なかなか治らない腱鞘炎を徹底分析!腱鞘炎の原因や症状、予防法や治療法を解説!
手首がうまく動かなかったり、物をつかむと痛んだりする「腱鞘炎(けんしょうえん)」
なかなか治らなくて、どうしたらいいか悩んでいませんか?
腱鞘炎は正しく予防と治療をしないと、逆に治りにくくなり慢性化しやすい疾患です。
ぜひ、今回の記事を参考にして、手首や指のわずらわしさや痛みから解放されてみませんか。
この記事の目次
なかなか治らない腱鞘炎!そもそもどんな疾患でどんな症状がでる?
では、まずそもそも腱鞘炎とはどのような疾患なのかについて解説します。
腱鞘炎とは、その名前の通り、簡単に言うと「腱鞘」と言う部位が炎症を起こしている状態を言います。
私たちの指や手足の筋肉の両端には、骨と筋肉をつなぐ「腱」と呼ばれるひも状の組織があり、この腱には、筋肉の力や動きを指や手足に伝えるという重要な役割があります。
一方、腱鞘炎の名前の由来である「腱鞘」ですが、その名前の通り腱の「鞘(さや)」と言うことができます。
さやというのは、刀などを納める筒のことを言いますが、まさに腱鞘もその役割を果たしています。
つまり、腱を保護するため、腱をさやのように包み込んでいるものが腱鞘です。
腱鞘炎のメカニズム
部位の役割が分かったところで、どのようにして腱鞘炎が起こるのか解説します。
手首や指を曲げたり伸ばしたりして関節が動いたとき、同時に腱も動きます。
もちろん、腱は腱鞘に包まれているので、腱鞘の間を行ったり来たり動くことになります。
異常がない腱鞘の場合、腱とこすれ合うことも少なく痛みもありません。
スムーズに腱鞘の間を腱が動きます。
しかし問題は指や手首などを使いすぎて酷使している場合です。
指や手首を稼働させすぎると、それだけ腱が腱鞘内を動くことが多くなってしまいます。
そのため、頻繁に腱と腱鞘の間で摩擦が起こり、段々と腫れて腱鞘が分厚くなるため、やがて腱が腱鞘の間を通りにくくなってしまいます。
そのまま症状が出ている部位を使い続けてしまうと、痛みを伴い、腫れが引かない状態になります。
この状態が腱鞘炎です。
腱鞘炎の症状
では、腱鞘炎のメカニズムが分かったところで、実際にはどのような症状が出るのかを解説していきます。
全体としては、主に次のような症状が出ます。
・発症している箇所周辺が腫れ、熱感を伴う
・発症している箇所を動かすと痛みが伴う
・関節が動かしにくくなったり、指が動かせなくなったりする
基本的には、腱鞘が炎症を起こしているため、患部が熱を持ち、腫れるのが一般的です。
初期段階では、痛みはピリッとした瞬間的なものですが、症状が進みひどくなってしまうと強い痛みに変わります。
初期段階で正しく察知し、早めに治療することが大切です。
腱鞘炎の種類について
実は腱鞘炎には発症する部位によって、いくつか種類に分けられます。
手首や指について発症する腱鞘炎としては次の2種類があります。
①ドゥ・ケルバン腱鞘炎(狭窄性腱鞘炎)
腱鞘炎の中でも最も一般的とされているのが、「ドゥ・ケルバン腱鞘炎」です。
これは、親指側の手首に起こる腱鞘炎です。
手首にある二本の腱(短母指伸筋腱、長母指外転筋腱)とそれを包んでいる親指側にある腱鞘との摩擦によって生じます。
症状の特徴として、親指側の手首に腫れが生じます。
また、痛みも伴い、関節が動かしにくくなってしまい、正しく治療をしないまま症状が悪化すると、力が入らなくなってしまうこともあるため注意が必要です。
②ばね指
「ばね指」は、主に指の使いすぎによって起こる腱鞘炎です。
指の曲げ伸ばしをする働きを持つ「屈筋腱」を包んでいる「靭帯性腱鞘」が分厚くなり、屈筋腱がスムーズに動かなくなる事で生じます。
ばね指の症状は、手のひら側の指の付け根に痛みや腫れが生じます。
特徴的なのが、指を伸ばしたときに引っ掛かりがあり、その後ビンッと伸びるばね現象を伴います。
症状が悪化してしまうと、指が動かなくなることもあります。
その他、腱鞘炎の症状が出るものとして次のようなものがあるので簡単に解説します。
③化膿性腱鞘炎
刺し傷など指にけがをしたとき、ブドウ球菌などの菌が侵入し、腱鞘が炎症を起こすことで発症します。
症状としては、痛みが強く、指が動かせなくなります。
④アキレス腱鞘炎
スポーツなどによるアキレス腱への負荷が原因で起こる腱鞘炎です。
なぜ治らないかを理解するには腱鞘炎の原因を正しく知ることが大切!
