なんでこんなに栄養のある「柿」を食べないの!?フルーツの隠れた王様「柿」の魅力
昔話にも出てくる「柿」ですが、あまり食する機会がないことは残念ですね。
柿にはたくさんの栄養素が詰まっていて、健康にも美容にも良いことが分かっています。
この記事では「柿の栄養」に焦点をあてて解説します。
ぜひ栄養価の高い「柿」をもっとたくさん食べてみましょう。
この記事の目次
世界に柿を広めたのは日本!外国でも柿は「KAKI」
「柿」という名前は中国からきたもので中国本土では「柿子(シーズー)」と呼びます。
現在も柿の生産は中国が世界一ですが、世界へ柿を広めたのは我が日本国です。
そのため和名と同様に外国でも「KAKI」と呼ばれます。
世界一の生産量をほこる中国を置きざりにして、日本がヨーロッパやアメリカに「柿」を広めたのです。
日本は中国と台湾に次ぐ3番目の柿の生産国です。
しかし日本から柿が広まったということは品質が良いということの証しです。
中国は果物をたくさん食べる国としても有名ですが、「柿子」といって「トマト」のことを指す地域もあります。
地域や季節ごとに呼び名が変わったり、安定した品質でなかったことも、呼び名の生みの親である中国から海外へ広められなかった一因だと考えられます。
米英では柿の木を「パーシモン」と呼び、ゴルフクラブに使われていたことでも有名ですが、日本の柿の木とはわけが違うようです。
パーシモンの実は小さく日本の柿の実とは大きさも味も全く異なるようです。
美味しい柿をつくりあげたのは我が日本であり、保存食ともなる渋柿を考案したのも日本独自の技術なのです。
日本では庭木としても有名な「柿」(産地の説明)
中国から「柿」の名前をもらった日本ですが、縄文時代よりも前から柿があったといわれています。
柿の種が化石で出土しており、遠い昔から日本には柿があったと考えられています。
また戦前には日本の家屋の庭には柿の木がたくさんあったようです。
日本で柿は縁起が良いものとされていました。
これも中国から伝わったことでもありますが、日本では「家が繁盛する」とか「良縁に恵まれる」として、特に娘さんが生まれたときなどには良い縁談に恵まれるようにと大きなお屋敷の前には必ずというように柿の木がありました。
しかし一方で「柿の木」は縁起の悪いものと言われており、柿の実を採ろうと子供たちが木に登り、落ちて大けがをしたり死亡事故が相次いだことが影響しています。
また「柿」は身体を冷やす果物です。
中国などでは「陰・マイナス」をイメージさせる果物でもあります。
そんな諸説がある「柿」ですが、柿にはすごい栄養が含まれているという結果が出ています。
柿にはすごい栄養とパワーが含まれている
「柿が赤くなれば医者は青くなる」と昔のことわざがあります。
本来の意味は、柿が美味しくなる秋には果物がたくさん成長して食べ頃になるので病人が減るという意味でした。
しかし現在では「柿」の栄養素から、「医者いらずの果物」として紹介されることもあります。
柿の代表的な栄養素は、ビタミンCとβカロテンです。
柿に含まれる栄養素①ビタミンC
ビタミンCは皆さまもご存知のように、たんぱく質の一種である「コラーゲン」をつくる作用があります。
「コラーゲン」といえば最近では美容効果や老化防止に欠かせないものと知られています。
「ビタミンC」は皮膚の再生をうながし、シミやソバカスの他にも日焼けのしすぎなどの軽度な火傷にはビタミンCが投薬されてもいます。
また「ビタミンC」には免疫機能を高める効果があり、ウイルスなどへの抵抗力が強くなり風邪をひかなくなったりインフルエンザなどの感染症の予防にもなります。
また精神を落ち着ける作用もあるので疲労回復やストレス解消にも最適です。
なお「ビタミンC」と聞くと「酸っぱい柑橘系」のイメージがありますが、甘く熟した柿には柑橘系の果物に次ぐビタミンCが含まれていて、キウイやイチゴよりも同じ量で比べるとビタミンCの含まれる量は多い果物です。
柿に含まれる栄養素②βカロテン
一方「βカロテン」はというと、体内で必要な分だけ「ビタミンA」に変換されるため、文献によっては柿の成分として「ビタミンA」と記載されることもあります。
「βカロテン」は抗酸化作用といって「身体を錆びないようにする」、つまりは老化を防止する効果があります。
鉄が酸素と結合することで錆びてしまうように、体内の組織も酸化(酸素と結合)することで、身体は錆びついて老化が進んでしまいますが、「βカロテン」はそれを止めてくれるのです。
