魚の目・タコ・イボができる原因や治療法について
テイコク製薬社調剤店舗「薬剤師」
35年の薬剤師キャリアを活かし、「健康を知り尽くした調剤マスター」としてテイコク製薬社の調剤業務に従事。
魚の目・タコ・イボの名前は分かりますが、違いは何?と聞かれても正確な症状まで把握できていませんよね。
実は、魚の目・タコ・イボは症状によって、原因や治療方法が異なり、人に移るウイルスや悪性腫瘍が紛れている可能性もあります。
今回は、魚の目・タコ・イボができる原因や治療法についてご紹介します。
この記事の目次
魚の目、タコ、イボは似ているけど違う病気なの?
足の裏や指の関節部分が赤く腫れていたり、硬い部分があると魚の目やたこの始まりかもしれません。
魚の目やタコは、皮膚に対する圧迫や摩擦などの刺激から守るための、防御反応が原因で表れます。
特定の場所に圧力がかかり、皮膚が刺激されると角質が厚く硬くなります。
例えば、サイズの合わない靴を履いていると、親指の側面があたって痛い時がありますが、この状態を我慢して何度も繰り返していくと皮膚が硬くなり、やがて魚の目やタコができます。
皮膚の下に筋肉や柔らかい組織しかないところには魚の目やタコ、ほとんどできません。
魚の目とタコの違いは、中心部に痛みを伴う透明の芯があるか、そうでないかで違います。
そして、子どもの足の裏にできるイボは、魚の目・タコと似ていますが、表面がざらざらしています。
イボはウイルス感染ですので、感染が拡大することで増えますし、離れた場所にもできます。
子どもは体重が軽く、魚の目やタコができることはほとんどありません。
子どもの足の裏に固い魚の目・タコのようなものができた場合は、イボだと考えて大丈夫です。
芯のあるできものが痛い!魚の目ができる原因や症状について
魚の目とは、足の裏の突出したところ(骨がある部位)や指のふち、指の間などに表れることが多いです。
大きさは直径5mm~7mm程度です。
患部の中心部に目のような透明の芯ができます。
厚くなった角質の下端がくさび状になり、皮膚の内側に向かって入り込み先がとがった形の芯や円柱形の硬い栓の状態となります。
芯が深く大きくなると、神経を圧迫してさらに痛みを感じるようになります。
特に硬い床の上に裸足で立つと、さらに強い痛みを感じます。
中心に魚の眼のような芯があることから通称魚の目と呼ばれますが、専門用語では、鶏眼(けいがん)と呼ばれます。
足の裏の突出した部分にできる魚の目は、なりやすい場所があります。
<魚の目ができやすい場所とその原因について>
・小指の付け根付近
ハイヒールを履く人に多く表れ、つま先に重心がかかること、先端が細いことが原因。
・ゆびの関節
サイズが小さい靴を履くことで、靴から圧迫を受ける。
サイズが大きい靴を履くことで、靴が脱げないように踏ん張ったことが原因
・ゆびとゆびの間
先端が細い靴やサイズの合わない靴を履いていたことが原因
足裏の場合
・小ゆびの付け根付近
靴のかかとが外側だけ減るような歩き方をしている場合
O脚、がに股、外反母趾が原因
・中ゆびの付け根付近、親指の付け根付近
かかとの高い靴を履くことでできる。ヒールダコとも呼ばれます
・親ゆびの側面付近
歩行の際、親ゆび側へ重心を置く癖がある
O脚、がに股、外反母趾が原因
・かかと周辺
サイズの合わない靴を履いている・乾燥
イボについて教えて!魚の目と同じもの?
イボはつまむと痛みを感じることから魚の目と間違えることがあります。
小さな硬い半球状で表面がざらざら、またはブツブツしていたり、クレーター上に皮膚が凹凸しているような形状などがあります。
毛細血管を巻き込みながら組織が成長するため、表面に赤い点々が見えることもあります。
また、指に指紋があるように、肌にも皮紋(ひもん)と呼ばれる模様が、イボの表面には皮紋がありません。
魚の目は、角質が厚く盛り上がっていてもほとんど皮紋がみられます。
ヒトパピローマウイルス(HPV)と呼ばれるウイルスに感染したことによってできる小さなできもののことです。
皮膚の表面は順番に、表皮、真皮、皮下組織と呼ばれる3つの層からできています。
表皮は角化細胞と呼ばれる細胞が何層にも重なってできていますが、その外側にあるのが角質層です。
深くなるに従って、顆粒層、有棘層、基底層と、皮膚は何層にも重なり免疫の働きと力を合わせ、外界からの刺激やウイルス、細菌感染から守ってくれています。
イボのウイルスも正常で健康な状態の皮膚には感染できませんが、小さな傷などあるとそこから皮膚に入り込んで基底層にある細胞に感染し、イボを作ると考えられています。
感染を受けた基底細胞は細胞分裂が活発になり、周りの正常な細胞を押しのけて増え続けます。
イボがよく表れる場所は、外傷を受けることが多い手足などに多いです。
足の裏にできたイボは、皮膚の中にめり込んで硬くなり、魚の目やタコとの見分けがつきにくいものが多いです。
特に子どもの足の裏にはミルメシアと呼ばれる、見た目が魚の目にそっくりで、痛みを伴うイボができる場合があります。
イボはウイルス感染が原因でできる皮膚病ですので、また人に移す可能性があります。
感染は皮膚についたわずかな傷口からウイルスが侵入します。
イボは、ほじったり削ると周囲に感染を増やす原因となるので、魚の目やタコのような治療法はおこないません。
イボには、手や足にできる硬いイボのほか、みずイボや年寄りイボがあります。
みずイボの原因となるウイルスも症状も異なる別の皮膚病です。
年寄りイボは、加齢が原因となりウイルスに感染したイボではありません。
イボの中には、さまざまな皮膚腫瘍が含まれており、場合によっては悪性腫瘍が含まれていることがあるため自己判断には禁物です。
タコって何?魚の目との違いについて
たこも魚の目と同じで、足の裏に突出している部分などに多く見られます。
タコと呼ばれることが多いですが、医学的には「胼胝(べんち)」と言います。
魚の目とは違い、その中心部にしんはなく、圧迫されても強い痛みを感じません。
皮膚が平らな板状に、暑く硬く盛り上がった状態となり、角質が厚くなるため感覚が鈍くなります。
そして、魚の目と違い刺激を受けた辺りの皮膚が少し黄色みを帯びて、厚く硬くなり盛り上がってきます。
通常、魚の目は足裏にできることが多いのですが、タコは足裏以外にも生活習慣や職業、その人の癖などにより身体の至る部分に表れます。
例えば、ペンだこや座りダコ、子どもが指をしゃぶることで吸いだこなどがあります。
タコに痛みや赤身を伴う時は、細菌感染を起こしている可能性があります。
特に糖尿病の方は重症化しやすいので早めに皮膚科を受診してください。
魚の目やタコの治療方法は?
