自律神経が乱れるとどうなるの?自律神経を整えて健康で快適な生活を送ろう!
なんだか最近体がだるい、疲れがなかなか取れない、毎日不安でいっぱい…という人は、自律神経の乱れが原因かもしれません。
このような場合は自律神経を整えて身体の不調を改善させることで、だるさや不安感を消失させることができます。
自律神経の乱れは体に様々な不調をきたしますので、放置せずに適切な対処をすることが大切です。
この記事の目次
自律神経って?どのような働きをしているの?
自律神経は全身に分布していて、血管、胃、腸管、肝臓、腎臓、膀胱、性器、肺、瞳孔、心臓、汗腺、唾液腺、消化腺などの臓器や器官を支配しています。
自律神経は「交感神経」と「副交感神経」から成り、意識して動かさなくても24時間365日休むことなく働き続け、内臓の働きや代謝、体温などの機能を常にコントロールしています。
「朝」の神経と「夜」の神経
交感神経と副交感神経の働きは「朝」と「夜」で考えるととても分かりやすいです。
交感神経は身体が闘争や恐怖などの「緊張状態」にあるときに働き、副交感神経は体が食事や休憩などの「安息状態」のときに働きます。
朝目が覚めると交感神経が活発になり、体がしゃきっとして活動モードに入りますが、就寝中は副交感神経が活発になり、呼吸は深く遅くなり、心臓はゆっくりと動きます。
しかし、日中でも交感神経と副交感神経はその都度切り替わり、運動しているときや仕事のプレゼン時などは交感神経が優位になり、のんびりテレビを観ている時や昼休みにウトウトしている時には副交感神経が優位になっています。
<交感神経の働き>
交感神経では、神経伝達物質として「ノルアドレナリン」が放出されます。
交感神経が興奮すると、以下のような状態になります。
- 瞳孔散大
- 少量の粘度の高い唾液の分泌
- 心拍数増加
- 末梢血管の収縮(血圧上昇)
- 気管・気管支の拡張
- 腸の運動低下
- 発汗亢進
- 排尿筋の弛緩(排尿抑制)
<副交感神経の働き>
副交感神経では、神経伝達物質として「アセチルコリン」が放出されます。
副交感神経が興奮すると以下のような状態になります。
- 瞳孔収縮
- 唾液分泌亢進
- 心拍数減少
- 末梢血管の拡張(血圧降下)
- 気管・気管支の収縮
- 腸の運動亢進
- 排尿筋の収縮(排尿促進)
交感神経が働いているときは、エネルギーを大量に消費してでも、一時的に身体状態を高める必要があります。
周囲をしっかり見極めるために瞳孔を開いて光を取り込み、気管・気管支を拡張して酸素を大量に取り込みます。
また、心拍数を増やし、血管を収縮させて血圧を上げ、多くの血液を手足の筋肉に送り込みます。
副交感神経が働いているときは、エネルギーの消費を抑えてなるべくエネルギーを溜めようとします。
そのため、食べたものを消化しようと胃液の分泌を亢進させ、腸の動きを活発にします。
自律神経の病気にはどのようなものがある?
先ほどお話したように、心と体の状態を活発にするのが「交感神経」で、心と体の状態をリラックスさせるのが「副交感神経」ですが、このバランスが崩れると心身に様々な支障をきたします。
バランスを崩す原因の多くは「交感神経の働き過ぎ」で、何らかの原因で神経伝達物質であるノルアドレナリンが過剰に分泌されると交感神経を強く刺激します。
自律神経の働きが乱れると、
- 多汗
- 吐き気
- 全身のだるさ
- 頭痛
- 肩こり
- 手足のしびれ
- 動悸
- 不整脈
- めまい
- 不眠
といった症状が現れます。
自律神経の主な病気
上記の症状に当てはまっても、自律神経の病気ではないこともあります。
例えば、不整脈の原因となる身体疾患が狭心症や心筋梗塞の場合はその治療が必要になりますし、頭痛の原因が脳梗塞や脳出血である場合にはその治療が必要になります。
しかし、自律神経症状の原因となる身体疾患が存在しない=症状の原因がわからない場合には、自律神経の乱れによる「自律神経失調症」と診断されることがあります。
自律神経失調症というのは正式な病名ではなく、「自律神経のバランスが崩れると様々な辛い症状が現れる」ということが認められており、そのような場合の症状を指します。
他にも自律神経の乱れが原因となる病気には
- 神経性胃炎(胃酸の過剰分泌)
- 過敏性腸症候群(腸の蠕動運動異常)
- 過呼吸症候群(呼吸の異常)
などがあり、自律神経のバランスが崩れると臓器にも悪影響を及ぼすことが分かっています。
