捻挫は早期の治療がカギ!捻挫の症状や応急処置・治療法を教えます
スポーツをしている人は、1度は捻挫をしたことがあるのではないでしょうか。
「たかが捻挫」と思い放置していると、手術が必要になったり二次的なケガを引き起こしたりすることがあるので注意が必要です。
捻挫は適切な治療を早期に行うことで手術や後遺症を防ぐことができます。
また、普段から予防に取り組むことも重要です。
この記事の目次
捻挫の症状や原因は?セルフケアで治るの?
捻挫に多い部位は、足、指、膝、手首などがありますが、時に首を捻挫する人もいます。
この中でも多いのが足の捻挫で、1日に人口1万人あたり1人が受傷するともいわれています。
日本の人口が1億2000万人ほどですから、1日に12,000人もの人が捻挫をしている計算になります。
足をひねったり転んで指をついたりしたときに「捻挫したかな?」と思うことがあると思いますが、損傷の程度によって治療法が違ってきますので、痛みや腫れがひどい場合、自力で歩くのが困難な場合は病院で適切な治療を受けましょう。
ここでは捻挫の症状や原因についてお話していこうと思います。
捻挫の症状は3段階に分けることが出来る
捻挫は損傷の程度によって3つの段階に分けることができます。
重症だと手術が必要になることもありますので、痛みがひどい場合は早急に病院で診てもらうことを勧めます。
<1度捻挫>
- 靭帯の微細損傷
- 軽度の圧痛
- 当日もしくは2~3日で歩行や軽い走行が可能
<2度捻挫>
- 靭帯の部分断裂
- 圧痛、腫脹が強く、歩けるが走れない
- 装具やテーピング、固定が必要
- 治るまで2~3週間かかる
<3度捻挫>
- 完全な靭帯断裂
- 圧痛、腫脹、熱感、皮下出血が強く、自分で歩くのがやっと
- ギプスや装具による強固な固定が必要
- 場合によっては断裂靭帯の縫合手術が必要
- 治るまでに1~2カ月かかる
1度捻挫ならセルフケアのみで治ることもありますが、2~3度捻挫ではテーピングや固定が必要になりますので、整形外科で適切な治療を受けましょう。
骨の異常の有無はレントゲンを撮らないとわからないので、自己判断せずに病院で診てもらいましょう。
捻挫は足を不自然な形にひねってしまうことが原因
捻挫とは、不自然な形にひねることで関節の靭帯や腱、軟骨などが傷つくことです。
足の関節は外側より内側に大きく動くため、内側に捻ることによる捻挫が多く、足首の外側が伸ばされて外くるぶしの前方と足の距骨をつなぐ「前距腓靭帯」が過度に緊張して損傷します。
捻挫がよく起こるケースとしては、
①無理な力がかかることによる捻挫
何らかの衝撃やねじれ、または転倒などによって関節に無理な力がかかり、関節が曲がりすぎたり伸びすぎたりすることが原因で捻挫が起こります。
②高い・細いヒールによる捻挫
スニーカーでも平坦な道でいきなり足をひねることがありますが、高いヒールを履いて歩いていると足首をひねる可能性が高くなります。
また、ヒールが細いものだと上手く着地できずにひねりやすくなるので、注意が必要です。
③スポーツ中の捻挫
スポーツをしている人なら1度は経験があると思いますが、ジャンプの着地時に足首をひねったり、ジョギング中に道路の段差やへこみに気付かずにひねったりすることで捻挫が起こります。
などがあります。
ごく軽い捻挫ならセルフケアのみで治ることが多いですが、不安なときや痛みや腫れがひどい場合は、早めに受診しましょう。
どちらにしても、まずは応急処置を行うことが大切です。
捻挫の診断は何科?どのようにして行うの?