魚の目やタコの治療の前に、まず大切なことは原因となった過度な圧迫や刺激を取り除くことが大切です。
魚の目の場合、歩行時の激しい痛みをとるために、角質を除去します。
治療方法は、スピール膏を数日間貼り、患部を柔らかくしたあと、中心部の芯の部分だけを雌やハサミなどで切り取ります。
疼痛軽減や再発防止の場合は、ドーナツ型パッドなどを用いて、圧迫除去をします。
また、イボ治療のような電気焼灼法や冷凍凝固療法を行うこともあります。
タコについては、必要に応じて固くなった軟膏などで柔らかくしたり、スピール膏やハサミやメスなどを用いて除去します。
また、症状が軽い場合は、ドラッグストアでも販売されている魚の目、タコ用の保護パッドをしばらく貼っておくと自然に治る場合もあります。
しかし、魚の目は皮膚の下にあるので、骨の刺激を取り除くことは難しく、魚の目を繰り返すことが多々あります。
自己治療の場合は、治療方法を間違えると化膿させる場合もありますので十分に注意しましょう。
特に糖尿病を患っている方は、化膿が重症化しやすいので要注意です。
まず初めに皮膚科専門医の正しい診断を仰ぐことをお勧めします。
魚の目の特徴は、押すと痛みを感じず、硬くなった部分を少し削っても出血しません。
タコは押してもほとんど痛みを感じず、削っても出血はありません。
イボの治療は、免疫力でいずれ自然に治ることが多いです。
間違った治療方法は、症状を悪化させることが多くなります。
病院で治療する場合は、液体窒素を用いた冷凍凝固療法や電気焼灼法などで対処します。
魚の目やタコの市販薬があるけど、病院に行かなくても大丈夫?
市販薬には、魚の目やたこに貼るタイプのスピール膏と、塗るタイプのスピールジェルがあります。
貼るタイプは、厚く硬くなった皮膚を柔らかくし、魚の目・タコ・いぼの角質を取り去ってくれます。
イボや魚の目、タコもよく聞く名前の皮膚病ですが、区別がつかないことや、さまざまな皮膚病が混ざっている可能性があります。
足の裏にできたものを、勝手に魚の目と判断していたら実は悪性腫瘍で、自分で治療しているうちに悪化したケースや、自分でおこなった治療方法が間違っており魚の目が化膿することも。
痛い魚の目はもうイヤだ!予防策や対策について
まずは、魚の目ができる原因となる慢性的な刺激を取り除く必要があります。
足の形に合っていない靴や、高いハイヒールを無理して履くこと、頻繁に長時間歩くこと、足が変形している、癖のある歩き方、足が痩せてきたため骨が当たるなど、要因を除去することで再発を防げます。
小さくてきつい靴だけが原因ではなく、大きめの靴を履いた方も魚の目になりやすいですl
魚の目の治療をしても、日常生活で魚の目が起こる原因を除去しなければ、一度治ってもまた同じ場所に再発します。
どうすればよいか分からない時は、靴屋さんで相談し、靴を適切なものに替えるだけでも魚の目が治ることもあります。
また、同じ靴ばかり履き続けると、同じ場所があたり再発しやすいので、ローテーションで違うデザインの靴を履くことも効果的です。
足のアーチが崩れ、偏平足になると身体のゆがみや姿勢が悪くなり、体重が同じ場所にかかり魚の目やタコができることも。
その場合は、靴の中にインソールを入れれば、自分で意識しなくても姿勢を整えた体重がかかる場所を変えてくれます。
インソールを使うことで姿勢が良くなり、肩こりや腰痛の予防、疲れにくくなるというメリットがあります。
参考URL
https://www.dermatol.or.jp/qa/qa23/q11.html
http://cocoro-hihuka.com/clavus.html
http://cocoro-hihuka.com/clavus.html
https://www.chiba.med.or.jp/general/millennium/pdf/millennium34_2-4.pdf
https://speel.jp/lineup/#LINEUP10
https://speel.jp/lineup/pdf/SPAM_15J05.pdf
テイコク製薬社調剤店舗「薬剤師」
35年の薬剤師キャリアを活かし、「健康を知り尽くした調剤マスター」としてテイコク製薬社の調剤業務に従事。