また体内で変化した「ビタミンA」は、たくさんの効果をもたらしますが、その中でも重要な効果は「免疫作用を強くする」ことです。
皮膚の組織や口や鼻などの粘膜の生成を補助してくれるなどの効果があるので、風邪やウイルスに対して強くなることが分かっています。
万が一、風邪などの感染症にかかったとしても免疫作用が強くなったことと合せた効果が期待できるので、病気から早く回復できるのです。
「βカロテン」は人参にも多く含まれていて黄色い色素である「カロテノイド」と呼ばれる一種です。
「柿」は熟すにつれて、黄色から赤みがかってきます。
するとトマトと同じように「リコピン」と呼ばれる赤い色素が増えて、これががんの予防に効果的であるということも証明されており、食べるがんの特効薬でもあります。
柿には「ビタミンC」や「βカロテン」の他にもたくさんの栄養素を含んでいます。
柿に含まれる栄養素③カリウム
カリウムは体内にたまったナトリウム(塩分)を体外に排出する作用があるので、高血圧で困っている人には食べる良い薬です。
足がむくんだり、すぐに足がつってしまう人、おしっこが出にくい人や不整脈の人にも効果があります。
柿に含まれる栄養素④タンニン
タンニンとは渋柿や熟れきっていない柿を食べたときに「渋い」と感じる成分です。
タンニンには血液中の悪玉コレステロールや他の毒素となる物質を減らしてくれる効果があります。
これにより身体全体の新陳代謝が良くなり、若々しい健康な身体を維持できます。
柿に含まれる栄養素⑤ペクチン
柿に含まれるペクチンは水に溶けやすく身体の中に入っていきますが、体内では分解されない食物繊維です。
食物繊維は便秘に効果があり、困っている女性などには打ってつけの果物です。
二日酔いにも効く柿の3つの秘密とは!?
「柿は二日酔いに効く」とお酒を飲む人ならご存知の人も多いとおもいます。
これは本当のことです。
その理由の1つは柿に含まれる「シブオール」という成分はアルコールの吸収をさまたげる効果があるからです。
つまりアルコールを飲んでも吸収されずに排出されるため、あまり酔わないということです。
2つ目は「ビタミンC」がアルコールの分解を助けて早めにアルコールを体内から排出することを手助けすることによります。
3つ目は柿に含まれる「酵素」がアルコールの分解を速めてくれます。
アルコールの分解は肝臓が大きな役目を担いなすが、それを酵素が補助することにより、肝臓への負担を軽くしてくれます。
これらにカリウムに含まれる利尿作用が加わって、柿を食べることやサプリメントの「柿エキス」などで二日酔いの状況を軽くしてくれる効果が生まれているのです。
渋柿こそ柿の元祖!甘柿との違いについて
実は甘柿よりも渋柿の方が歴史は古く日本人にも馴染みが深いことをご存知でしたか?
織田信長が勢力をほこった戦国時代には来日した外国人に干し柿を献上したという文献が残っています。
日本にあった当時の柿は渋い味で、そのままでは食べられるものではなかったために渋みと水分を抜いて甘味を増やし保存食ともなる干し柿は貴重な甘味食材だったのです。
そのために祭祀などにも使われる高貴な果物でありお菓子でもありました。
砂糖が高価な時代ですから、糖分が豊富な干し柿はとても貴重だったのです。
その干し柿が突然変異で甘柿が鎌倉時代の頃に生まれたといわれます。
ですから柿の品種も圧倒的に渋柿の品種が多いのです。
甘柿の品種は「富有・ふゆう」や「次郎・じろう」が有名で2種類程度です。
渋柿の方は「平核無・ひらたねなし」「甲州百目・こうしゅうひゃくめ」「西城・さいじょう」「愛宕・あたご」と豊富にあります。
突然変異で生まれた甘柿は、その種を植えても甘柿が育つことは稀であり、接ぎ木などをおこなって栽培しないとそのまま美味しく食べられるような甘柿をつくることはできません。
日本だけでなく第一の生産国である中国や第二位の韓国でも作り方に多少の違いはありますが、干し柿として食べることの方が主流となっているのです。
渋柿と甘柿では成分にも大きな違いがあります。
身体に良い影響を与える甘柿のビタミンCは、干し柿になるとほとんど無くなってしまいます。
ですから甘柿で得られるビタミンCの効果は渋柿では期待できません。
反対にβカロテンは凝縮されて渋柿の方が多くなります。
なんとその量は甘柿の3倍にもなります。
粘膜の保護や風邪の予防に効果があるβカロテンが豊富に含まれている甘菓子なのです。
甘菓子というように甘味は普通の甘柿の4倍もあります。
それだけカロリーが高い食べ物であることは覚えておきましょう。
柿の食べ過ぎには注意と言われる理由とは?
