便秘になると、お腹が張ったり痛みが出たりするだけでなく、溜まった便から有害物質が発生して体に様々な悪影響を及ぼすので、注意が必要です。
便秘の解消・予防には、運動や食生活・生活習慣の改善が必要不可欠です。
人によっては肌荒れを起こしたりイライラしたりすることもあるので、便秘はできるだけ予防に努めましょう。
便秘を早く解消したい!便秘の原因は何?
便秘になるとお腹が張って苦しかったり、下腹がポッコリと出ておしゃれを楽しめなかったりすると思います。
多くの人は「便秘=便秘薬」と思っていると思いますが、便秘薬は使い方を間違えるとかえって便秘を悪化させることがあるので注意が必要です。
一口に便秘と言っても、症状や原因は人それぞれなので自分に合った解消法を見つけることが大切です。
ここでは便秘の原因についてお話していきますので、自分の便秘のタイプを知って正しい対処をしましょう。
<その① 弛緩性便秘>
大腸の蠕動運動(腸が波打つように動いて便を送り出す働き)が低下することで起こる便秘が弛緩性便秘です。
蠕動運動が低下して大腸の中に便が停滞している時間が長くなると、水分が多く吸収されて便が硬くなり便秘を引き起こします。
日本人の便秘の中で最も多いのがこの弛緩性便秘で、便意があってもすぐに排便しない人や、便意があっても我慢する癖のある人に多くみられます。
中でも、高齢者ややせ型の女性、寝たきりの人に多いのが特徴です。
<その② 直腸性便秘>
便が直腸まで押し出されているのに、直腸の神経が鈍くなっていて便意が生じないことが原因で起こるのが直腸性便秘です。
直腸まではスムーズに便が下りてきますが、便意を感じないために水分が過剰に吸収されて便が硬くなったり、腹筋力が低下していることで便を出す力が弱いことなどが原因になります。
<その③ けいれん性便秘>
副交感神経が過度に興奮することで腸管が緊張し、大腸内で便がうまく運ばれずにコロコロとした小さな便になるタイプがけいれん性便秘です。
生活習慣の乱れやストレスによる自律神経の乱れが原因になっていることが多く、中には便秘と下痢を繰り返す人もいます。
<その④ ダイエットが原因の便秘>
ダイエットで過度な食事制限をすると、単純に「食べるものが減る=出るものが減る」ことで便秘になりやすくなります。
また、カロリーを抑えるために油分を極端に減らすと、便の通りが悪くなり便が出にくくなります。
ダイエット中でも、体調面を考えて栄養バランスの良い食事を摂ることが重要になります。
便秘解消の秘訣は「腸内環境」を整えること!
腸内には細菌がおよそ3,000種類、100兆個も存在しているといわれています。
細菌は作用や体に与える影響により
- 善玉菌
- 悪玉菌
- 日和見菌
の3つに分けられ、これらは体の健康に大きく影響しています。
ここでは3つの腸内細菌について簡単に説明しますので、頭に入れておくと良いと思います。
<悪玉菌とは>
悪玉菌は、腸内の内容物を腐らせて有毒物質を生成し、血液に乗って体内を巡ります。
腸内の悪玉菌が増えると、腸の動きが鈍くなって便秘になりやすくなります。
また、発がん性物質を産生するなど病気の引き金となりうるので、悪玉菌は増やさないようにしましょう。
<善玉菌とは>
善玉菌は悪玉菌の侵入や増殖を抑制働きがあります。
また、免疫力を高めたり腸の運動を促進したりする働き、発がん性物質を分解する働きもあるので、健康を維持するうえでとても大切な細菌です。
便秘を解消させたい場合は、この善玉菌を増やす必要があります。
<日和見菌とは>
日和見菌は、その時その時で働きが変わる細菌で、全体の数でいえばこの菌が大多数を占めます。
悪玉菌が優勢の時は悪玉菌の味方をしますが、悪玉菌が減ると大人しくなります。
腸内環境の良し悪しで善と悪どちらにもなりうる細菌なので、腸内環境を良好に保つことが重要になります。
便秘を解消させるためには、腸内環境を整えることがとても重要なポイントになります。
- 食生活の乱れ(タンパク質、動物性脂質の多い食事)
- ストレス
- 加齢
などにより、悪玉菌が優勢になりやすくなります。
悪玉菌が優勢にならないように、バランスの良い食生活やストレスを溜めない生活を心がけましょう。