胃酸の過剰分泌なら胃酸を抑える薬を服用したり、下痢なら下痢止めを、便秘なら便秘薬を服用したりしますが、自律神経を整えることで症状が改善することも大いに考えられるので、自律神経を整えることが大きなポイントになります。
自律神経の乱れの原因となりうる主な疾患
何らかの原因で自律神経が乱れて身体に様々な不調をきたすこともあれば、以下に挙げるような病気によって自律神経が乱れることもあります。
- 糖尿病
- 末梢神経疾患
- パーキンソン病
このように原因が分かっている場合は、原因となる疾患の治療を適切に行うことが大切です。
病気の診断や治療は自分でできるものではないので、不安なことがあれば病院で医師に相談しましょう。
自律神経失調症かも?セルフチェック法を紹介
自分が自律神経失調症かも…と思う人は、次の項目をチェックしてみてください。
これは簡易的なものなので、もっとちゃんとしたチェックをしてみたい人は「TMI東邦大式医学指数」で検索してみてください。
自律神経失調症セルフチェック
なかなか寝付けない・不眠症
急に息苦しくなることがある
動悸がすることがある
頭痛が頻繁にある
めまいを感じることがよくある
立ちくらみをすることが多い
胃がもたれることが多い
なかなか疲れが取れない
仕事や家事においてやる気が起きない
ちょっとしたことでイライラする
以上の10項目でいくつチェックが付きましたか?
チェックの数で自律神経の乱れが分かります。
0~1個…自律神経の乱れはほぼない
2~6個…自律神経が乱れている可能性がやや高い
7~10個…自律神経が乱れている可能性がかなり高い
半分以上チェックが付いた人は自律神経が乱れている可能性がかなり高いので、心療内科で相談してみましょう。
また、チェック数が少なくてもなかなか改善しない場合は要注意です。
「自律神経が乱れているだけなら自分でどうにかしよう」と思っている人もいると思いますが、自律神経失調症とうつ病の症状は似ていることもあり、自己診断のみで対処するのは難しい場合があります。
- 何に対してもやる気が起きない
- すべてがむなしく思える
- 一日中悲しい気持ちが持続する
- 自殺願望がある
などの症状がある場合はうつ病の可能性がありますので、早めに心療内科を受診しましょう。
自律神経失調症の原因は?治療法はあるの?
自律神経失調症の原因は「自律神経の乱れ」が原因であるとお話しましたが、自律神経が乱れる原因にはどのようなものがあるのでしょうか。
ここでは、自律神経失調症の原因や治療法についてお話していこうと思います。
自律神経失調症の4つのタイプ
自律神経失調症は、大きく分けると4つのタイプに分けることができます。
タイプ①本態性自律神経失調症
原因…生まれつき自律神経が乱れやすい
特徴…低血圧、虚弱体質、体力に自信がない
タイプ②神経症型自律神経失調症
原因…心理的な問題
特徴…体の不調に敏感、クヨクヨしがちで神経過敏
タイプ③心身症型自律神経失調症
原因…日常のストレスを抑えがちで溜め込みやすい
特徴…約半数がこのタイプで、症状や重さは人それぞれ。
タイプ④抗うつ型自律神経失調症
原因…慢性的なストレスの蓄積などによるうつ反応
特徴…几帳面で完璧主義な人に多い。まずは抗うつ気分の治療から始める。
こうしてみると、原因は生活習慣の乱れやストレスであることが分かります。
また、真面目な人や几帳面な人、神経過敏な人がなりやすい傾向にあることもわかります。
自律神経のバランスが乱れる原因
自律神経のバランスが崩れる原因として、心身のストレスがありますが、
- 人間関係
- 仕事のプレッシャー
- 過労
- 光や音
- 温度や湿度
などの身体的ストレス・精神的ストレスが挙げられます。
ちょっとしたストレスでも、発散できずに積み重なれば大きなストレスとなります。
また、
- 慢性的な寝不足
- 不規則な生活習慣
- 偏った食生活
などによる生体リズムの乱れも原因になります。
仕事や家事などで毎日忙しく、寝る時間がなかったりファーストフードやカップラーメンなどの偏った食生活をしたりしていると、気づかない間に自律神経が乱れていきます。
他にも、更年期障害による女性ホルモンの分泌減少も自律神経の乱れにつながり、心身に不調をきたします。
また、上記の項で述べた糖尿病、末梢神経疾患、パーキンソン病も自律神経の乱れにつながります。
自律神経失調症の治療法