「捻挫くらいなら大丈夫」と思ってセルフケアだけで対処していると、なかなか治らなかったり、完全に治っていない状態で負荷をかけると靭帯が緩いままになって再び捻挫を繰り返しやすくなったりします。
痛みが続く場合やひどい場合は整形外科の医師による診断のもと治療を行いましょう。
診断方法としては、
・医師による問診
・押したり動かしたりしながら確認
・骨折の有無を調べるレントゲン
・靭帯の損傷を調べるMRI
・靭帯の損傷を調べる超音波検査
などにより判断します。
MRIや超音波検査は大きな病院でしか検査できないこともあります。
ケガをした時の状況説明はとても大切なので、どのような状況で・どのような方向にひねったのかを詳しく説明しましょう。
強い痛みや腫れ、筋肉のけいれんなどがある場合は、骨折の有無を確認するためにレントゲンを撮ります。
また靭帯の上の皮膚に触れると痛む場合は、靭帯断裂の可能性もあるので、MRIを撮ることもあります。
捻挫はレントゲンではわからない靭帯や腱といった軟部組織や軟骨の損傷なので、レントゲンで異常が認められないケガは「捻挫」の診断となり、程度により1度~3度に分けられます。
骨に異常がないからといって安心できるわけではありません。
靭帯が断裂したまま放置すると数年後に足の関節が変形することもあるので、しっかりとした治療を受けましょう。
捻挫の治療法は?まずは適切な応急処置が肝心
捻挫が疑われる場合は整形外科の医師による検査・診断が必要だとお話しましたが、整形外科よりも整骨院や接骨院の方が近いからとそちらにかかる人もいると思います。
しかし整骨院や整骨院には「医師」がいないため、レントゲンを撮ったり薬を処方したりすることができません。
捻挫や骨折が疑われるときは、骨の異常を確認するためのレントゲンや薬(鎮痛・消炎剤)の処方が必要な場合が多いので、まずは整形外科で診てもらいましょう。
整形外科での治療が終わった後も違和感が残る場合、筋肉と骨格のバランスを整えたい場合、じっくり時間をかけてみてもらいたい場合には整骨院や接骨院に行くなど、その時のニーズを見極めて受診することを勧めます。
捻挫の応急処置法「PRICES」とは?
捻挫の応急処置法に「PRICES」処置というものがあります。
P…保護(Protect)
R…安静(Rest)
I…冷却(Ice)
C…圧迫(Compression)
E…挙上(Elevation)
S…安定・固定(Stabilization・Support)
アルファベットの頭文字をとったもので、以前は「RICE」の4つだけでしたが「保護」「安定・固定」の2つが組み込まれ、現在では「PRICES」が基本の応急処置になります。
この中でもまずは「冷却」が重要です。
冷却温度が低すぎると凍傷になる危険性があるので、冷たくしすぎないように注意しましょう。
氷なら、表面が溶け始めてから使用するようにしてください。
冷却時間は15~20分が目安で、強い冷感を感じてから感覚が消失するまでに、大体このくらいの時間がかかるといわれています。
時間が来ていなくても、感覚が消失したらアイシングを終了するようにしましょう。
これを1~2時間おきに行い、24~72時間継続することが望ましいとされています。
捻挫の3段階ごとの治療法
<1度捻挫の場合>
応急処置を行った後、テーピングなどによる簡単な固定を行います。
テーピングやサポーターの装着と数日間の安静で復帰可能な場合が多いです。
<2度捻挫の場合>
2度の捻挫の場合は靭帯が部分的に断裂しているので、応急処置の後、ギプスやシーネなどによる固定が必要になる可能性が高いです。
2~3週間の安静が必要になりますが、サポーターなどを用いることで受傷後早期から歩行や運動の訓練が可能な場合もあります。
<3度捻挫の場合>
3度捻挫になると靭帯が完全断裂しているので、損傷部位や場合によっては靭帯縫合手術や靭帯再建手術をすることもあります。
手術をしない場合はギプスによる強固な固定が望ましく、治るまでに1~2カ月の安静が必要になります。
捻挫の主な治療は「固定療法」や「早期運動療法」
上記でお話したように、捻挫で手術をするのはごく稀で、主な治療法は保存療法で「固定療法」と「早期運動療法」になります。
ケガの初期に短期固定を行い、早い段階でサポーターを装着しながら歩行訓練を開始し、損傷部位への負担を制限しながら積極的にリハビリをするのが早期運動療法です。
痛みや腫れがある場合は、鎮痛消炎剤の内服薬や貼付薬が処方されることもありますが、腫れや痛みが強いとき(急性期)は冷湿布で冷やし、腫れや痛みが落ち着いて炎症が治まったとき(慢性期)は温湿布で温めるのが一般的です。
湿布ではなく、アイシングや入浴においても「急性期=冷やす」「慢性期=温める」ということを頭に入れておきましょう。
捻挫は予防できる!すぐにできる3つの予防法を紹介
捻挫をすると、スポーツをしている人はしばらくの間休まざるを得なくなりますし、スポーツをしていない人でも日常生活に支障をきたします。
また、処置を間違えると治りが悪くなったり再発しやすくなったりするので、未然に防ぐことが大切です。