便秘解消法① まずは食生活を改善しよう
便秘解消には、バランスの良い食生活・腸内環境を整えるための食生活が欠かせません。
ここでは腸内環境を整える方法についてお話していこうと思います。
<その① 十分な水分摂取>
成人の1日の水分排出量は、尿や便から約1.5L、呼気や汗から約1L、計2.5Lにもなると言われています。
食事から摂取する水分が1L、体内で作られる水分が0.3L程度なので、飲み水として1.2L以上の水分が必要になります。
できれば毎日1.5~2Lは摂取するように心がけましょう。
便秘解消のためには、目覚めてすぐに1杯、就寝前に1杯の水を飲むと効果的です。
目覚めの1杯は消化管の動きを促進する働きがあるといわれているので、積極的に飲むようにしましょう。
十分に水分を摂取すると、硬くなっていた便が柔らかくなり、排便がスムーズになります。
<その② 食物繊維が豊富な食事を>
食物繊維は野菜類、穀類、豆類などに多く含まれていますが、不溶性食物繊維よりも水溶性食物繊維の方が不足しやすいと言われています。
食物繊維が豊富に含まれている食材は、水溶性食物繊維よりも不溶性食物繊維を多く含むものが多いため、意識して水溶性食物繊維を摂取するようにしましょう。
便秘解消にはゴボウやサツマイモなどが効果を発揮すると良く言われますが、これらには不溶性食物繊維が多く含まれています。
不溶性食物繊維ばかりを摂取しているとかえって便秘を悪化させることがあるので、水溶性食物繊維もバランスよく摂取することが必要です。
- 不溶性食物繊維
不溶性食物繊維とは、水に溶けずに腸の中で水分を吸収して膨らみ、便の容積を増やして腸の蠕動運動を促進する効果があります。
食材としては、
- 穀類
- 豆類
- きのこ類
- いも類
- 野菜
- 果物
などの、ボソボソ・ザラザラしたものに多く含まれています。
- 水溶性食物繊維
水溶性食物繊維とは、水に溶ける性質を持ち、腸の中でゲル状に変化して腸内のコレステロールを吸着して便と一緒に体外へ排出する働きがあります。
食材としては、
・海藻類
・大麦
・こんにゃく
などの、ネバネバ・ヌルヌルしたものに多く含まれています。
白米を大麦に変えてみたり、野菜の総摂取量を増やしたり、豆類や海藻類を多く摂ったりなど、食事の内容に少しの工夫を加えることで食物繊維の摂取量を増やすことが可能です。
どちらも摂取しすぎると下痢を引き起こす可能性があるため、過剰な摂取は控えて自分に適した量を調整して摂取するように心がけましょう。
<その③ 発酵食品、乳酸菌>
先ほどお話した「腸内細菌」ですが、健康的なバランスとしては善玉菌20%:日和見菌70%:悪玉菌10%が理想とされています。
このバランスを保つためには、外部から良い菌を補給し、良い菌を育てなくてはなりません。
発酵食品には乳酸菌をはじめとする善玉菌が豊富に含まれているので、便秘解消のためにも日々の食事に積極的に取り入れましょう。
腸内環境を整えるだけでなく免疫力を高める効果もあるので、病気の予防にもつながります。
食事に取り入れやすい食材としては、
- 納豆
- チーズ
- 味噌
- ヨーグルト
- ぬか漬け
などがあります。
便秘解消法② 運動・マッサージを取り入れる
日本人に多い弛緩性便秘の原因は「運動不足」にあります。
運動不足により体力や筋力が低下すると、腸の蠕動運動が低下したり便を押し出す力が弱くなったりするので、普段から適度な運動を行うことが大切です。
ここでは便秘解消につながる運動やマッサージ法を紹介していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
便秘が解消しても継続して行えば、その後の便秘予防にもつながりま
す。
<簡単にできる「腹筋運動」>
腹筋の力が弱いと、便を押し出す力が弱くなるだけでなく、腸の緊張が低下して蠕動運動も弱くなります。
便秘解消のためには腹筋を鍛えて胃腸の働きを促進させる必要があります。
- やり方
1、仰向けになって両手を頭の後ろで組みます。
2、膝を立ててつま先を見るように、ゆっくりと少し頭を起こします。
3、そのまま5秒キープし、頭を元の位置に戻します。
4、これを10回繰り返します。