心身のストレスが原因となる自律神経失調症は、できる限り環境を整えることが重要です。
十分な睡眠をとって睡眠時間を確保すること、生活習慣を整えること、栄養バランスの良い食事を摂ること、ストレスをため込まないことなどが大切です。
また、アルコールやカフェインの過剰摂取も控えましょう。
辛い症状を緩和するためには、薬物療法が必要になる場合もあります。
薬物療法としては、自律神経の機能を調整する薬や抗不安薬などを用いて、心と体の調子を整えます。
また、カウンセリングなどの心理療法も大切な治療法の1つです。
医師やカウンセラーと話して原因となっている事柄や心理的背景を理解し、自分自身が抱えている問題点に気付くことも必要になってきます。
他にも、マッサージや指圧、ストレッチなどの理学療法、緊張や興奮をほぐし身体をリラックスさせる自立訓練などによる治療法もあります。
環境は自分で意識して変えていくことができますが、症状が重い場合には専門家(専門医)による治療が不可欠ですので、辛い思いは溜め込まずに早めに治療を開始しましょう。
今すぐにできる!自律神経を整える方法を紹介
薬物療法や心理療法などは専門医の指導がなければ行えませんが、生活リズムを整えたり自律神経のバランスを整えたりすることは自分自身でどうにかするしか方法がありません。
以下で紹介する方法は、誰でも簡単にできる方法ばかりなので、今すぐにでも取り入れてみることをおすすめします。
自律神経のバランスが整うと体の不調が改善され、1日を元気に過ごせるようになります。
ストレスは気付かないうちに溜まっているので、自らの不調に気づいていない人でも、実践することで体が元気になっていくのを実感できると思います。
副交感神経のスイッチを入れよう
自律神経が乱れる原因として光や音などが考えられるとお話しましたが、現代はパソコンやスマホなどが普及して夜でも明るくにぎやかな環境に置かれている人が多数です。
寝る直前までスマホをいじっていると、脳が興奮しなかなか寝付けないことがありますし、十分な睡眠時間を確保できなくなったりします。
脳が興奮している=交感神経が優位になっているので、このような場合は副交感神経のスイッチを入れてあげることがポイントになります。
ここでは、副交感神経の推知を入れる「呼吸法」を紹介します。
① 寝る・立つ・座る、どのような姿勢でもOKです。
② おへその辺りに両手を当てます。
③ 鼻から5秒かけて息を吸い、口から10秒かけてゆっくり息を吐きます。
寝る前や起きた時に3~5回行うことで、副交感神経を高めることができます。
「苦しい!」と思うときは交感神経が優位になっている証拠ですので、リラックスして行いましょう。
朝起きたら太陽の光を浴びよう
光を浴び続けると気付かない間にストレスを感じていますが、光を浴びずに暗い中で過ごし続けることもストレスになります。
休みの日はカーテンを開けずに暗い室内で一日中外に出ず生活している…という人もいると思いますが、これでは交感神経のスイッチが入らず、気づいたら何もせずに1日が終わっているなんてこともあります。
朝起きたらまず、カーテンを開けて太陽の光を浴びましょう。
雨でも曇りでも、光の覚醒作用はしっかり脳に届きますので、脳の覚醒をサポートして体内のリズムを整えてくれます。
就寝3時間前までに食事を済ませる
夕食をとると徐々に副交感神経の働きが高まり覚醒度が低下していきます。
消化のことを考えると就寝する3時間前までに夕食を済ませておくのがベストです。
快適な温度と湿度を保つ
暑いときは「暑い」「暑くて眠れない」寒いときは「寒い」「寒くて眠れない」と、温度ばかりが気になって集中できなくなるものです。
このような温度・湿度もストレスの要因になるので、快適な温度・湿度を保つように心がけましょう。
湿度は通年50~60%、室温は夏なら26度程度、冬なら20度程度を保つことで自律神経のバランスが整います。
まとめ【自律神経を整えて健康で快適な生活を送ろう】
- 自律神経は交感神経と副交感神経から成る
- 自律神経が乱れると心身に様々な悪影響を及ぼす
- 自律神経の乱れはストレスや生活習慣の乱れが原因
- 適切な治療や生活習慣の改善で自律神経を整えよう
自律神経の乱れは放置せずに適切な対処が必要です。
生活習慣を改善したり食生活を見直したりことで自律神経のバランスを整えることができるので、疲れている時やストレスが溜まっている時こそ実践することが大切です。