よく「柿の食べ過ぎには注意」といわれることがあります。
柿を食べ過ぎない方が良い理由①高カロリー
それはカロリーが高いことが1つの理由です。
信じられないかもしれませんが、甘柿よりも生の渋柿の方が元から甘味も多いのです。
タンニンという渋みがあることで甘味が少なく感じられますが、甘味の多い渋柿の水分を抜いて凝縮するので、もっと甘味が増えるのです。
甘柿を干しても渋柿を干したような甘さは出ないそうです。
柿を食べ過ぎない方が良い理由②便秘・下痢
渋みの成分であるタンニンには整腸作用があり、ほどほどに食べる分には健康に良いのですが、食べ過ぎると便秘になることがあります。
反対に柿の成分であるペクチンは便秘に効果があり、食べ過ぎると下痢になる場合もあります。
どちらにしても食べ過ぎは良くないという理由がここにあります。
柿を食べ過ぎない方が良い理由③体を冷やす
柿は陰の食材で身体を冷やすものでることは解説いたしました。
身体を冷やし過ぎることは健康を害することです。
子宝にも恵まれるという縁起の良い「柿」ですが、妊婦の人は身体を冷やすのは良くないので注意してください。
またナトリウムがたくさん含まれている柿を過剰に食すると、塩分を排出し過ぎて必要な塩分まで不足してしまうこともあるので気をつけましょう。
他にも「柿の食べ過ぎは毒である」と昔の人が言ったという話がありますが、これには全く根拠がありません。
関ヶ原の戦いで無残に敗れて斬首の刑となった石田光成は喉が渇いたときに柿を食べるようにいわれ、「柿は身体を冷やす・武士は最後まで有事に備える」と虚勢をはったことから言い伝えられたということです。
身体を冷やすことは事実ですが毒にはなりません。
こんな食べ方もある!柿の美味しい食べ方をご紹介!
干し柿は漢方薬として使われることもあります。
干し柿の場合には保存食であることからも特に気をつかうことはありませんが、甘柿は熟れすぎるとドロドロに溶けたようになってしまいます。
甘柿は買ったらすぐに食べた方が美味しさを楽しめます。
熟れすぎたりして食べ頃を過ぎてしまった甘柿は凍らせてシャーベットにして食べると良いでしょう。
冷凍庫に入れておくと日持ちがして食べるときに少し溶かせば美味しいデザートになります。
最近では「柿の葉」の栄養が注目されています。
「柿の葉茶」といわれ、ビタミンCが豊富で他のビタミンも多く含まれているので、これこそ二日酔いに最高に効くお茶であるとして重宝されています。
お茶は身体を温めるものでもあり、柿の陰のイメージを取り払うことにもなります。
柿の実だけでなく葉のほうにも栄養がタップリです。
ぜひお試しになってみてください。
柿は栄養のかたまり、もっと食べて健康になろう!
ここまで柿の歴史からはじめて「柿の栄養素」についてご紹介してまいりました。
この記事では以下のようなことを解説しご理解が得られたはずです。
- 柿は中国から日本につたわった果物で外国でも「KAKI」と呼ばれる
- 柿の生産はアジアが中心で中国が第一位で日本は第三位
- 柿は栄養の宝庫といわれ、特にビタミンやβカロチンが豊富
- 柿に含まれるビタミンCは二日酔いに最適な薬
- 渋柿でつくる干し柿は生の柿とは栄養素が変化している
- 熟れすぎた柿は冷やしてゼリーなどにして食べると良い
- 柿の葉にも栄養分がたっぷり・柿の葉茶が有名
柿は栄養が豊富な果物です。
日本ではその栄養分が豊富で健康にも良いことを知っていて、縁起物でもあるため庭さきに柿の木がたくさん植えられていたのです。
現代の人々は皮を剥いたりするのが面倒で柿を食べることが少なくなったようです。
これだけ多くの栄養を含んだ「果物の陰の王様」を食べないことは「もったいない」のひとことです。
もっと積極的に「柿」を食べて免疫を高めて健康な生活を送ってください!!