ここでは自分でできる捻挫の予防法について紹介していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
捻挫の予防法①運動前のウォーミングアップ
運動を始める前にしっかりとウォーミングアップをして体を温めておくことで、関節の可動域が広がって体の柔軟性が向上します。
捻挫だけでなく様々なケガの予防にもつながりますし、神経の伝達を促進し瞬発力やパフォーマンスの向上も期待できます。
ここでは簡単なウォーミングアップ法・ストレッチ法を紹介するので、運動前に取り入れましょう。
<関節をほぐす>
足首や手首、腰、膝などの主要な関節をほぐします。
関節を回したり屈伸運動をしたりして軽くほぐしましょう。
<ジョギング・ランニング>
最初はゆっくり歩くことから始め、徐々にスピードを上げて心拍数を上昇させます。
筋温を上げて筋肉への血流を促しましょう。
<ストレッチ>
ストレッチは体が温まってから行うと効果的です。
運動前には8~12分のストレッチを行うことが望ましいとされているので、適当に済ませるのではなくじっくりと取り組みましょう。
捻挫の予防法②テーピングで関節を安定させる
足首などの捻挫しやすい部位は、あらかじめテーピングで固定して関節を安定させましょう。
捻挫を繰り返している人は、再発防止にも役立ちます。
足首の捻挫防止には「Vロック」という方法が効果的です。
Vロックは基本的なテーピング法で、3本のテープを使って足首を固定します。
自分でやるのは難しい…という場合は、サポーターでもOKです。
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捻挫の予防法③運動不足の解消
普段あまり運動しない人は筋肉が衰えているため、ちょっとした強めの負荷がかかるだけでも捻挫しやすくなります。
立ち上がる時に足首を痛めたり、手をついた時に手首を痛めたりする可能性もあるので、普段から適度な運動をすることが大切です。
いきなりバスケットボールやサッカーなどの激しいスポーツをするのではなく、空いた時間にウォーキングやストレッチ・簡単な筋トレなどを行い、普段から筋肉や関節を適度に動かして運動不足を解消しましょう。
捻挫の痛みや腫れに効く市販薬を紹介!
捻挫は靭帯を痛めるほどの重症でなければ、セルフケアのみの治療も可能です。
しかし1~2週間経っても改善が見られなかったり悪化したりする場合は、整形外科を受診しましょう。
また、軽い捻挫でも上記でお話した応急処置(PRICES)は必ず行うようにしましょう。
ここでは、セルフケアする場合に使用できる市販薬についてお話します。
最近は24時間営業しているドラッグストアも多いので、市販薬は上手に活用しましょう。
捻挫の痛みや腫れに効く市販薬①外用薬
外用薬に含まれる主な成分は、
- サリチル酸グリコール
- インドメタシン
- ケトプロフェン
- フェルビナク
- ジクロフェナクナトリウム
- ロキソプロフェンナトリウム
です。
外用薬には湿布や塗り薬がありますが、湿布には「冷湿布」と「温湿布」があるので、注意しましょう。
急性期には冷湿布、慢性期には温湿布というように、病期によって使い分けましょう。
<冷湿布>
・バンテリンコーワパップS
・フェイタスシップ冷感
・ロキソニンSテープ など
<温湿布>
・バンテリンコーワパップホット
・ロイヒ温シップフェルビナク など
ケトプロフェンが含まれている湿布は、湿布を貼った後に日光に当たるとかぶれることがあります(光線過敏症)。
はがした後も4週間程度は貼っていた部分を日光に当てないように注しましょう。
捻挫の痛みや腫れに効く市販薬②内服薬
痛みや軽度の腫れ、熱感がある場合は、解熱鎮痛消炎剤の内服薬が効果的です。
解熱消炎鎮痛剤には炎症を抑える効果があるので、患部の炎症をとり腫れや痛みを抑える働きがあります。
ここではドラッグストアで購入できる解熱鎮痛消炎剤を紹介します。
捻挫痛に効く飲み薬には、
- ロキソニンS(Sプラス、Sプレミアムも)
- イブクイック頭痛薬(DXも)
- ノーシンAC
- 小児用バファリン
などがあります。
ロキソニン(ロキソプロフェンナトリウム)やイブ(イブプロフェン)は、市販薬では15歳未満の小児が服用できるものがありません。
ノーシンACなら7歳以上、小児用バファリンなら3歳以上から服用可能ですが、小さな子供は痛みや不調を上手く説明できないため、自己判断せずに病院を受診するのが1番です。
まとめ【捻挫はまず予防!応急処置&適切な治療も大切】
- 捻挫をしたら応急処置(PRICES)を行おう
- 痛みや腫れが強い場合は整形外科で適切な治療を受けよう
- 捻挫は運動前のウォーミングアップやテーピングで予防しよう
- 市販薬は上手に使い分けよう
捻挫はまず予防することが大切です。
もし捻挫をしても、冷静に処置・対処できれば、悪化や再発を防ぐことができます。
普段から適度な運動を取り入れて、健康で快適な生活を送れるといいですね。