよくいわれるのは、頬です。
目の周りほど皮膚は薄くはありませんが、頬は皮脂の分泌が少ないために乾燥しがちです。
皆さんは、頬や目の周りは乾燥しているのにおでこや鼻だけテカテカしてしまうということはありませんか?
これは、顔の中でも皮脂の出やすさが部位によって異なるためです。
おでこや鼻は比較的皮脂が多いため、テカりやすいといわれています。
乾燥しやすい部位③ひじ、ひざ、すね
ひじやひざ、すねも乾燥しやすい部分です。
触ってみるとガサガサしているという人も多いのではないでしょうか。
これらも皮脂の分泌が少ない部位です。
さらにひじをつく、ひざをつくという日常生活での動作により、摩擦や刺激を受けます。
皮膚というのは、刺激を受けることで角質層がそれに耐えられるようにさらに厚く硬くなります。
乾燥肌の原因のところで説明したように、角質層には皮膚のバリア機能を保ち、水分の喪失と外部からの刺激を防ぐ働きがあります。
これを見た後では、一見角質層が厚いことはよいことのように思うかもしれません。
しかし、刺激を受けた場合の角質層は不ぞろいに重なっていくといわれており、それによって肌のターンオーバーも変わってきます。
よって、角質層が厚すぎるというのは良いことではないのです。
【ケア用品に含まれる成分】成分表示を見よう
乾燥肌の対策・予防をしていくにあたって、まず化粧品やケア用品に書かれている成分表示をみて、どの成分が保湿効果のある成分かわかるようにすると、乾燥肌を避ける一歩です。
試験ではないので全てを覚える必要はありませんが、一部でも頭の片隅に入れておくとよいかもしれません。
グリセリン:
粘性のある液体で保湿性に優れています。
水と混ざるときに発熱する性質があるので、グリセリンが全成分表示の上にあればあるほど、温感化粧品の可能性があります。
BG(ブチレングリコール):
10%前後の配合量の場合、保湿・保水効果があります。
また、成分によっても異なりますが、防腐剤と一緒に用いることで防腐効果が高まります。
よって、防腐剤の使用量を減らせるというメリットがあります。
1%以下の配合量の場合、植物エキス抽出溶媒として使われたものです。
保湿・保水、防腐性向上などの効果は全くありません。
DPG(ジプロピレングリコール):
穏やかな保水力でべたつきが少なく、さらっとしています。
また皮膚刺激が低い保湿成分としても知られています。
1.2-ヘキサンジオール:
BG、DPGと共通の分子構造を持つため保湿効果がありますが、抗菌力の面でこれらより優れています。
ヒアルロン酸ナトリウム:
1gで2~6Lの水分保持力があるといわれています。
分子量が大きくなると、それに伴い粘度も上がります。
0.01%程度の微量配合でもテクスチャーに差がでます。
1%の配合になると、ゼリー状にまで粘度が上がります。
水溶性コラーゲン:
とてもなじみがよくさらっとしている保湿剤です。
肌や毛髪の表面に保護膜をつくります。
低温ではゲル状、人の体温では主に液状です。
コラーゲンは水にほとんどが溶けないため、水溶性にすることで化粧品に配合しやすくなっています。
乳酸ナトリウム:
グリセリンと同様に高い吸湿性があります。
そのため、グリセリンの代用として使用されることがあります。
NMFの組成のひとつにもなっていて、人の皮膚が持っている保湿成分です。
PCA(ピロリドンカルボン酸)ナトリウム:
高い吸湿力、保湿力を併せ持ちます。
これも角質層にもともと存在する保湿成分、NMFのひとつです。
はちみつ:
保湿効果だけではなく、肌荒れ防止効果もあります。
ただし、化粧品用のはちみつと食用のはちみつは異なります。
化粧品用のはちみつは、アレルギーや濁りの原因となる不純物を取り除き、脱臭・脱色・脱タンパクされたものが主に使用されており安全です。
【乾燥肌の対策】乾燥肌かなと思ったら
乾燥肌かなと感じたら、早めに保湿ケアをしましょう。
スキンケア
洗顔や入浴によって肌の温度が高くなっており、角質層からNMFなどの細胞間脂質が出ていきやすくなっています。
そのため、洗顔や入浴後はすぐに化粧水をつけ、保湿してください。
素早い保湿がポイントです。
また刺激感があるものは避けるようにしましょう。
保湿剤の使用
1つ前に紹介した保湿剤の配合されているローションやクリームをこまめに使用しましょう。
紫外線対策
乾燥肌ではバリア機能が低下しており、紫外線からの刺激を受けやすくなっています。
そのため、日焼け止めを使用しましょう。
敏感肌用と称して紫外線散乱剤のみを使用したノンケミカル商品も売られているので、状況に合わせてそちらを選んでもよいかもしれません。
【乾燥肌の予防】明日からできる予防法
今「乾燥肌かな」と感じている人もまだ乾燥肌ではない人も明日からできることがあります。
入浴習慣の改善
お風呂の温度は、一般的に42℃が最適温度といわれているようです。
しかし、熱すぎると皮脂を必要以上に落としてしまいます。
そのため、42℃よりは低めの温度で入ることがよいでしょう。
また、ナイロンタオルやアカスリタオルなどでゴシゴシ擦りすぎることは禁物です。
汗や汚れが取れ、すっきりするように感じるかもしれませんが、皮膚に刺激を与えてしまい、角質層を剥がしてしまいます。
それによって、乾燥肌を引き起こす可能性があります。
ボディソープやせっけんは弱酸性などの肌に優しいものを使うとよいでしょう。
規則正しい生活
ストレス、睡眠不足、生理、食生活の乱れにより皮膚のバリア機能が低下してしまいます。
自分なりのストレス解消法を見つけたり、バランスのよい食事をとるなどを心がけてください。
また、皮膚に必要なビタミンB2、B6、Cを積極的にとることも大切です。
これらのビタミンは水溶性ビタミンといい、過剰にとってしまっても過剰分は尿として出ていきます。
なかなか生活習慣を見直すのは難しいですが、ちょっと工夫するだけでも乾燥肌を予防できます。
室内の加湿
冷房や暖房を使うと乾燥します。
室内の水分が冷房や暖房により減ってしまうからだと思う人が多いですが、実は違います。
室内の湿度(相対湿度)が下がってしまうことが原因です。
加湿器を使用すると乾燥を防げます。
加湿器がなければ、ぬれたタオルを干しておくだけでも十分加湿できます。
また、冷房・暖房の風が直接肌に当たらないようにしましょう。
乾燥肌の原因は身近なところに。明日から予防を
今回は、乾燥肌の原因と対策、予防法についてお話ししました。
加齢やもともとの持っている肌の性質と思われがちな乾燥肌ですが、日常生活の中にも様々な原因があることがわかっていただけたかと思います。
明日からしっかりと対策していきましょう。
- 乾燥肌とは皮膚の表面の脂や水分が減少し乾燥をしている状態。
- 乾燥肌の原因は、肌のターンオーバーの乱れ、空気の乾燥、体の洗いすぎ、食生活の乱れなど様々。
- 乾燥しやすい部位は、目の周り・頬・ひざ・ひじ・すね。
- 成分表示を見ることが乾燥肌の対策の第一歩。
- 乾燥を感じたら、早めの保湿が大切。
- 入浴習慣の改善、規則正しい生活、室内の加湿で予防を。
もちろん乾燥肌の対策は大切ですが、症状が悪化したら早めに医療機関を受診しましょう。
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