自己流で糖質制限すると命に危険が…?正しい知識を身につけて糖質制限を楽しもう!
テイコク製薬社調剤店舗「薬剤師」
35年の薬剤師キャリアを活かし、「健康を知り尽くした調剤マスター」としてテイコク製薬社の調剤業務に従事。
数年前から耳にするようになった「糖質制限」。
それにより糖質は体に悪い、太る、というイメージができましたが本当にそうなのでしょうか?
糖質はタンパク質・脂質と共に人間に欠かせない三大栄養素に含まれています。
そのため自己流で極端な糖質制限をすると命に危険が及びます。
今回は、糖質制限を行う前に知っておくべきことをご紹介していきます。
この記事の目次
糖質制限って何?ダイエット効果があるって本当?
糖質制限とは1日の糖質摂取量を制限することです。
元々は糖尿病の治療として血糖値やインスリン(血糖値を下げる働きのあるホルモン)分泌をコントロールする目的で考えられた食事療法です。
数年前から糖質制限がブームになっていますが、それはダイエットを目的としたものです。
なぜダイエット効果があるのか、糖質と体脂肪の関係を解説していきます。
糖質と体脂肪の関係
糖質を摂取すると血糖値が上がり、それを下げようとインスリンが分泌されます。
インスリンは血液中に余った糖分を脂肪に引き込む為、インスリンがたくさん分泌されると脂肪が蓄積されていきます。
糖質を過剰に摂取→血糖値急上昇→インスリン大量分泌→脂肪蓄積
糖質を摂取しすぎるとこうした流れがおこります。
このように脂肪が蓄積されないよう糖質を適正量に制限することでダイエット効果が期待できます。
さらに、血糖値が安定すると脳内ホルモンのバランスが整い精神的にも安定しやすくなる為、適正な糖質制限によって心身共に健康な状態を目指せます。
どのくらい制限すればいいの?糖質制限のやり方!
では、糖質はどのくらいを目安に制限すればいいのでしょうか?
1日70~130gを目安にしましょう。
1食あたり23〜43gにするか、もう少し抑えればおやつを食べることも可能です。
糖質・たんぱく質・脂質は1・3・6の割合になるように摂取します。
ご飯は少なめにしおかずをたっぷりとるイメージです。
また、糖質と合わせて脂質の摂取量を減らすことでさらなるダイエット効果を期待できそうだと思われる方がいらっしゃるかもしれません。
しかし、糖質を制限することでエネルギー不足にならないためにも、代わりにたんぱく質や脂質などをバランスよく食べることが必要です。
食事の全体量を減らすのではなく、あくまでも糖質の割合を減らすことを意識してください。
脂質を摂取することに抵抗感のある方は良質な脂質を選ぶようにしましょう。
肉やバターなど動物性の油には飽和脂肪酸が多く含まれていて血液中のコレステロールや中性脂肪を増やす働きがあります。
それとは反対に魚や豆類など植物性の油には不飽和脂肪酸が多く含まれていて血液中の悪玉コレステロールを減らす働きがあります。
このように良質な脂質を選ぶことでより健康効果が大きくなります。
糖質制限中食べていいのは?糖質の少ない食材と多い食材をご紹介!
糖質を制限するには、糖質を多く含む食材とあまり含まない食材をある程度把握しておく必要があります。
せっかく糖質制限をしていても知らぬうちに適正量をオーバーしていては意味がありません。
これから紹介する主だった食材に関しては糖質が多いか少ないか把握しておくと便利でしょう。
糖質の多い食材
①白米
糖質制限と聞いて最初に減らさなければいけないと思い浮かぶのが白米ではないでしょうか?