腱鞘炎は手や指の使い過ぎによって、腱鞘が炎症を起こしてしまうことと解説しましたが、実際にどういった行動が要因で腱鞘炎へとつながるのかを解説します。
腱鞘炎を正しく治療するには、日常生活における腱鞘炎になりうる要因を知ることが大切。
主に次のような行動が原因となって、腱鞘炎が起こります。
どれも指や手首を酷使する行動ですよね。
腱鞘炎の原因となる日常生活の行動
・テニスなどのスポーツ(主にグリップやボールなどを握るもの)
・ピアノなどの楽器演奏
・パソコン操作
・スマホ操作やゲームプレイ など
もともと、腱鞘炎はテニスやピアノ演奏、文字を書く人など、手首や指をよく酷使する人に見られる疾患でした。
しかし、最近ではパソコンやスマホ、ゲーム機でのゲームプレイなどが原因となることもあります。
特にパソコンとスマホについては、毎日使用するという方も多くいますので、腱鞘炎にならないためにも注意したいですよね。
パソコン操作については、キーボードでの文字入力、マウスのクリックが手首や指を酷使する行動となります。
スマホについては、片手で持ってスマホ操作をするときに親指を酷使することになります。
知らず知らずのうちに摩擦が生じて徐々に症状として現れることがありますので、指や手首に違和感があるときは要注意ですよ。
腱鞘炎はこのように指や手首を酷使することで起こりますが、他の要因として腱鞘炎はホルモンの変化も関係があげられます。
このため、妊娠・出産期、更年期などの女性が腱鞘炎になるケースもあります。
腱鞘炎が中々治らない原因
さて、腱鞘炎が治らない原因ですが、ポイントは症状が軽くなった時にあります。
安静にして治療した結果、症状が少し改善されたときには特に注意が必要です。
「ああ、これで治った」と思ってしまい、これまでと同じように症状が出た箇所を再び酷使してしまうことがあるからです。
治りかけのときに酷使することで、腱鞘炎が再発してしまい、さらに再発が繰り返された場合、慢性化してなかなか治らなくなってしまうのです。
症状が軽くなったからと油断せず、正しい治療を継続して行うことが腱鞘炎を早く治すのには重要です。
治らないのは治療法の選択が問題?腱鞘炎の治療法を解説!
では、実際の治療法についてはどのようなものがあるのでしょうか。
腱鞘炎は指や手首を酷使することで発症してしまうため、何はなくともまずは患部を「安静」に保つことが大切です。
決して無理に動かしたり、痛みを放置したりすることがないようにしてください。
実は、腱鞘炎はその症状の段階によって、治療法を使い分けるのがポイント。
症状に合わせた治療法を選択することが早期改善につながっていきます。
主な腱鞘炎の治療法は次の通りです。
腱鞘炎の治療法①ギブスやテーピングなどで患部を固定する
安静にするということはつまり動かさないということ。
患部を保護するためにギプスやテーピングで固定することも治療法として有効です。
腱鞘炎の治療法②冷やす・温める
腱鞘炎に対して冷やすか温めるかは症状がどういう状態かによって変わります。
初期症状の場合はまず氷で冷やすことが大切です。
ピリッとした電気が走るような痛みがある初期症状の場合は患部を冷やすと効果的。
冷やすときは凍傷を起こさないようにタオルなどで巻いてください。
腫れや痛みが落ち着いたら今度は血行を良くするために患部を温めてください。
この時に逆に冷やしてしまうと、痛みがぶり返すことがあります。
腱鞘付近の筋肉が固まってしまい、神経が圧迫されて炎症を起こしてしまうためです。
状況によって冷やすと温めるを使い分けるようにしてください。
腱鞘炎の治療法③薬物療法
薬物療法としては、湿布薬や塗り薬、痛み止めの薬を使用します。
薬局で販売されているものを使用する場合は、貼ったり塗ったりしたときに皮膚がかぶれないか確認しながら使用してください。
腱鞘炎の治療法④注射による治療
局所麻酔剤を混ぜたステロイド薬を炎症を起こしている腱鞘に直接注射します。
ただし、糖尿病や薬剤に対してアレルギーがある患者には投与できません。
腱鞘炎の治療法⑤手術する
ステロイド注射でも効果がみられない場合は、手術になります。
炎症を起こしている腱を切開する「腱鞘切開術」を行います。
ぶ厚くなった腱鞘を切開することで、腱を解放します。
以上が腱鞘炎に対して行われる治療法です。
腱鞘炎の症状の段階に応じた治療を行うのがポイントです。
間違った方法で行うと症状を悪化させてしまうので要注意です。
腱鞘炎がなかなか治らない状態になる前に予防しよう!