腹筋を意識して、ゆっくりと息を吐きながら行うのがポイントです。
負荷の高い腹筋運動を行う必要はないので、適度に腹筋を鍛えましょう。
寝る前や起床してすぐに布団の上でできるので、毎日継続して行うようにしましょう。
<腹部をマッサージする>
大腸は、結腸→上行結腸→横行結腸→下行結腸→S状結腸→直腸と分けられますが、この曲がり角は便が滞りがちです。
便秘解消のためには、皮膚の上からダイレクトにこの部分を刺激して腸の機能を上げましょう。
- やり方
1、左手で左の肋骨の下、右手で右の腸骨辺りをつかんで揉みます。
2、反対側も同様に揉みほぐします。
腸の四隅を意識して、ゆっくりと揉みほぐすのがポイントです。
<全身運動も忘れずに>
腹筋を鍛えたり腹部をマッサージするのも効果的ですが、便秘解消のためにも普段から体を動かすことも忘れないようにしましょう。
気候の良い季節にはバスを使わずに歩いたり、会社や学校ではエレベーターではなく階段を使ったりなど、適度な全身運動も大切です。
ウォーキング、ジョギング、水泳、ヨガなどを無理のない程度に取り入れて、継続して行うように心がけましょう。
頑張りすぎると続きませんから、自分に合った運動を楽しく行うことが継続のカギになります。
また、ストレスが溜まっていると交感神経が優位になり腸の蠕動運動が低下するので、リラックスして副交感神経を優位にしましょう。
深呼吸は副交感神経働きを高める効果があるので、運動やマッサージの前に深呼吸をしてリラックス状態で取り組むことで効果を上げることができます。
便秘解消法③ 不規則な生活習慣を改善する
生活のリズムが乱れるとそれがストレスとなって交感神経が優位になり、便秘になりやすくなります。
便秘を解消させるためには、食事の内容や運動・マッサージだけでなく、不規則な生活習慣を見直さなくてはなりません。
<食事のリズムを整える>
朝食を抜く人は結構多いと思いますが、3食きちんと摂らないと腸の動きが鈍くなって便秘を起こしやすくなります。
夜更かしをすると朝の目覚めが悪くなって朝食を抜きがちになるので、早寝早起きを習慣にしましょう。
朝食を摂ると体温や血糖値が上がって体が目覚めるので、「目覚めが悪くて朝食が食べられない」という人も、朝食を摂ることで体をしっかりと覚醒させることができます。
シフト勤務などで食事の時間が毎日バラバラになる人もいるかもしれませんが、便秘解消のためにはできるだけ毎日同じ時間に食事をするようにしましょう。
出勤時間が遅いからといってお昼近くまで寝るのはやめ、毎日同じ時間に起きるようにするなど生活のリズムを整えることで食事のリズムも整えやすくなります。
<規則正しい排泄リズム>
便意があるのに我慢していると、便が硬くなって出にくくなったり直腸の神経が鈍くなって便意を感じにくくなったりするので、便意がある時は我慢しないことが1番です。
朝起きたら必ずトイレに行く、食後には必ずトイレに行くなど、便意がなくても決まった時間にトイレに座る習慣をつけましょう。
外出先や職場で排便するのが恥ずかしいと思っている人も多いと思いますが、排便は生理現象であって恥ずかしいことではありません。
トイレ後の臭いが気になる人は、携帯用の消臭スプレーがおすすめです。
便秘になると肌荒れや口臭などの良くない症状も併発するので、便意は我慢せずに排泄リズムを整えましょう。
<無理なダイエットは避ける>
無理なダイエットは、生活習慣や食生活が乱れる原因になります。
また、ストレスが溜まるほどの過度なダイエットは、便秘を引き起こすだけでなく精神的な面にも悪影響を及ぼします。
ダイエットをするときは、生活習慣や食生活のことも考えて行うようにしましょう。
まとめ【便秘を解消して美容と健康を手に入れよう】
- 日本人に多い便秘の原因は運動不足
- 便秘解消には、食生活の改善が重要
- 水分、食物繊維、発酵食品、乳酸菌をしっかり摂ろう
- 運動やマッサージを取り入れよう
- 無理なダイエットは避けよう
便秘の解消・予防は、便秘に伴って起こる様々な症状の解消・予防にもつながります。
食生活や生活習慣を改善し、適度な運動を取り入れて腸を健康に保ちましょう。
自分に合ったやり方が見つかれば幸いです。