白米は茶碗一杯でおおよそ150g。
そのうち糖質が55gです。
1日の糖質量を130gまでに制限する場合にはおかずとのバランスを考えると茶碗1〜1.5杯程食べることができます。
朝に茶碗半分、昼に茶碗1杯などというように割り振ってみましょう。
②パン
白米と同じく主食になることの多いパンも糖質を多く含んでいます。
しかし最近はスーパーやコンビニ、通販でも低糖質のパンが販売されています。
小麦粉の代わりに大豆粉を使うなどして糖質を下げる工夫がされているので、糖質制限中にうまく取り入れてみてください。
③パスタ・うどん・そば
これらの小麦製品も糖質を多く含みます。
パンと同様小麦粉を大豆粉で置き換えた麺やこんにゃく麺など糖質制限中でも取り入れやすい商品が販売されています。
色々と試して好みのものを見つけてみてください。
④根菜
ジャガイモやさつまいも、レンコンといった根菜類です。
野菜なので糖質を含んでいるというイメージを持ちにくいですがこれらにも注意が必要です。
⑤ドライフルーツ
水分を飛ばし、糖分が凝縮された状態なので多くの糖質を含んでいます。
また、果物の中で特に糖質を多く含むのがバナナです。
バナナは腹持ちがよくダイエットに向いていますが、糖質制限中は避けたほうがいい食材です。
糖質の少ない食材
①肉魚類
ベーコンやウインナーなどの加工肉には糖質が多く含まれているものもありますが、基本的には糖質の少ない食材です。
体がエネルギー不足にならないようにしっかりと摂取しましょう。
また、卵は完全栄養食と言われる優秀食材ですが糖質の含有量が少ないので糖質制限中の摂取もおすすめです。
②葉物野菜
根菜とは違い糖質をあまり含みません。
制限のある食生活をしていると栄養バランスが崩れがちなので、色々な葉物野菜を取り入れることで健康的な食事にしましょう。
③海藻・きのこ
これらの食材は糖質が低いことに加えて食物繊維が豊富です。
糖質の多い白米や小麦製品は食物繊維が豊富ですが、糖質制限中の摂取量は限られるので海藻やきのこ類で補いましょう。
糖質制限するならこれ!糖質以外も考慮したオススメの食材!
糖質の多い食材と少ない食材を把握した上で、糖質制限中に積極的に摂取したい優秀食材も知っておけばさらに健康効果を高めることができます。
まずは知ることから初めてみましょう。
糖質制限にオススメ①キウイ
タンパク質分解酵素を豊富に含む食材です。
糖質を制限する代わりに摂取量の増えるたんぱく質の消化を手助けしてくれます。
また、食物繊維やビタミンも豊富なので健康だけでなく美容の面でも優秀な食材です。
糖質制限にオススメ②高野豆腐
タンパク質が豊富な食材です。
さらに不飽和脂肪酸も多く含んでいるため、中性脂肪や悪玉コレステロールを減らしてくれます。
それだけに止まらずビタミンEやカルシウム、マグネシウム、鉄なども含まれている優秀食材です。
糖質制限にオススメ③アーモンド
食物繊維が豊富です。
また、咀嚼を要するので満腹中枢が刺激され無駄食いを防ぐことができます。
小腹を満たし、おやつ代わりになる食材です。
糖質制限は危険?事前に知っておくべきこと!