先ほど解説した通り、腱鞘炎が長期化してしまうのは、少し症状が良くなったからと言って、症状が出た個所を再び酷使してしまうことが原因です。
症状が出た箇所を酷使することによって、腱鞘炎が再発してしまいます。
そして、再発が繰り返されると、慢性化し、なかなか治りづらくなってしまうのです。
なかなか治らない腱鞘炎から逃れるには、なってしまう前に腱鞘炎を予防することが大切です。
予防方法としては、手首や指を酷使しないことが基本となります。
それ以外に有効な予防法としては次の通りです。
腱鞘炎の予防法①ストレッチをする
安静にするのと同時に、使った手首や指をストレッチすると予防に有効です。
自宅で簡単に出来る方法としては、指のストレッチや手首のストレッチがあります。
それぞれ休憩時間に行うと効果的です。
指のストレッチを行う場合、指を1本1本、手の甲側へ反らすようにグーっとゆっくり反らしていきます。
手首も同様に手を広げて人差し指から薬指を指をつかみ、グーっと手の甲側へ反らすことでストレッチができます。
いずれも10秒くらい、無理しない程度に反らすのがポイントです。
腱鞘炎の予防法①ツボ押しを試してみる
腱鞘炎に効果があるツボを押すことで、予防効果が期待できます。
効果があるとされているツボは次の通りです。
ツボを直接押したり、お灸をすえたりすることで腱鞘炎への効果が期待できます。
①陽渓(ようけい)
親指の付け根の手首部分にあるくぼみです。
手のひらを広げるとくぼむ箇所を押すのですが、すでに手首に痛みがある場合は控えるようにしましょう。
②合谷(ごうこく)
親指と人差し指が交わる箇所で、人差し指側にあるくぼみにあります。
まだ痛みや腫れを伴う前からきちんと予防をすることで腱鞘炎のリスクを最小限に押さえることができます。
とにかく安静にしてストレッチをして日ごろから手首や指をケアしていきましょう。
それでも腱鞘炎が治らない場合は早めに専門医を受診しよう!
腱鞘炎の治療で解説した通り、治療法には注射や手術など、病院での施術が必要なものもあります。
先ほどご紹介したセルフケアを実施しても手や指に痛みや動かしにくいなどの感覚がある場合、早めに専門医を受診してください。
症状が軽くなったからと言って放置しておくと、どんどん治りにくくなってしまいますよ。
まとめ【なかなか治らない腱鞘炎は安静にすることが絶対条件!】
なかなか治らない腱鞘炎は安静にすることがまず大切です。
治らない時点ですでに慢性化している可能性があるため、原因を把握し、正しい治療を実施することが早期回復に大変効果的です。
治療を行い、症状が改善された場合でも、症状が出た箇所は特に気を付けてセルフケアを行いましょう。
- 治らない腱鞘炎には絶対安静が基本
- 腱鞘炎の原因をはっきりと把握する
- 腱鞘炎の予防につとめる
- 長引いて治らないときは早めに病院へ行く
日常生活でどんな行動が負担をかけているのか、腱鞘炎の原因を正しく認識して予防し、腱鞘炎の痛みのない快適な生活を過ごしましょう。