ここまで糖質制限の方法や食材選びに関して解説してきました。
しかし、年齢や持病の種類によって正しい糖質制限でも体に悪影響を及ぼす場合があります。
また、過度な糖質制限によって体に生じる影響もご紹介していきます。
糖質制限をしない方がいい人①妊婦
妊娠すると血糖値が上がりやすくなるので妊娠糖尿病になる人もいます。
しかし、だからと言って糖質を過度に制限すると赤ちゃんへの栄養が不足する可能性があります。
糖質を過度に制限するのではなく血糖値が上がりにくいように食事の最初には白米でなく野菜から食べるといった工夫をするといいでしょう。
糖質制限をしない方がいい人②子供・高齢者
子供は糖質を制限することで体だけでなく脳まで栄養不足になれば発育への悪影響が避けられません。
高齢者は過度な糖質制限で栄養が不足し寝たきりになる可能性があるだけでなく、認知機能が低下することもあります。
糖質制限をしない方がいい人③腎臓の病気を患っている人
糖質制限することでたんぱく質の摂取量が増え、多くのタンパク質を分解することで腎臓に負担がかかります。
もともと腎臓病を患っている人は重篤な状態に陥る可能性がありますので糖質制限は医師への相談が必要です。
過度な糖質制限の影響
糖質を完全に抜いてはいけません。
冒頭でも記述したように、糖質は人間に欠かせない三大栄養素の内の1つです。
過度な糖質制限は以下のような不調を招きます。
- 脂肪が分解されてできるケトン体が大量に分泌され血管機能の障害が起こる。
- 低血糖状態に陥りホルモンバランスが崩れ、精神的に不安定になる。
この他に頭痛、異常な眠気、体のだるさにもつながるので過度な糖質制限を行うことは避けましょう。
継続が大切!糖質制限を続けるコツをご紹介!
気をつけるべきことがわかったところで、糖質制限を続けるためのコツをご紹介していきます。
あまり長期で続けると体に悪影響が出る場合もあるので、1ヶ月を目安に体調を確認してみてください。
1ヶ月は短いようで意外と長いです。
継続できるようにコツを把握しておきましょう。
糖質制限を続けるコツ①正しい情報を知る
糖質を過度に制限することで体に起こりうる悪影響やバランスのいい食事をとる重要性など、健康を害さないために最低限知っておくべき情報を収集してから糖質制限を行いましょう。
正しい情報を知らぬまま自己流で行うと体調を崩す可能性が充分にあります。
ただ糖質を制限すればいいというものではありません。
糖質をどのくらい制限することでどのような効果を期待するのか具体的に計画してから取り組んでください。
糖質制限を続けるコツ②中鎖脂肪酸「MCT」を摂取する
糖質を制限し始めると脳が糖質の摂取量の減少を感じ、エネルギー消費をしないように省エネモードに切り替わります。
そうなると代謝が落ち、ダイエット効果は薄らいできます。
そこで取り入れるべきなのがMCTです。
MCTとはココナッツオイルが原料のMCTオイルに含まれている中鎖脂肪酸で、代謝促進効果があります。
停滞期だと感じたらぜひ取り入れてみてください。
正しい知識を身につけて糖質制限で健康になろう!
今回は、正しい糖質制限のやり方とその効果、注意点についてお話ししました。
健康を意識した正しく安全な糖質制限を行いましょう。
- 糖質制限とは:1日の糖質摂取量を適正に制限することで、脂肪減少や精神安定が望める。
- 糖質制限のやり方:糖質を1日70~130gに制限する。代わりにタンパク質や脂質をバランスよく食べる。
- 糖質の多い食品:白米/小麦製品/根菜/ドライフルーツ、少ない食品:肉魚類/葉物野菜/海藻/きのこ
- 糖質制限中にオススメの食材:キウイ/高野豆腐/アーモンド
- 糖質制限の注意点:妊婦、子供、高齢者、腎臓が悪い方は糖質制限を避ける。/糖質量を過度に制限するとケトン体が大量に分泌され血管機能の障害などが起こる可能性がある。/低血糖状態に陥るとホルモンバランスが崩れ、精神的に不安定になる。
- 糖質制限を継続するコツ:正しい情報を知る/中鎖脂肪酸「MCT」を摂取して代謝をあげる。
間違った糖質制限は体調不良を招くだけでなく、場合によっては死にいたります。
正しい情報をもとに糖質制限を行い健康な心身を手に入れましょう。
テイコク製薬社調剤店舗「薬剤師」
35年の薬剤師キャリアを活かし、「健康を知り尽くした調剤マスター」としてテイコク製薬社の調剤業務に従事。